リハビリクリニック×保育園で何が起きるのか!?

こんにちは!

一般社団法人ファミリハクリエーション代表理事の中川将吾です。
つくば公園前ファミリークリニックという小児整形外科クリニックの院長を務めている整形外科医でもあります。

ただいま、クリニックの隣に保育園を建築中です。

われわれの作る保育園は一般的な保育の考え方とは全く異なります。これまで病院で行われてきたリハビリテーションを、どうやったら他の場所で効率的に行うことができるのか、と考えた結果が保育園なのです。


病院でのリハビリ

まずは病院でのリハビリテーションの特徴について、知っている人も知らない人もあらためて考えてみましょう。

病院というところ、なかなか行きたくないですよね。行けるものなら行きたい人も、近くに住んでいる人も、そう気軽に行けないところです。

受診、診療に関しては、まずは予約して受付。その後に診察を受けて、リハビリテーションが開始されます。1日に受けられるリハビリテーションは外来だとせいぜい1時間が普通。理学療法と作業療法を合わせて2時間という施設もあります。それが週に1回程度。これが公的な医療機関の実情です。

慢性期と呼ばれる症状がある程度落ち着いて、それほどリハビリの効果が出なくなってからはさらに頻度が少なくなります。1時間受けることも稀になったり、2-3ヵ月に1回の頻度になったりします。

それもこれも病院でのリハビリテーションとは医療保険という仕組みの中で成り立つもので、日本全国誰でも同価格で、平等に対応しなければいけないというルールが存在するからです。

医療保険の枠に縛られているこの仕組みは良くも悪くも平等です。リハビリテーションの効果が出やすい人も出にくい人もみな平等。そうなると効率化とはほど遠くなるため、たとえ効果が出せそうな人であったとしても、積極的に回数を増やしたり、1回の介入時間を長くしたり(例えば数時間や半日で外にお出かけする)なんかは難しいのです。

みなさん。どういうことかわかりますね。その答えが『保育園』なのです。

保育園でリハビリするということ

保育園は普通毎日通いますよね。雨だろうが雪だろうが、関係なくです。ここは病院とは大きく異なります。行かない理由がなくなるのです。

毎日、それも朝〜夕方まで保育園にいる。これってすごいチャンスなんです。介入する機会がいくらでもできます。

もう一つ保育園に来ることのメリットがあります。集団活動が行えることです。医療の枠で行われるリハビリテーションは基本的に1対1です。人件費を考えるとセラピストも1人が普通です。しかし、保育園にいると数人で1人に関わることができますし、他の子との協同作業もできます。日常ではそういった機会も多々あります。どれだけ日常に近づけていくかは、特に慢性期のリハビリテーションにとっては重要になってきます。


保育園での活動とリハビリテーション内容の違いを理解しておく必要があります。個人の病態や能力によっても異なってきますが、外から見るとそれほど違いがないのかもしれません。ただ、年齢や他の子と比べると違ってくるのです。

赤ちゃんは自分で座ることができなくても普通に感じます。ですが、それが2歳の幼児だとどうでしょう??あれ、おかしいなと感じますよね。

言葉が話せない3歳の子はどうでしょう??

そういった、当たり前から外れてくる子がリハビリテーションの対象になります。個人の病態や能力を正しく把握し、次の段階にすすめるための適切な運動負荷量や難易度を設定してあげて、日常生活を送りやすくすることがリハビリテーションの極意だと思っています。

保育園の中には児童発達支援事業も立ち上げる予定です。児童発達支援計画を策定し、日常の保育の中で、発達障害の子と肢体不自由の子がそれぞれに刺激し合い、ただ混ぜるだけではないインクルーシブ保育を実践します。

良いことずくめな気がしますが、これを実現するためにはスタッフの専門化という難しいハードルが立ちはだかるのです。

保育園でのリハビリが事業的に成り立つために

これまで述べてきたことを、もう5年ほど前から考えています。

クリニックの開院が2022年。作り始めたのが2020年の初頭。その1年前くらいに病院でのリハビリテーション治療に限界を感じていました。

だれのために、何のためにこの治療が続けられているのだろう。

そう思いながら日々の臨床に立っていたので暗い気持ちになったこともあります。ようやくその想いが実現出来るところまで来ているのです。

保育園の経営についての勉強もしています。保育園は私立であったとしても公金がかなり潤沢に入っており、普通に運営していればまず上手くいかないことはありません。それこそ一番かかってくる費用は人件費です。

内閣府が報告した令和元年の統計によると、われわれの行う小規模保育事業A型の人件費率は約65%でした。(平均利用児数16.7人)年収が400万ほどに設定すると、7人くらいで回すしかないという状況です。(現実的には常勤3人、パート5人くらいかと)

いかに人件費を抑えて、利用園児数を確保するかが重要になってくるのがわかります。

保育園に必要なのは保育士だけではありませんよね。看護師さんや栄養士さんも保育園で働いています。発達支援を行うためにはリハビリテーションのセラピストも働いてもらいます。多くの専門職を雇用していくには、やはり人件費の問題は避けては通れないのです。

そこでわれわれは一般社団法人を立ち上げ、クリニックを同一法人の元で経営していく予定です。先ほどの職種の方たちはもちろんクリニックでも働きます。それぞれの部署で行き来しやすくすることで、必要になってくる人件費や採用のための費用などを圧縮できると考えています。

保育園の利用者などは、クリニックに集まる赤ちゃんや産前産後のお母さんから募集ができます。常に新規の患者さんが訪れているクリニックでは、園児の空き枠のリスクを減らせると考えられます。

さらにさらに、そもそも保育園で利益を出そうなどとは考えていないのです。そうなると、最終利益の分は人件費に回せます。これは多角経営ならではのメリットです。

今のところこんな考えのもと計画がすすんでいます。
長々と見ていただきありがとうございます。これからも応援よろしくお願いいたします。



おまけ:
他にも経営面でのメリットがありますが、おおっぴらには言えないので、そこは別枠で案内します。リハビリや小児医療に興味のある経営者はどうぞ。

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