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43歳一独身公務員の旅行記(ニューヨーク編)最終回「新しい世界へ」

「ほんまに空港に着くんやろうか・・・」
根が至って小心者にできている僕は、空港行きの電車に揺られながらも、やはり不安で仕方がないのだった。海外旅行には、一歩間違えたらホンマに帰れなくなる、という怖さがある。ニューヨークやインドのように遠ければ尚更だ。
 しかし杞憂だった。その後電車はニューアークリバティー国際空港に静かに到着した・・・。一安心だ!

PM22:30ニューアークリバティー国際空港駅到着!
搭乗手続きを済ませて待合室へ。
香港行き出発のアナウンスがされるのを待つ。
帰りもキャセイ・パシフィック航空を利用。
ニューヨークー香港ー大阪と乗り継ぐのだ。
これから長いフライトなので、
待ち時間にトイレで歯磨きしたり身体を拭いたりした。
この待合室の雰囲気、なんか好きだったなあ。

そしてついに香港行き出発のアナウンスがされた!
僕は慌ててリュックを背負い、飛行機の搭乗口へと小走りで向かった・・・!

窓際の席だった!!
窓側席なら景色が見られる!!ラッキー!
飛行機が離陸した・・・!
さらばニューヨーク!
ニューヨークが小さくなってく・・・

 どんどん小さくなっていくニューヨークを見ながら、僕は静かに、しかしモーレツに感動していた。
「死ぬまでにやらないといけないこと」がもしあるのなら、そのうちのひとつを確実にやり終えたという充足感があった。
 僕はiPad(ソフトバンクで買ったiPhoneに、キャンペーンでついてきたやつだが)をリュックから引っ張りだした。そして、誰に読んでもらう訳でもないのに、夢中で先ほどのペンステーションを探してパニックに陥った話を書き始めた。ともかく書きたくて書きたくて仕方がなかった!!

 25歳。僕はCM制作会社の激務に耐えられず、わずか10ヶ月で会社から逃げ出した。六本木の編集スタジオに48時間こもり、発狂しかけたのだ。上司に「もう辞めます。無理です」と泣きついた。その後役者を目指し3年弱活動したが、食えなかった。たまらず大手町の転職エージェンシーに転がりこんだが、担当者には「外食チェーンの店長候補以外に職はないですね」とハッキリ言われた。これは結構なショックだった。30歳目前で100万あった貯金は底をつき、将来への不安が最高潮に達し地元大阪に帰ることを決意した・・・。その時は、自分的にはボロボロな時代だった・・・。執筆しながら、なぜかその時のことを思い出していた・・・。

 「けどひとりでニューヨークにいけたじゃないか」

 他の誰でもない、僕が僕に囁く。そうだ。ちっぽけではあるが、少なくとも僕は自分でいきたいと思ったニューヨークにいけた・・・!

どうして、僕もなかなかやるじゃないか・・・!

iPadで執筆ながら、いつの間にか眠りに落ちていた・・・。

AM6:30香港国際空港に着いた。
2019年1月1日になっていた。
大阪へ向かう。

ニューヨークの夢を見ていたような・・・気がする。

間も無く、飛行機は関西国際空港に着く。

僕は眠っている。眠りながら、瞼の裏で光を感じている。その光に何やら希望めいたものを感じている。

関西国際空港について目が覚めた時、世界はちょっとかわって見える気がする!


   43歳一独身公務員の旅行記(ニューヨーク編)  
                   おしまい

     読んで頂き、ありがとうございました!

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