2023年度電気通信大学3年次特別編入学試験 化学解答と解説
こんにちは。今回は2023年度電気通信大学の編入試験の化学を解説していきます。構成は大問3つで大学1年で扱う程度の範囲から出題されています。
1. 大問1
大問1は原子の構造に関する問題。
(1)ボーア半径を導出する問題は単純にvを消去すればよい。(2)水素原子を電離するとは何か考えると、基底状態から電子を一つ上のエネルギー準位を持つ軌道に励起するためのエネルギーを聞かれているとわかる。さすれば話は容易になる。(3)基底状態の電子配置を書かせる問題。わからないとまずい。(4)イオン化エネルギーに関する問題。Alは3p軌道に一つ電子をもっており、第一イオン化エネルギーはその電子を取り去るために必要なエネルギーにあたり、クーロン引力が距離の二乗に反比例することがわかっていると、Mgの3s軌道に存在する電子を一つ取り除くよりエネルギーが少ないことがわかる。
2. 大問2
大問2は化学結合に関する問題。
(1)塩化ナトリウムの結合に関する問題。エネルギー図を描いて想像ができたか、またクーロンポテンシャルの式を思い出せたかが勝負の分け目となっただろう。あとは問題が細かいので見落とさないようにしたい。特に筆者は当日の試験中塩化ナトリウムの結合原子核間距離を見落としそうになった。
(2)分子軌道法に関する出題。酸素分子の分子軌道のエネルギー順位図を描かせるところから、結合次数は計算を間違えないように。
(3)原子価結合理論の問題。混成の見分け方を復習しておこう。ごく単純に説明すると手の本数によってspn混成の場合は(n+1)本手が出ていると考えれば無難。
3. 大問3
大問3は物理化学、特に熱力学に関して。
(1)エタノールを酸素で酸化し酢酸にする反応について、反応式を書かせ、その標準生成エンタルピーについて問う問題。(c)の導出については定義をきちんと理解しているか、あまり難しい問題ではないがその理解度が問われていた。電通大の化学の特徴として証明問題がいくつか見られる。
(2)は熱力学。そこまで難しい条件ではないことと、与えられた数値が露骨に答えと関係しているため、易しかったのではないだろうか。
4. 終わりに
2023年度も化学はそこまで難易度変わらずといったところでしょうか。もともとそこまであほみたいに難しい問題は出ないので、もし化学で受験する際は基本的な定義などをしっかり理解したうえで基本的な問題で演習を積んでいきましょう。