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「神椿代々木決戦二〇二四 」DAY2 花譜4th ONE-MAN LIVE 「怪歌」を観測
「神椿代々木決戦二〇二四」DAY1「現象II-魔女拡成‐」は、大成功の大興奮の中幕を閉じた。
そして迎える。2024年1月14日(日)。
V.W.Pの一人としてそこにいた彼女の、次は彼女のための後半戦。
観測者歴約5年、それは花譜を追い続けた年月でもある男の現地での体験~ライブ後までの記録をここに記す。
※この記事は神椿代々木決戦二〇二四のDAY2「怪歌」についての記事です。DAY1「現象II-魔女拡成-」については前の記事となります。自分がこの体験を忘れないため、観測者の皆様の共感を得るための長文記事です。
これまでの記事と少し違い、私感や個人的な意見が強い文には取り消し線を入れています。
Q「怪歌」の異質な位置付け、そして何が起きるのか?
5人の魔女の史上最高のステージを見せてくれたDAY1「現象II」。
LIVE後にSINKA LIVEはまだ続いていくことが発表、NEXT SINKAとしてEp6以降もあると判明した。
そこで、疑問が生まれた。
いや、以前からあった疑問でもある。
それは、「怪歌」はSINKA LIVEシリーズのEpに属さないことだ。
「不可解参(想)」がEp0ならば、「怪歌」をEp5にしてDAY2をEp6「現象II」として集大成にするということでもなく…。
「怪歌」がDAY2で、SINKA LIVEから外れている理由とは?
「不可解」シリーズから一新させて、何をするつもりなのか?
無粋かもしれないが、色々な予想をした。
変な杞憂を伝染させてしまうかと思ったので、発信はしていない。
そんな予想の1つは、DAY1の入場特典リーフレットであっけなく外れてくれた。
Q.音楽活動の中で達成したい夢や目標は?
A.生涯現役
将来を見据え、大学卒業のタイミングで「花譜」の活動に区切りをつけるかもしれないという考えがどこかずっとあった。
しかしどうやら、完全な考えすぎだったようで、嬉しかった。
この「生涯現役」は、この代々木決戦の大きな収穫の一つとなった。
そして、もう一つの、より可能性を感じていた予想は………。
結果的には、こちらも外れた。
が、当たらずもそこまで遠からず…といった感じだ。
まあ長々と書いたが、とにかく大きなムーヴメントの予感と、過去最大規模の花譜のワンマンライブへの期待で、1月14日が待ち遠しくて仕方がなかった。
出発~会場まで
前記事でも書いたが、近くの宿をとっておけばよかったと大変後悔した。
「現象II」で早朝から終電ギリギリまでの長い戦いと購入物の持ち帰りもあって大疲弊。
本来はDAY2も10時くらいには現地着して、幸祜カレーに並ぶつもりだったが、少しゆっくり出発することにした。
昨日の感じ、12時頃でも大丈夫かと思い、本番へのベストコンディションを優先した。
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プレミアム席特典の交換をして、キッチンカーへ。
幸祜カレー、販売停止していた。
いや、昨日確か再販していたメニューもあったし、まだ終わったわけじゃない!
ということで、予定変更し、先に花譜のメニューを食べることにした。
4食目 カフノカフノカフノ~カフノメケーキを食べると~🎶目が目が目が~🎶目がよくなるかも~🎶
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恥ずかしいメニュー名を観測者に言わせたがりな花譜は、今回は歌ネタ(?)で我々を試しにかかった。
「おいおい!さくら味って!季節感のさくらんかいっ!アイス」とか、「ココアにマシュマロ浮かべるやつをやらせてくれ」とか、フルネームで注文できた人はどれくらいいただろう。
あと、「おさかな天国」の替え歌なのか「ぱんぱかカフぃR」まではっきりしてなかったので、やはりそうだと判明してスッキリした。
4品のなかで一番並んだ。
花譜ワンマンの日だから、筆者と同じ考えで2日目にカフノメケーキに行く人は多かったのだろうか。
2時間近い辛抱の末、ようやく買えた。
昨日同様に代々木公園の木陰のベンチまで移動し、実食。
派手な配色からは想像できないような、上品な味わいのチョコケーキだった。
黄色いクリームはマンゴークリームとのことで、これがマンゴーマンゴーしすぎないほど良いアクセントだった。
「目がよくなる」というし、青色のところにブルーベリーが含まれているかと思ったが、この舌ではブルーベリーの味は確認できなかった。
幸祜カレーの再販の有無にソワソワしながら、美味しくいただいた。
5食目 KOKO壱番星カレー
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まさにグレーゾーンといった感じのネーミングだ。幸祜がCOCOじゃなくてよかった。
いや、再販なかったので、食べられなかった……。
コンプリート達成ならず…。不甲斐ない。
希少なフード系で、カレーという人気メニューだからか、二日間ずっと長蛇の列があった。
それだけに、残念…。
キッチンカー展開について
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個人としては惜しい結果となったが、キッチンカーは二日ともすべて売り切れになった。流石。
この「神椿代々木決戦」のお祭り感に一役買ってくれたのは間違いない。
極論どんな形であれ、そのコンテンツのファンにとってこういう楽しみが追加されていくこと自体が最高だ。
その上でどれも美味しく、各店の店員さんの接客も素晴らしかった。
この二日間の思い出の大事な一部になった。
またやってほしい。
開場まで
さて、思わぬ空き時間となった。
交流ができない筆者は、ひとり会場周りを散策した。
フラワースタンドの企画に参加させてもらったので見に行くと、ひときわ大きく、綺麗でかっこいい黒い花のフラスタがそれだった。
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後日花譜からも好反応があって、主催ではないが誇らしい気持ちになった。
その後は会場外周をぐるっ歩く感じで広さを堪能したり、広い敷地のあちこちで交流する観測者の姿や、ライブタイトルの看板、物販周辺も歩いて、とにかくこの時間と光景を思い出に残そうとした。
途中竹下通りの某カフェで休憩と幸祜カレー分の空腹を満たして時間を潰した。ソロゆえの自由度である。
そして15時。快晴の二日目の空には夕暮れの薄暗さがかかりはじめた。
決戦の時が着実に近づいてきている。始まる前だというのに、もう寂しさのような感情もあった。
16時になると、アリーナ席の入場待機の人だかりができ始めた。
正面の入場口とは違う、裏手のような薄暗さのあるアリーナ入場口付近のあの雰囲気。それすらも思い出になっている。
待ち遠しさよりも、「え?もう?」という気持ちで16:30入場が始まった。
開門して間もなく、入場に成功。DAY1と同じ入場特典を受け取り、再び代々木第一体育館の広大な空間に入り込む。
改めて見ても、屋内でここまで広い空間って、非日常だ。
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会場では昨日も流れていた主にPOPSのアレンジインストが流れていたが、一部楽曲が換わっていた。
そのひとつ、「竜とそばかすの姫」の劇中曲、Belle「心のそばに」
作品と花譜のストーリーの類似点や、「オリジン」という「中の人」の言い換えをPIEDPIPER氏は取り入れたりしている。
この日ここでかける意図を考えて、少し心がざわついたのを覚えている。
通路が目の前だった昨日とは違うが、より近くで見れる幸せを噛みしめ、シークレットシューズ込みの身長で高身長に負けないようにと願った。
結果的には、なかなか際どかったが何とか見ることができた。
上着を脱ぎ、昨日買った「怪歌パーカー」を開放。首にはプレミアム席特典のタオル。昨日とは違う「怪歌」ペンライト(電池交換済)。
準備は整った。
お楽しみの開演前アナウンスは神椿STUDIO所属、明透だった。最後の「楽しみましょうね」の感情乗ってる感じ、アトラクションの前説みたいな気分になってとても良かった。テーマパークに来たみたいだぜ。
そして、間もなく17:30。
ついに始まってしまう。
この先の時間が、どんなものになるのか。
この壮大な決戦の幕引きへのカウントダウン。
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間もなく映像は乱れ始め、粒のように弾けたり、ノイズのかかるような効果が激しくなっていく。数字の60。あぁ、いよいよか。残り10秒になると会場全体で声出しのカウントダウンが。一体感も、温度も、万全だ。
花譜のための空間、花譜のための時間が、始まる。
オープニング
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これは。昨日のラストの映像か。
まさに歩いてきた場所や、長くゆかりのある渋谷に、奇怪な花が咲く。
派手で、毒々しさもあり、美しい花を背に、主人公がこちらを見る。
「夜行バスにて」→「RE:HEROINES」のインストの壮大なアレンジが序曲のようだ。
第四形態「雉」は色が変わり、「雉(怪)」(パンフレットで判明)へ。
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「花譜」「怪歌」と大きく映し出される。
そうだ。「不可解」じゃないんだ。と改めて思った。うみ…そら…も、きょうからあしたのせかいをかえるよ。もない。
これより先、一切の前例のないものが待っている。
そんな気がしてならなかった。
〈第一部〉 邂逅
暗闇に響く、朗読。花譜の書いた詩だろうか。
前に歩き出した、道を違えた誰かへのメッセージのような。
羽というワードからは「マイディア」を想起する。
自分の可能性を探りながら、進み、また一緒に歌いたいという想い。
離れた親愛なる人への手紙のような詩だ。
Dear カンザキイオリ and カンザキイオリ楽曲を愛する観測者
そんな風に思えた。
1 青春の温度
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バチバチと白い光が点滅。
そして花譜のハミングが、ある曲のあの部分を歌いだした。
自称訓練された観測者なので、1回目のHum~♪で即曲が分かった。
思わず反射で「青春…!」って呟いてしまった。
ハミングは「Oh~Oh~Oh~」に変わり、こうなればもう声を張り上げるしかない。
この曲はライブで我々に「Oh~Oh~Oh~」歌わせるだろうと目星つけていたので、1曲目からフルスロットルさせてもらった。
そして、武道館ぶりの、あの熱い宣誓。
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ズルだ。また泣いてしまった。いつも冒頭で涙腺特効される。
花譜「代々木歌ってー!!」
配信では伝わりにくいが、少なくともアリーナ前方では「Oh~Oh~Oh~」の大合唱だった。しかしYouTubeの動画化されたものを見ると、「ッハイ!ッハイ!」が大きく拾われていてがっかり。
まあMVないし、アルバムか過去ライブじゃないと聴けない曲だが、知っていてなお「ッハイ!ッハイ!」した人もいたのだろうか…。
さておき、昨日とおなじバンドメンバー方の素晴らしい演奏と最高にアガる花譜の歌声に狂喜する時間だった。
この曲、ピアノが本当に良い。
「狂ってんだ!Ah~♪」のところ、音源超えだった。
そうだ。冷静に考えて、初っ端からここに挑む心臓の強さ。最高に花譜してる。
ただ、狂喜のあまり、見逃してしまった。HTPを。
Hood Take off Point つまり、花譜がフードを脱ぐ瞬間のことだ。
最近は最初からフード被っていなかったり、脱がずに消滅することが多かったから、油断してしまった。
2019年、界隈をざわつかせた花譜の専売特許、謎技術。
1曲目のラスサビはHTPによくなるところだというのに。
しかも配信でも動画でもそこが映っていない。
どうか円盤ではそこのアップをお願いします。醍醐味なんです。
2 人を気取る
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花譜「改めまして、花譜です!代々木第一体育館!ついにこの日がやってきましたーー!!」地団駄
そして2曲目で「人を気取る」だ。
「過去を喰らう」シリーズをメドレー式にすることもなく、この曲一曲勝負できたか。
ストリングスの皆さんがイントロでノリノリだったのが印象的だった。
ライブごとにニュアンスがかわる「どうでもいいよ」、今回は激情的なつぶやきという感じだった。
初出の不可解参(狂)ではシャウトだったなあと懐古する。
ショーマさんが「不可解」からずっと弾いてきた、「過去を喰らう」のギターメロがこの曲にも受け継がれている。
本当にずっと楽しそうに笑顔な方で、最高なんだ。
アウトロではジェットフォグが噴射する中、「へい!へい!」と腕を上げて走り回る花譜の姿があった。
3 未観測
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雰囲気が一転し、ストリングスの美しいメロディが始まる。
聞き覚えがないフレーズ。では大胆なライブアレンジか。
そして花譜の口から告げられた曲名に、驚嘆した。
「未観測」の頭サビバラードアレンジとは…。
「くたばらぬ」でテンポアップ、タイヘイさんの高速ドラムが会場を振動させ、まさに激熱のイントロへ。
こうなれば我らのやることはひとつ。
全力の声で「オーオオーオー!!」した。めちゃくちゃハイになっていたと思う。
この曲は、花譜楽曲の中でも特に大好きな曲だ。
「不可解弐 REBUILDING Q3」の「不可解」の後に歌われたファーストコンタクトが忘れられない。
ひたすらに前向きでかっこいい、こういうのがいちばんいい。という筆者の音楽嗜好に直撃した。というわけで泣いた。もう2度目。
豊洲PITから武道館、そしてこの待ちわびた場所、代々木第一体育館で再び聴ける歓び。そして声で参加できる幸せ。
とにかく序盤にして最高すぎる時間だった。
MC1
ハイテンション花譜が喋る。
昨日は5人の内の1人として、多弁で個性の強いメンバーへのリアクション多めな印象を受けた。
でもワンマンの今日は花譜が前面に出て、喋る。
段取りのよさや、感情を表に出すのが自然になっていて、ここは本当に成長したなあと思ってしまった。
会場とステージの全貌が照らされ、昨日の樹に花が咲いているのを発見。
2日間の開催を利用した面白い変化だ。しかもライブテーマと合っている。
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「YouTube LIVEはここまで」への観測者の「ええ~~!!」
それへの反応「笑…やった。昨日やった」のフランクな感じ、友達のやりとりっぽくて良かった。
4 世惑い子
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ピアノとストリングスの美しいメロディが空気を変える。
ペンライトは消え、スモークと静かなライトが「世惑い子」の世界を演出。だから手拍子は絶対にいらないのに。4拍子のパンッが曲を途切れさせる。
右も左も周りに合わせて手拍子している。ここは花譜を聴かせてくれ。
一番が終わると他楽器が合流。
花譜は「LaLaLa~」などの歌詞のない歌を添える。
広いステージを我が物にしてゆっくり歩き、歌声に手の動きを乗せて。
訴えかける歌詞を、ブレない再現性の技術と感情の歌声が届けてくる。
まさに花譜の世界、花譜の音楽だ。
5 それを世界と言うんだね
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また雰囲気が一変。
ストリングスは今度は4重奏のリズムの立った演奏になり、この曲で終始最高にかっこいいサウンドを添えてくれた。
完全に盲点だった選曲だ。しかしすぐに理解。
ちいさきものたち(花譜がどこかでこう言っていた記憶がある)の「らららら」パートを、我らにやらせてくれるのか。と。
分かりやすく花譜も聞き耳を立てるポーズして、「ここはあんたらや」と示してくれる。
青春の温度も未観測もこれも、声出しのところはなかなかに高いのだ。
力の限り、最後まで声を出した。なんなら「Oh~↑」も声出した。
さいごの「らららら」は花譜とパート分けして一曲を完成させているような一体感だった。
こういう参加の仕方が理想だなと思う。
6 邂逅
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なんと昨日に引き続きまたも「邂逅」。手拍子いらない。
「カンザキイオリさんが、最後じゃないけど、最後に作ってくださった曲です。」
この語りだしから、この曲がこの位置で歌われることの意味をなんとなく察した。
カンザキイオリ楽曲との別れの時間か。
暖かな夕焼けのようなオレンジの光がペンライトにも点火。
たくさんの曲を花譜に提供したカンザキイオリからの、激励。
熱い心にも寒い心にも寄り添える、花譜の歌声という現世の魔法。
「みんなひとりぼっちだ」という絶望も激情も、そこから君と邂逅するために探しに行く力にして。
手紙よりも物語で、でも確かに花譜の道しるべになるような曲。
気分はフィナーレ。
しかしむしろここからなんだ。
ここから、「怪歌」の本性が露になっていく。
〈第二部〉 組曲
朗読パート。
「イメージトレーニング。」の言い方、話し言葉のような感じだ。
可能性のトライ&エラーの話に思えた。
15の可能性の試行が完遂したのが記憶に新しい。
DAY1の「現象II‐魔女拡成‐」では神椿STUDIOのアーティストとの対バン式。
DAY2の「怪歌」ではV業界も超越した外部のアーティストとの豪華コラボ。このコラボアーティスト発表で一時的に物議を醸していた観測者がいたが、あの騒いでいた人たちはこの日のここからのステージを見てなお、「花譜だけしか見たくない」なんて暴論でコラボへの忌避を発信するのだろうか。
コラボでここまでの格上の顔ぶれを揃えられる幸せ、コンテンツ「花譜」の成長を素直に喜ぶべきだ。
第五形態 雷鳥
ムービーが始まる。
雪と大きな六華が漂う、氷の世界と言った感じの広い空間。
空には、代々木第一体育館の天井のような、骨組みの形が見うけられる。
そして現れた花譜は、白いもこもことしたコートのような衣装で、おさげ髪に内巻きの姫カット(で合ってる?)。
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第五形態 雷鳥 ということで、伝統の衣装の世代交代だ。
まさに雪国の鳥の名前だ。ムービー中に予想した「朱鷺(トキ)」ではなかったが、とてもしっくりくる。
しかしこの服装、夏場もこれだろうか…?半袖ってわけにもいかなそうな服だ。
7 あさひ feat.佐倉綾音
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豪華ゲストとの共演1曲目。手拍子いらない。絶対にいらない。歌いにくそうで本当にいたたまれない。誰がやりだしてるの??
超人気声優で、歌手としても活躍されている佐倉綾音さん。
MVのものに近い白のドレス姿で、せり上がりで上ステージに登場された。
あらゆるアニメでその声を聞いているが、こうして生で見るのは初めて。
なかなか距離があるので表情などはモニターで確認しながら、花譜と佐倉綾音さんの高低差の対面を目に焼き付けた。
今回のどの豪華ゲストも、このステージにかける時間がとりにくいだろうことは誰でも分かる。
短い間隔で歌やセリフを受け渡し続けるこの曲。
役になりきって暗さの帯びた笑顔で、「朝日よ……昇るなっ!」のはっとさせるような語気の強まり、ライブならではのニュアンスを加えて迫力の増す歌声。
少ない時間でこうして最高のステージを作ってくださったことにただ感謝。
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ストリングスやピアノの生演奏も、合いすぎている。
これは芸術だ。
8 しゅげーハイ!!! feat.森カリオペ
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花譜とは何かと接点があるV業界の大きな御旗、ホロライブのENから超実力派の参戦だ。
「しゅげーハイ!!!」のイントロの音がリフレインする中、日本語で挨拶してくれた。
花譜の歌いだしの後。
衝撃の高速英語ラップがこちらの心を置いてけぼりにした。
歌詞ほしい。このバージョンの音源も欲しい。
もともとのケンモチヒデフミさんのかっこいいトラックサウンドにこの最強の味付けは反則業だ。
「縫い目と縫い目の…」の花譜の手の動きや、2人の「しゅげーハイ!!!」の手を挙げる動きも、楽しそうで最高だった。
9 ギミギミ逃避行 feat.#KTちゃん
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「組曲2」が大発表。
衝撃のなか#KTちゃんが紹介され登場。
「廻れMAD TV」で共演したぶりの2人。友達のようなやりとりは他アーティストとは違う空気感だ。
「梅田サイファーのpekoさんにトラックを作っていただきました」
さらっとまた凄いところと楽曲制作してる…。つまり本気のHIP HOP系楽曲が始まる。
2人の対照的な声、ノリのよさ、盛り上げる生バンドでまさに現地での楽しみを味わえる一曲だ。
かわいさとフランクな友達ノリのリリック、ライブで初披露なのに臆せずハイテンポなピンクとブルーの掛け合い。
#KTちゃんのステージを楽しんでいる姿にこちらも惹き込まれる。
煽りも最高。
観測者総員のプチャヘンザが、光の波を起こしていた。
〈第三部〉 踊子
朗読パート。
パーティをはじめよう。踊ろうよ。
本当の姿がキミにばれる前に。
どこか自分について投げやりな様子の語り手が、次のステージへ誘う。
10 KAF DISCOTHEQUE
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広大な会場がこれまでと違う激しい光と音をぶつけてくる。
「不可解参(狂)」からはじまり、「神椿FES」、「SINKA LIVE」、「現象II」まで、いよいよ定着化してきたディスコパート。
今回は可不楽曲ではなく花譜の既存曲をハイテンポで聴かせてくれる。
昨日に引き続き、ELEVENPLAYの4方がダンスで盛り上げてくださった。
「イマジナリーフレンド」のイントロのようなシーンでミラーボルがプラネタリウムのように会場をてらし、「私論理」への繋ぎがかっこよかった。
そしてELEVENPLAYさん初登場の「不可解弐 REBUILDING Q3」のときの振り付けが、「私論理」と「未確認少女進行形」でそのまま強化されていた。
現地で早々にそれに気づいてからの感動。
走馬灯のように蘇った豊洲PITの記憶と、今見ている光景の差異で思考がショートしかけた。
あと「イマジナリーフレンド」が個人的に嬉しかった。
昨日と合わせて3回目の「魔的」の後、映像が変化。
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まさかの「廻れ!MAD TV」PALOWさん回で花譜が作った奇抜コスチューム、「犀鳥」が3Dモデル化、そしてこの大舞台で登場とは。
11 CANVERSE With 可不
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見慣れない長いツインテ、ふわふわ自我をもつ尻尾など、今までの花譜のイメージからかけ離れた姿で、可不までやってきた。
第一形態「雛鳥」の姿に近い可不と並ぶと、より個性的に見える。
まるで、時間の経過とともに2人の存在が自立していくようなこの二人の関係性そのものだ。
覆面アーティストやV業界で見ても、こういう遊びができるのは花譜をはじめとしたV.W.Pの特権のようなものだと思う。
活動休止中のORESAMAさんとの曲なので、しばらくライブでは聞けないかと思っていたが、こういうやり方もあるのかと感心。
これなら「ラブしぃ」「かりそめ」もワンチャン……?
なんて思ってしまった。
可不の動きや表情が豊かになっていて、無口な妹みたいに見えてきた。
ELEVENPLAYさんが引き続きダンスでステージ上段を彩り、HELLO OSAKAの映像も大画面でキュートポップを演出。
歌い方も変わっていて、飽きない。
12 トウキョウ・シャンディ・ランデヴ With 可不
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誰もが知っている曲だろう。この曲のバズり方は、某MADのパワーがあったことは否めないと思う。が、そもそも曲が良いから今なお伸び続けているとも言えるだろう。この曲で花譜に出会ってここまで来た観測者もこの中にはいるんだろうな…なんて現地で謎のしみじみ。
花譜について歩く可不がかわいすぎた。妹か。
可不の振り付けの小ぶりな感じが「不可解弐」くらいまでの花譜っぽくて、そういう動きのディレクションされているのか?と思った。どこまでが計算なのか…。
カメレオン表現おばけ歌手花譜と、どんな歌でも歌わせられる音楽的同位体可不のたのしい共演だった。
VIRTUAL BEING KAF
一気に世界観が変わった。このライブ、「不可解参(狂)」以上に規格外、ルール破りのアトラクションだ。
建設中のビル群に赤い空、そこに落ちていく人間。
下層へ降下していくその姿は、バーチャルヒューマン花譜、改めてVIRTUAL BEING KAF 。
某アニメのプラグスーツのような格好で、電源を接続される。
そしてデカい。
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上モニター全面に巨大なリアル花譜の全身が映っていた。
今までなかった巨大化。かなりの迫力があった。
花譜の新たな可能性の姿で、今までの規格を打破する。
実験的な試みであり、特別すぎる時間になった。
13 蕾と雷 feat.長谷川白紙
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乱れ打つ音が強い個性を出す。
この音はこの世で彼しか出さない。
下ステージの中央にシンセ。ソウスケさんではない。
長谷川白紙が、そこにいるのか。
ゲスト発表からずっとこの瞬間を楽しみにしていた。
手拍子いらない。無理だろう拍子変わりまくるんだから。
また花譜が指揮者の動きしてる!
しかし拍子が変化するたびつんのめるように指が止まっている。
時に画面に接近してこちら側へ干渉しようとしていたり、人によっては恐怖を抱くかもしれない。
そして長谷川白紙の演奏が常軌を逸していて、開場のサウンドと演奏がライブ感を増大させ、無機質ではない電子の暴走のような熱があった。
そして花譜もヤバすぎる。想像をはるかに超えた。
音源よりも「蕾に雷」していたんじゃないか。
奇抜な演出とビジュアルだったが、それに負けない本領「歌」にとにかく圧倒された。
14 わたしの声 feat.MONDO GROSSO
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大沢伸一さんが上ステージ中央に登場。
言葉なしでただ音楽の人として来ている感じで、かっこいい。
手拍子いらない。この曲の良さが損なわれている。客の音楽理解度がなさ過ぎて、大物ゲストの方々に申し訳ない気持ちになる。
とにかくリバーヴの強いサウンドの低音が内蔵を揺らしていた。
花譜の声も、広い感情で何重にも重なるような反響をしていた。
フォトリアルでも、アニメ的2次元でも、人の姿に近づこうとも、花譜の世界の範疇にする。
花譜の新機軸のライブだからこその世界だった。
代々木第一体育館で本当に叶うかもわからないこの光景までたどり着いた、すべての創造者に称賛を送りたい。
〈第四部〉 歌承
朗読パート。
老いることへの反目のような内容に思えた。
バーチャルでありながら年齢を公表している花譜にとって、アバターの姿と本来の自分の止まらない変化との向き合い方とは。
その答えはもうすぐ先にやってくる。
ここからが、完全なる「不可解」との決別。
特殊歌唱用形態 扇鳩
特殊歌唱用形態の顕現は毎回不穏だったり、重圧感がある。
「星鴉」から始まったワンマンライブの醍醐味のひとつとなっているが、これが起こるということは、いよいよ終盤に近付くということでもある。
そして、ライブでの最高潮や、真メッセージが込められていたり。
強烈な存在感を放つ巨大な花が怪しく輝く。
そこにいる花譜は、特徴的なフードと扇が連なった装飾のマント?の姿。
三つ編みおさげ髪、めずらしいノースリーブ。
「孔雀」か…?と思ったのは筆者だけではないのではなかろうか。
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特殊歌唱用形態 扇鳩。この神椿代々木決戦の最後かもしれない決戦装束を纏った花譜。
こちらも覚悟を決める。
15 スイマー
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新曲ラッシュ1。水槽さん提供曲。
組曲でも、なにかのコラボプロジェクトでもなさそうな、完全新規の「花譜楽曲」は、「邂逅」ぶりだろう。
後に「歌承曲」と判明する、様々なコンポーザーに楽曲提供される楽曲群。本来この形式が一般的なので、カンザキイオリ楽曲提供のみでやれていた時代との特異性…個性のような部分はなくなったかもしれない。
だが、これはいつか必要になる転換点であり、一人が作る世界だけでは限界もあるだろうと思っていた。
これこそ、これからも何度も耳にする、「可能性」の拡張なのだろう。
静かな歌いだしから、伸びのあるサビの歌声の変化。
新曲1曲目にして、こういうエッセンスの楽曲大好きな筆者にとってかなり刺さった。
シャボンが会場の空を漂う。
映像もサイドモニターの水流の表現がとても綺麗だ。
配信では水泡や水の分身をARで具現化。
あぁ…花譜のライブに来ている。と、帰ってきた感覚になった。
16 アポカリプスより
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新曲ラッシュ2。Empty old City のNeuronさん提供曲。
リズムが際立つピアノと、ベースラインがエグい。
近未来SFのような物語の劇中にかかりそうなシリアスでクールな曲。
そんな曲も歌いこなす。
アルバム「観測」や「魔法」の頃のような、懐かしさを感じていた。
配信では黒いリキッド状のものが花譜の周囲で激流を起こしていた。
声は枯れてきていたが、全力で声出しして、ペンライト振って、悔いのないように。
MC2
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MC2こんな終盤なのか!!と書きながら驚き。(前記事ぶり二回目)
新曲の紹介。
言葉噛んだときに「みた…〇△※×!みなさん!」って感じ、なんか成長を感じた。ただ言い直しをするんじゃなく、コミカルにする余裕みたいな。
「扇鳩」の紹介では特徴的なパーツを自慢げに見せてくる。
「金鶏」のとき「すごく…尖っている部分もあって…これで…街を歩いたらきっと…たくさんの人を傷つけるでしょう…」ソウスケさんピアノ「ピロン♪」の頃から、話すスピードもテンションも変わったなぁ。と。
そして撮影OKパートの告知。また現地の思い出を持ち帰らせてくれる。ただここで低身長の受難。腕と脚の闘いが始まる。
「液晶の数がすごい!」たしかに、あちらからだとまた凄い光景なんだろうと思う。
さておき、液晶はそっち側からじゃ見えなくね?
17 ホワイトブーケ
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Empty old City 提供曲。
まさかのVALISオリジンが上ステージに登場。
腕伸ばして、スマホ画面をチラチラ見ながら、この目で光景を見なければ…って
だからあ!目が足りないんだって!! (三回目)
スルスル聞き心地のいいリズムの歌で、花譜の優しいながら抑揚もある神秘の声によく合っている。
ストリングスの様々な演奏技法が印象的だった。
モノクロの大きな映像、ペンライトも白で、ライトも終始白一色。
まるで会場全体が色を失ったよう。光って面白い。主人公とその仲間だけが色づいている。
VALISの振り付けの曲とのマッチ具合と、パフォーマンスのレベルの高さもすごく感じられた。
VALISをダンサーとして招くのもまた、過去を想起させる。
もしかして「不可解」の軌跡を新コンポーザーと新規要素で辿っている?
18 ゲシュタルト
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岡嶋かな多さん提供曲。
続けざまに曲が変わり、ハイテンションな曲なのがすぐ分かる軽快なサウンドに。
「モンタージュ」に近い、自己顕示欲の暴発のようなはじけた花譜が存分に見れる。
1st ワンマン「不可解」で当時初披露の「未確認少女進行形」の花譜を観測したとき、衝撃を受けた。
あどけなさの極致だった当時の花譜が、振り付けして歌って可愛さを表現に組み込んでいるのが、意外で新鮮すぎた。
時が過ぎ、この曲。みんな大好き「どっかーん」のあの言い方。凄い。
もはや「かわいさ」すらも手札のひとつとして、切り札に使えるんだ。
あの時の火、暖かかった。
この曲、聞き返すほど演奏がかっこ良過ぎると気づく。
ギターが楽しそうな曲。ショーマさんのいい笑顔が想像つく。
ピアノも終始ハイスピードでラスサビの暴走が最高。ベースもシンセもドラムも軽快と重厚を行き来しながらこの曲の完成度を担保している。
そしてストリングスの行間を埋める特徴的なフレーズと、歌唱の裏での美しい旋律。
整理された精巧な熱が、この曲のクオリティを底上げしていた。
オリジンVALISのキレのあるダンスも「ホワイトブーケ」との対比でとても良かった。
撮影許可パートなのかあやふやだったので、そのあたりのアナウンスもう少し明瞭にしてくれたら良かった。
バンドメンバー紹介
DAY2と引き続き、このライブのプロフェッショナルな9人のバンドメンバー紹介。
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名前の漢字など調べるにあたって、改めて再認識したこと。
どの方も経歴がものすごい。
そして初期の花譜バンドメンバーが3人も残っていて、この大舞台まで連れてきてくださっている熱いストーリー。
この二日間の長い戦いを大成功に導いてくださった、最高のバンドだった。
19 この世界は美しい feat.Guiano
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※パンフレット記載の曲名と違いますが、おそらく作成時の方が前なのでライブで発表されたタイトルを正規としています。
ここでさらにゲスト!Guianoが今日は袖から登場。
花譜×Guiano 花譜サイドの楽曲では意外にも実現していなかった。
しかしここでついに交わった。
かっこいいメロディを、かっこいい二人の歌声で真っ直ぐにぶつけてくる。
シンプルな攻撃力で会場を大きく湧かせていた。
最後のGuianoの熱い言葉。
二日に渡り代々木第一体育館の大歓声を生身で受けたからこそのものだと思う。
タイミング読めなかった花譜「Guiano…さん…」
いつか来るこのときのためにあった渾身の一曲のような印象を受けた。
Guianoアプローチが、この先花譜の世界に及ぼす影響への期待感。
花譜はあらゆる音楽をモノにして、唯一無二にして発露していく。
そして、花譜の作る音楽の居場所もあったはずだ。
〈第五部〉 廻花
せっかくなので、あの時間の心の中の実況を挟みながら書こうじゃないか。
深化Alternativeは現時点で9段階あるとされている。
深化Alternativeとは、可能性の拡張
SINKA LIVE で各魔女に起きた深化Alternativeが花譜でおさらいされていく。
深化Alternative4
バーチャルアバターを複数持ち、ひとつだけの外見から自由になること
VIRTUAL BEING KAF は深化Alternative4だったのか、と判明。
この説明文の書き方。つまりその先がこの後起きる…?
この時点で、筆者は心臓バクバクだった。
本記事冒頭で書いた予想のひとつ。それが現実になるのかもしれない…。
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渋谷にいる若者たちの元へ、鳥になって駆け回る。
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予感が止まらない。もう…これは…出るのか……!?とうとう……!?人間と触れ合い、数を増やしていく「花譜」だった鳥たちが、再び代々木第一体育館上空に集まっていく。「魔女」インストが気持ちの盛り上がりを増長させてくる。そして発表される、第五の可能性の正体。
深化Alternative5
現実の身体に、バーチャルインターフェイスを実装し、リアルとバーチャルの関係性を反転させた「あらたな存在」へと分岐すること
?????!!!!????
もう少ししっかり読ませてほしい!!
「彼女」なのか!?それとも「花譜」のアップグレード!?
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つ、つまり…出るのか…!?「彼女」が…!?
花譜
これまでの5年共にした彼女の半身の名前は、変化する。
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バーチャルシンガーソングライター
廻花
黒いシルエットの人間が、フリルのついた衣装で、二つのお団子ヘアで、上モニターに登場した。
ここからは花譜じゃないってこと…?
当時、12列でもしばらくはオリジンでそこにいるのかと思った。
どよめき。「マジで!?」「…え?」などの声。
もちろん自分自身も理解が追い付いていなかった。
ここで、筆者が「怪歌」で起きることのいくつかの予想を落としておく。
花譜が花譜の姿のまま、超技術でギタートラッキングして、自分の歌をギター弾き語り。会場を感動の嵐にするフィナーレ
バーチャルシンガーソングライター花譜の新曲ラッシュ。「マイディア」や「リメンバー」も再演。
花譜オリジンが登場。さすがにまだやらないかもしれないが、いつかはする気がする。「不可解」からの変化として起きる可能性があるかも
まだオリジン花譜だと勘違い中なので、予想が当たったのかと心拍数跳ね上がっている。
だから数秒の思考停止のあとに「え、もう!?」と思った。
半信半疑ながらも、最終的には「いいぞ!やっちまえ。」という謎に応援の思考になった。
予想は外れた。
この神椿代々木決戦、最終決戦の相手は、「彼女」の第二の半身になる、生まれたての「廻花」だった。
20 ターミナル
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挨拶もなく、まずは歌で自己紹介するかのような、衝撃の歌いだし。
あの歌声なのに。あの姿じゃない。
俺たちと同じ人間のシルエット、俺たちと同じ人間の細かい動きがそこにはあった。
会場からは「ええええええええええーー!????」という、困惑と驚嘆の声があがる。こんなライブの声出しはなかなかないだろう。
しかしすぐに許容したか、歌への賛辞としてか、「Foooーーー!!!(拍手)」が廻花に贈られる。この日で一番かもしれない、忘れられない思い出だ。
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ハンドマイクを持ち、持ち替えたり両手で握ったり。
髪の毛の束感のなさ、歩き方の違い、体を曲げて全身で歌う姿。
輪郭が分かってしまう。複雑な手の形も。
実写やシルエットでの出演ではないのに、ここまで本人に近づいてきた。
ライブで、演奏と合わせてこんなことができてしまうのか。
これだからこのコンテンツはやめられない。
今までの手紙のようなテーマの自分の歌から、本格的にシンガーソングライターしはじめた印象。
「ひしめき合うターミナル」遠出で東京駅行くとよく思うこの気持ち。
彼女にとって今は住処になった東京に生きる今の心境のように思えた。
ポエトリーリーディングから激情のサビまで、力を込めて歌っているような。
花譜のときのゆらりとした手の動きとは大きく変わった。
表現のタガが外れたかのように、かなり動く。
花譜の面影があまり無く、パワーを感じた。
にしても、なんてオシャレなアレンジなんだ。
ソウスケさんのアレンジで自分の作った歌を披露できる、恵まれたデビュー戦だ。
ピアノもベースもドラムも最高すぎる。
下ステージでは、rainaさんと水村里奈さんがコンテンポラリーダンスを披露。
未だカオスな脳に刷り込まれていく。
水原里奈さんは「しゅげーハイ!!!」MVの振り付け、出演もされている。
MVの人だと現地で気づきたかった。「イマジナリーフレンド」で後藤栞奈さんが出てきたときの興奮は今でも覚えているだけに。
情報過多だ。説明を…と思っていたら、歌い終わりに廻花が話し出す。
自己紹介。緊張しているけど今までの作ってきた曲たちを出していく宣言。
まだ続く。この時間は二度と帰って来ない。
21 ひぐらしのうた
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高校二年生くらいに作った歌というパワーワードと、込められた決して明るくないメッセージにドキッとした。
花が咲いている樹のあるサイドの透過LEDに、原稿用紙のマス目と歌詞が出る演出、本当に良い。
眠れない夜があったのか。彼女にも。当たり前なのに。そうか。花譜の最強感で気づいていなかった。なんということ。
優しい曲調だが、かなりポエトリー部分がエグイこと言っている。
周りが大人になっていく中取り残されていく不安。大人に成らなきゃいけない焦燥からの不安。話す言葉のテンポについていけない不安。さよならに時間をかけて、日が暮れることに喜んで、ごまかして生きている感覚。
どこまでが彼女の人生の反映なのかはわからないが、この歌がすべて彼女のことなのだとしたら…。
「幸福は想像の敵」という、「映画大好きポンポさん」の言葉に強い共感を示していたのも、そういうことなのか…?
そしてこれは筆者にとっても刺さりすぎる詞だった。
語彙はそれなりにあっても、流暢に選べない。
子供でいたい。でもこのままでいたくもない。
痛いほどわかる。だから泣いてしまった。
廻花の歌でも泣かされた。
「ねむ―。ねむらなくちゃ いけないのにな」
ここに廻花の才を感じた。
22 スタンドバイミー
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ピアノのみの静かな始まり。手拍子いらない。
プラネタリウムのような優しいピンク色の星空が代々木第一体育館の空に。
巨大な結晶のあるステージには光る輪。さらに光の柱が出てきた。
大人になんてなりたくない。
カンザキイオリ本人の楽曲でも度々出てくるテーマ。
下を向いて、たまに顔を上げて、優しく歌う廻花の姿に心打たれる。
そして、繊細な高音でも一切外さず、余裕がある声の伸びに圧倒された。
ダンサーのお二方の歌詞に合った振り付けも、見返してみてたくさん気づくところがあった。
一曲にここまで惜しみなくエンタメを集結させる精神。
MC3
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「かいかちゃーん!!」「ありがとー!」などの声援が止まない空間。順応早いなぁ。
花の循環する命。廻る花という名前に込められた、「いつまでも歌いたい。」という純粋な欲望。
大学卒業くらいで区切りが来るのでは?なんて思っていた筆者にとって、この言葉は嬉しかった。
大切な花譜とは違うかたちの、もう一人の自分の可能性。
彼女のよいパーソナルな部分を発揮するための新たなかたち。
謙虚な彼女の、めずらしく欲張りな姿勢。
とてもいい変化だと思う。
ようやく「廻花」の意味、誕生理由に合点がついて、二度目の「これは永遠に推せる」という気持ちになった。
ハンドマイクでの声の遠ざかりや近づき、衣擦れの音、揺れる声色。
すべてが新鮮で、花譜じゃない本人に近い喋りを垣間見ているような特別な時間だった。
23 転校生
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久しぶりに「千と千尋の神隠し」観て、自分が転校生だった時のことを思い出したところから生み出した曲らしい。
唐突に日常的なエピソードだったが、転校生の経験者の視点の曲って面白いなと思った。
言葉の語頭や語尾を何度か繰り返すのが好きなのだろうか。
「て、て、て、て」「ねむ―。ねむらなくちゃ」「てん、てん、転校生」
音遊びに歌詞を付き合わせているような。自由な譜わりに、自由な言葉の使い方だ。
かわいらしい曲調だが、世界が一変する「転校」というイベントのつらさ、経験からくる具体的なワードセンスが引き締めてくる。
「火付けの鼓動 ド・ド・ドン」とか、もうすでに彼女しか作れない詞と曲の個性があったと思う。
廻花とステージを映す巨大モニターのなかにさらに巨大モニターが降りてきて、映画のような実写映像が流れていた。
前日くらいに冒頭の部分がXに投稿されていた。
映像は山戸結希監督。
花譜1年目の「ホットギミック・ガールミーツボーイ」での繋がりが、ここでまた実現するなんて。
すでに花譜の活動が廻花へ影響を与えている。
MC4
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とても長く、丁寧に語られた。
花譜の活動のなかでの彼女の葛藤と決断。
コンテンツとしての成長速度が以上に速く、子供と言っていい年齢からそれに引っ張られてきた「花譜」という人生。
するたびに早々に目標額を達成し、大きく超えたクラウドファンディングの大成功。
年二回ペースで壮大な世界観をどんどん大きな箱で披露できてしまう環境。
彼女の力だけではないのは、確かに事実である。
高校生をしながら豊洲PITを埋め、大学生をしながら武道館を埋めた。
「花譜」チームのプロフェッショナルさ、本気さに、ほかならぬ本人が「花譜」を代表していいのか?という葛藤と闘っていたという。
「臆病で、劣等感の塊」なんて、花譜の口からはそこまでの自己分析を聞いたことはない。
最強感のある花譜ではなく、生まれたての廻花だからこそ、語ってくれることなのかもしれない。
「言葉に出せず、気持ちが凪ぐのをまっていた」それは苦しい。
歌でなら、人を傷つけたり、悲しませたりしないで済む。
それがより個人的なものになったのが「廻花」の曲であると。
これはただのファンの作り話だが、武道館でとうとう泣いてしまった彼女のストーリー。
武道館で、自分が作った歌を発表したとき、歌というものの彼女なりの今の答えを見つけた。
極論全部嘘って言えちゃうかもしれない。でも聴く人に届くことで、本当になることだってある。
そういう気付きを得たことで、それまでの苦闘から解放された、感情の激流の涙だったのかもしれない。
「マイディア」という、観測者への手紙が届けられた瞬間が、我々の想像以上に彼女にとっては革命的な瞬間だったのかもしれない。
歌はアーティストものなのか。聴き手のものなのか。
ぱんぱかカフぃRで大沢伸一さんは「世に出したらお客さんのものって考えると良いかもね」みたいなことを仰っていた。
そのときの花譜の反応を思い出すと、「武道館での気づきは間違ってなかった…!?」みたいな気持ちがあったかも…なんて。
流石にいちファンの暴走した妄想だが。
彼女のような人生は、世界に彼女だけしか歩めていないと言えるだろう。
他のV業界や、覆面アーティストでも、V.W.Pのメンバーにもあり得る葛藤かもしれないが、彼女のそれはひときわ特殊だと思う。
人生だとか、青春だとか、不条理に思うことなんて無かった。歌が好きだっただけの雛鳥。
青い目と桜色になびく髪、私はどう見えるかな?という迷いを抱え、「まあいいや、今は楽しいから」で気持ちを押し込めた青雀。
私だけど私じゃないんだ。と、花譜と自分は違うという気持ちを裏表のように結論づけた燕。
本気で心を揺さぶられたり 騙されたり
この歌詞、花譜で一番くらいに好きだ。
虚構だなんて百も承知、騙されて4年半推してきたんだよ。
もう一人の可能性の姿を作って、そこをあらたな自己表現の居場所にして。
誇れなくても、悩んでもいいけど、この先も夢見せてくれ。
満足するまで。
24 かいか
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長いようで、やっぱりあっという間だった神椿代々木決戦最後の一曲。
美しい結晶、漂う光、バンドの演奏が廻花の真っ直ぐな言葉を盛り上げる。
廻花「幸せな時間も、もがいた時間も、すべてこの世のどこかで歌として受け止めてくれて。それが存在証明となるなんて、この上ない幸せだと思います。」
廻花「0から1をみんなの前で始められました。」
もう花譜とは見れない。ここは廻花の世界だ。
シャボンが会場を漂う。天井には花の形のライト。まるで再びこちらに魔法にかけにきているようだ。
擬音や音遊びが、幼げな言葉というより、本音の言語化に思えた。
「生まれる前から きみを知っている」
「初めまして うまく言えないのはお互いさまなのがいいな」
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廻花に戸惑っている観測者もいるだろう。
だから、「初めまして」をうまく言えないのは、私も一緒だよ。っていう、最高に優しい歌だ。
でも「変わり続けていくけど ぼくはぼくだから まわりだした花」
選んだ道に自信をもって、信じてついて来て欲しいというメッセージも感じられた。
ペンライトを振りながら、終わる寂しさよりも、予想外過ぎた第二の可能性の始まりで、この先への期待感が膨れ上がっていた。
これ以上の感動。これ以上の衝撃だって、まだまだ期待できてしまう。
最後は銀テープ発射のグランドフィナーレ。
最後のドコドコダッシュもしない。
たしかにあれは花譜のビジュアルだから面白いっていうのはある。
演技とは言うまい。あれも花譜のときの彼女の姿なんだと思う。
真っ直ぐ、深いお辞儀をした廻花。
観客側に白いライトが向き、会場は最も明るくなり、終わりの時間がきた。
ラストMC
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観測者「(大歓声)ーー!!」
どこか震えの混じる声で、たったひとりで広大な空間の中央で、語る廻花。
あぁ、これまでの「不可解」のラストMCの面影だ。
最後に花譜の姿は登場しなかったが、この最後の言葉は花譜と廻花の2人の共通の気持ちだと思う。
感謝も、生きてくださいという願いも、花譜の姿でずっと言ってきた。
変わらない最後の言葉だが、誕生し、今まさに観測者に新たな魔法をかけた廻花の姿で伝えられていた。
花譜とは違うけど、花譜の時のすべてが廻花の成分であり、相互に刺激していくのだろう。
少し深呼吸のような息の音、そしてぎこちなく、覚悟を決めたように
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彼女「みんな、愛してる!花譜でした。そして、廻花でした。またね。」
代々木第一体育館の大歓声の一人として、ようやくその名を叫ぶことができた。
「廻花ーーー!!花譜ーーー!!ありがとうーーー!!」
そうして消えていった。
不思議と終わったことへの喪失感みたいな感情は無く。
とんでもないライブだった…とただ満たされていた。
エンドロール
最後の朗読。
花譜と廻花の対話のような。
おたがいが息をして、影響しあって、ここにいる。
周りの言うことに流され過ぎず、力強く、誠実に。
ふたりは誰かのあしたのせかいをかえていく。
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そしてエンドロール。
最後の最後に笹川真央×花譜の新曲「Replaceable Goodbye」が流れた。
退廃的で、最高にエモーショナルな世界観だ。何度でも聴きたい。
その後は「心臓と絡繰」のインスト。
「and you !」
この二日の決戦を見届けた観測者同士で、互いに拍手と歓声が送られた。
エンドロール後
SINKA LIVEの系譜ではないからか、Lが登場するムービーは無かった。
しかし特別な、極めて重要なライブだった。
KAMITSUBAKI INFORMATIONの観測者のノリがどんどん良くなっている。
「か~ら~の~?」とか、ライブの余韻とは切り離して8つもの新情報に歓喜していた。
See you! Next Experience!
神椿STUDIOからの「またね。」これで本当に終わったんだな。と思った。
終演後
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名残惜しい。
ここにずっといたい。
DAY1ほど遅くではないので、終電の心配はない。
まあ退場の妨げも良くないので、目に焼き付けながら退場。
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現地でもXでも、思い思いの感想を言い合う観測者たち。そりゃあ、話したくて仕方ないだろう。戦い抜いた身体を休めるべく、頑張って帰宅。すぐ寝た。焼き付いた光景を早く睡眠で定着させたかった。まあ単純に次の日早いのもあった。
「観測者」というファンネームだが、本当に未観測なものについて議論じみた話をしている不思議な日々だった。
もちろん、ライブへの純粋な感想もたくさんあったが。
「廻花」について
改めて、「廻花」への個人的な意見を。
結論から言うと。大いに肯定である。
ずっと前から思っていること。
花譜は、いつかバーチャルでなくなっても構わないと思っている。
そうなったときに花譜という名前でなくなっても。
願わくば、その先も歌手であって欲しいとは思うが。
花譜のありのままの喋りや成長していくさまは、アバターごしなのによっぽど人間だ。
揺れるフードも青い目も桜色になびく髪も、彼女が表舞台に立つ決心をするまでの姿かもしれない…それでもいいと。
花譜に人生のリソースを割くくらいのファンになって4年半。
花譜は今まで一度もこちらの期待を裏切らない存在で、もう花譜の最強感に何の心配も疑問も持たなくなっていた。
カンザキイオリ卒業のときすら、「花譜ならこの先も変わらず強くなっていく」と確信していた。
昔から見ている分、花譜への親心みたいな気持ちもそれなりにあるが、それを超えて「尊敬」「羨望」に近い気持ちがある。
花譜は大丈夫。
でも彼女の方はそうとは言えなかったのかもしれない。
公式記事で詳しく語られた、彼女と運営の決断までの話。
これからもいろんな歌を自分なりに歌っていきたい、花譜としての活動。
新たに芽生えた希望。歌を作って自己表現をする、廻花としての活動。
聞くのも。歌うのも。そして作るのも。
歌が好きな1人の人間が根幹だ。
ただ、活動の形態で第二、第三の自分が必要だっただけなのではないだろうか。
大切な花譜がこの先も花譜であるために。
作った歌を、彼女により近い姿で歌う存在として、廻花を生み出した。
この世界の中でもとりわけ稀有な形をとっているアーティストだからこそ、前代未聞でも成し遂げていけると思う。
最後に。おこがましくも、彼女に望むこと。
嘘で人を泣かせたって良い。本当の自分を出したって良い。
遊んで、楽しんで、作って、歌っていて欲しい。
…結局親目線かよ。やめとけ。
俺はただの一般観測者だ。
おわりに
2024年の1月は自然災害や事故ではじまった。
異様な暗い空気が日本全体であったように思う。
観測者にとって1月13、14日は希望の日だったが、どう迎えればいいか考えてしまった人もいただろう。
しかし、代々木第一体育館とその周辺での祭りのような時間で、ようやく晴れ晴れとした気分になれた人もいたはずだ。
悲しみがなんだってんだ 苦しみがなんだってんだ 僕らの時代じゃ誰もが
鬼の居ぬ間に笑っているよ
きっと僕も誰もが狂っていると思うんだ
だって だって 楽しくてしょうがない
2日間、楽しくてしょうがなかった。
キッチンカーも、雨も、雪も、終電ギリギリ帰宅も、「現象II‐魔女拡成‐」も、「怪歌」も。
出演者から「ありがとう」って沢山言われた。
こちらこそなんだ。
2日間、幸せな時間を、本当にありがとうございました。
V.W.P、花譜、廻花が人生を豊かにしてくれています。
無理せず、ゆっくりと休んで、またいつか。
どこかで会いに行かせてください。
そして、自己満足で酔狂で長ったらしい記事にお目通し下さった方も、ありがとうございました。
もしよければ、スキ機能やコメントください。喜びます。
「現象II‐魔女拡成‐」レポも書いてますので、よければそちらも。
それでは、次の観測地点でお会いしましょう。
ありがとうございました。
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