芸術単元
【3】事前課題
芸術単元の課題は、3問あります。課題動画を視聴し、「形式(表現のやりかた)」の概念を踏まえた上で、次のことを考えてみてください。
〈課題1〉
自分が好きな作品や思い入れがある作品、あるいは一般的に人気が高い作品を一つ挙げてください。(いわゆる「アート作品」や「芸術作品」のイメージに囚われないよう、自由に挙げてください)
『もののけ姫』
〈課題2〉
その作品の「形式上の特徴・独自性は何か」を考えてみてください。
形式上の特徴、独自性は「心地が良い気持ち悪さ」である。本作は「文明VS自然」という構図がつくられている。人間の営みをしていく中では、山を削って鉄をつくれるようにしなければならない。大きなお金が生み出さなければ、女奴隷やハンセン病の方々を救う事は難しい。だからお金のため、人を助けるため、山を削るしかない。だが、それに対して、動物からすれば自然を破壊され人間に怒りの矛先を向ける。こういった構図を「気持ちが悪いが可愛らしい」キャラクターで演出していることがこの映画の特徴である。シシ神やコダマはその最たる例といってよい。シシ神はどうしてあんなにかっこいいのに人面にしてしまったのだろうか。コダマもかわいらしいがどこか不気味な一面がある。他のジブリ映画でも、まっくろくろすけやトトロ、ポニョやその妹たち、王蟲やウシアブ…あげたらキリがない。その気持ち悪さとは、得体のしれないものへの恐怖、こうあるべきだというものに対するアンチテーゼが込められている気がする。だが見た目は、意外とかわいらしく描かれている。そういった理解できない心地よさを感じたいと思わせる魅力がもののけ姫にはあるように感じられる。
〈課題3〉
その上で、その作品を評価する(あるいは一般に評価されている)理由を考えてみてください。
綺麗な絵、可愛い絵は間違いなく一定のファンがいると考える(私もその一人だ)。ジブリにはジブリにしかない可愛い「顔」がある。絵を見ただけで、これはジブリだろうと大体推測がつくほどである。そういった可愛い絵のブランディング化には成功していると考える。
他にも壮大な音楽やテーマ設定も魅力的であると考える。久石譲が多くのジブリ映画の音楽を担当しているが、これもまた久石譲にしか表現できない音楽の雄大さがあると私は考える。他にも「文明VS自然」など大きなテーマ設定も魅力の一つと考える。今の社会の在り方に一石を投じてくれる。