wezzy「日本でも聖職者からの性暴力が表面化。宗教＆スピリチュアルと性のおぞましい関係」への批判
性被害において、被害者に問題があった、落ち度があったということはありません。また、そのような判断を公共の場で言い散らかすことは許されません。この文章を載せた山田ノジルさんに憤りを感じると同時に、放置しているwezzy を残念にも思います。
記事の細かい間違いについてはこちら https://note.com/famous_bear75/n/n5dcd8403eefe
記事で取り上げられている番組についてはこちらhttps://note.com/famous_bear75/n/ne0aec100401c
番組では「アガマ」というタントリックセックスの６週間集中講座合宿へ参加した女性が「性的虐待を受けた」と訴えています。いかにもヒッピーといった出で立ちの、伸びやかな美しい女性ですので、体と向き合い人生を謳歌するヒントを得ようと思ったのかも。ところが教祖がヨーニマッサージ（性器のマッサージ）を申し出てきたあげく、集団セックスを強要されたというのです。それを拒否すると「努力を惜しむなら悟りは開けない」と激しく非難され続け、結局折れて参加した……なる体験談でした。
昨日ご紹介した番組に出ている女性の告発を、このように歪曲してしまった理由がどうしても理解できません。「伸びやかな美しい女性」という表現もわかりませんし、「体と向き合い人生を謳歌するヒントを得ようとした」という山田さんの感想も理解できません。番組中には、自身が父親との葛藤で悩みヨーガにたどりついたこと、さらにタントラの理解を深めたくて合宿に参加したことが、本人の証言として出てきます。
また、グルからヨーニマッサージを強要された結果、性的虐待を受けるに至った女性と、集団セックスを強要されて同じく虐待にあった女性は別人です。現代社会においてタントラがどのような過程で性的虐待と結びつくのかについてそれぞれ個別に重要な証言をしているのに、なぜ混ぜてしまったのでしょうか。
番組中ではレイプではなく、Sexual abuseという言葉が主に使用されています。Sexual abuseは、望まないセックスに至るまでの暴力的な過程や環境の全体を指します。番組中で告発者がレイプよりもSexual Abuseと繰り返しているのはそのためです。その時は仕方のない事だったんだと当事者が思っていても、心に深い傷を受けて立ち直れなくなることが往々にしてあります。逆に言えば、望まない環境に追いやられることで発生する性被害について、この番組はタントラとの関りで告発してるわけです。
にもかかわらず「インチキヒーラーを去勢する法律マダー？」とよく書けましたね。番組では、グルのパーソナリティーの問題だけでなく、①男性のグルという存在が孕む問題②タントラを学ぶ上で性的な言葉が多用される状況②集団のなかでnoが通らない環境であることを挙げた上で、タントラを学ぶことがsexual abuseにつながりやすい理由が述べられています。それはタントラの指導者自身の指摘でもあります。
同時に、タントラを指導しているヒーラーが、過去の性的虐待から立ち直れない男性を癒した事例が紹介されているのをなぜ無視するのでしょうか。こうした両方の面を持つタントラのあやうさを描き出すのが、この番組の趣旨だと思いますが。
そもそもとしてこの記事は、聖路加病院のスピリチュアルケアにおいてチャプレンから猥褻行為を受けた女性の被害例から始まっています。ですがタントラの講習会と難病患者のスピリチュアルケアにおける性被害／性加害、カトリック教会における児童への性加害は、被害当事者も被害の内容そのものも、また発生した諸問題に関係するそれぞれの宗教のあり方も、さらに被害が出てしまった環境も状況も全く異なります。
それぞれ全く異なる性被害／性加害というナイーブな事例を一緒くたにすることで何か議論にメリットがあると読み取れるならまだしも、ただ単に一緒にしたようにしか見えません。
そして、山田さんの被害女性への主観的な感想のせいで、率直に言えば「宗教に縋る女性は必然的に性被害のリスクを背負うことになる」という印象を記事から受けます。
後半のまったくわけのわからないオカルト染みた「真言立川流」の自説のせいで、ますますセックスに関わる宗教に女性が近づくことはリスクがあるという主張に読めてしまいます。逆に、真言立川流＝セックス教団という下世話大衆ネタに夢を抱きすぎです。
しかし、この文章の末に書かれているような、「体」に関係しない宗教はあり得ません。
どこをどうしたら、性被害／性加害と宗教を論じる上で取り上げる本が、真言立川流ー謎の邪教と鬼神ダキニ崇拝」（学研）になるんですか。「邪教」とか「謎」とか（学研）がついたら、その本の根拠はあやういってピンとこないレベルで記事書いてるんですか。それ以上に、なんで何の書籍も参考にせずに、単なる感想で性被害／性加害と宗教という非常に取り扱いに慎重になるべきトピックを扱ってるんですか。これを掲載した理由と目的はなんですか。
出鱈目の上に、性被害を軽く考えるその姿勢が私には全くわかりません。またわかろうとも思いません。山田さん、あなたの記事を称揚できなくてごめんなさい。でも、あなたのような見方は絶対にしたいと思いません。