ドバイ 外資系企業の現地採用でリストラされないコツ
ドバイの外資系企業の現地採用社員として勤務してから早10年。
今まで欧州と東南アジアで同じ現地採用という形態で働いたことがあるけど、ドバイが一番水に合ってる。
この10年どうやって自分が生き残って来れたのか、リストラされないで来れたのか、について振り返ってみたい。
ドバイ 外資系企業でリストラされやすいタイプ
リストラ対象者に選定されてしまう理由はなんでしょうか?シンプルに言ってしまえば、「仕事ができない人」ということになります。
ただし、「仕事ができない」の定義はさまざまですし、仕事ができてもリストラの対象になってしまうケースも多々あります。
① ジョブデスクリプションに記載されている職務を果たしていない
リストラされやすい人は、一言で言ってしまえば、【会社から授業員に期待されている職務内容が明文化されたもの=「ジョブデスクリプション」の期待値を満たせていない人】ということになります。
ここドバイでも、入社前に採用者と候補者はジョブデスクリプションを用いてお互いの価値貢献をかなり念入りにすり合わせをします。
日本と異なりジェネラリストは評価されません。経理だったら経理、マーケティングだったらマーケティング、その道のスペシャリストとしてどのような経験を積んできたのかを評価します。
ドバイはこの辺りのカルチャーは完全に欧米式と言えると思います。
人種により職種がある程度決まっている点が興味深いです。
UAE:マネジメント
フィリピン:サービス業(接客業)
インド:経理・財務
パキスタン・バングラデシュ:ワーカー(建築作業員・タクシー運転手)
エジプト人:サービス業(営業などの販売員)
中央アジア系:営業(不動産業に多い印象)
欧米:金融・マネジメント(不動産業・コンサルティング・IT系に多い印象)
レバノン人:サービス業(特に華やか・派手な業界に多く存在)
なお上記は私のかなりの独断と偏見が混ざっています。
② おとなしいタイプ
日系企業だと美徳だと判断されて結果良い評価につながることがありますが、外資系企業ではネガティブに働くことが多いです。
アラブ人社会はみなさんお喋り好きの人たちで溢れています。ロジックとか理屈とか関係ありません。時間の効率性とかも一切無視。
まずはそんな西欧的な文化よりも、ゆったりとした会話を通じた人間関係をとても大事にします。
とにかく喋る!喋る!喋る!。笑顔で喋るだけで真剣にリストラされない確率を90%まで上げられるんじゃないかくらい大事だと思っています。
でも、注意すべき点もあります。空気を読めないで主張しかしない会話はダメです。
ドバイは他国からたくさんのExpatsが出稼ぎに来ています。必然的に「多様性」を受け入れる土壌ができています。
そのような中、自分自身が「多様性」を受け入れないで自分の主張ばかりしていると結局はうまくいかないということです。
③上司との相性が悪い
ドバイに限らず一般的に外資系企業では上司と相性が悪いと致命的です。上司と合わずに転職していったスタッフを過去何人見てきたことか・・・。
外資系は、日本企業のように人事が強い人事権を持っているわけではありません。その部門のトップが強い人事権を持っています。
例えば、上司が辞めていくときに、部下を引き連れて一緒に転職していくのも部門長が強い人事権を持っているからです。
加えて、日系企業と異なり、スペシャリストでの採用ですから他部門への異動ができず、結局は上司との相性が悪いと、逃げ場がなくなり転職していくことになります。
以前米系外資系企業に勤めていた時は私も上司と合わず地獄でした・・・。結構自分では誰とでもうまくやっていけるタイプを自負していただけにショックだったな。
ドバイでは同じ人種の人間を採用して派閥を構築したがる傾向があります。
特に、インド人とエジプト人にその傾向が強いなと感じます。
マイノリティの日本人は派閥争いに巻き込まれることは一切ありません。これも長く生き延びる秘訣の一つだと思います。
3. リストラ回避のためできること
外資系ではリストラに巻き込まれる可能性は日系企業よりも高いのは事実です。でもその確率を下げるためにできる回避策もあります。
①自身のスキルアップ
②直属の上長との関係構築
③アラブ人特有の考え方を学ぶ
① 自身のスキルアップ
転職の際に細かく確認されることからわかるように、外資系は職場での専門性・スキルが日系企業よりも厳しく問われます。
職場でも、専門性を高めるために自己投資して勉強しているスタッフはたくさん存在します。基本怠け者のアラブ人も自己研鑽しています。
多言語、英文会計、デジタルマーケティングなど、自分の仕事に直結するスキルを常に磨いておけば職場でも直接的に役立ちますし、上司へのアピールにもつながります。
自身のスキルアップは残念ながらリストラにあってしまった場合でも、転職で次の仕事がスムーズに見つかりやすくなるので、リスクマネジメントという意味でもとても大切です。
日本みたいに飲みニケーションが通じる国ではありません。
なお、ここドバイで日本人が強みを発揮できるケースは、やはり日本語を強みとできる日系企業で働くことです。
英語ができる点は全くアピールポイントにはなりません。できて当たり前の世界です。言語に関してはトリリンガルでようやく少し評価されるといった感じです。
アラビア語ができれば、中東全般、フランス語ができれば、旧フランス植民地である、北アフリカ(モロッコ、チュニジア、アルジェリア)や西アフリカ、ロシア語ができれば、中央アジア、とコミュニケーションができるようになります。
ここドバイは多言語・多国籍国家なので、トリリンガルの人材は掃いて捨てるほどいるのが実態です。
② 直属の上司との関係構築
日系企業もそうですが、上司との相性はとても大事です。あなたの生殺与奪権≒人事権を持っているのですから。
特に外資系は人事部ではなく直属の上司がかなりの権力を持っているので日系企業以上に関係を良好に保っておく必要があります。
具体的にどう良好な関係を構築するのかについては、他の機会に深掘りして書きたいと思いますが、必要以上に媚びへつらったりすることでは良好な関係は構築できません。
やはり仕事の実力で認められるのが大切です。「仕事で結果を出して人間性も好かれる」。
シンプルですがこれに尽きます。書くのは簡単ですがそれがなかなかできずにみなさん悩んでいるのですけどね。
③アラブ特有の考え方を学ぶ
アラブ人に特に見られる傾向ですが、「愛嬌」と「ユーモア」がより重視されていると感じます。
仕事の実力も大事ですが、結構上記二つの要素のみで長く生き延びている人も実際いるにはいます。
また、中東の企業は日本よりも社内政治に影響を受けやすいです。正しいからといって正しいことをそのまま押し進められるわけではありません。
中東独自の上下関係、政治、メンツ、宗教(イスラム教)などなど色々な要素が絡んできます。この独特な文化を理解して立ち回るのが大事かなと思います。
終わりに
外資系企業はドバイに拠点があろうがあるまいがリストラはかなり一般的です。
10年間ドバイの外資系企業で働いてきましたが、一般的な外資系企業での御作法を身につけていてそこそこ仕事ができればリストラのリスクはさほど大きくないなと感じています。
ただ、そのリスクをさらに小さくするためには、アラブという国の独特な習慣をリスペクトし、理解し、うまく会社を泳いでいく事が必要なのだろうという事です。