ドバイの不動産は買うな!?
英語の記事を読んでいるとドバイの不動産購入に警鐘を鳴らす記事を頻繁に見かけます。今回はそんな記事をいくつかピックアップしまとめてみました。
1. 不況時に大きな影響を受けるドバイ不動産
2008年のリーマンショック時にドバイの不動産市況は大きな影響を受けました。
今までの加熱していた投資熱が一気に下がり、周りの欧州駐在員が仕事をクビになりぞくぞくと母国に帰国していた光景を覚えています。
空港や差し押さえられた自宅に放置された高級車の写真をメディアでよく見かけたものです。
実際に不動産価格は2008年〜2009年にかけてこの通り価格が下がっています。
一般的に不況時はエネルギーセクターと不動産セクターは影響を受けやすいと言われています。
UAEは過去に産業の多様化を積極的に進めてきました。1971年と比較するとある程度成功してきたと言えます。しかしながら、依然としてオイルセクターの構成比が30%と非常に高いです。
https://www.mof.gov.ae/en/FederalDebtManagement/Pages/Economy-Overview.aspx
加えて建設と不動産セクターもそれぞれ、8.4%と5.7%と高い数値となっています。
不況時に影響を受けやすい産業構造となっているのです。
2. ドバイ不動産は供給過多
この部分については私個人もいつも気になっている懸念事項です。
ドバイの人口は約300万人。これは日本で言うと大阪市レベルの人口規模でさほど多いとは言えません。
にも関わらず、ありとあらゆるところで建築中のビルを目にしますし、新たな建築プロジェクトが立ち上がっています。
例えばダウンタウンドバイに聳え立つ数々の高層ビル。
夜に車で通ることがありますが、電気がついていない部屋も多数あり、実際に部屋が使用されていないようにも見えます。
加えて内陸部の砂漠地帯にも、すごい数のヴィラが建築中となっており、供給過多という印象は拭えません。
一方で、高級物件はまだ供給が少ないなどの理由で楽観的な記事も散見されました。実態のところは調べてもよくわからないのが正直なところです。
3. 地政学的なリスク
ドバイが位置する中東湾岸地域は、さまざまな国の思惑がモザイクのように入り乱れています。
最近ではペルシャ湾・アラビア湾のすぐ対岸に位置するイランに対抗するために、アラブの共通の敵であったイスラエルとも手を組みました。
2017年にはUAE及びサウジがカタールと断交しました。
サウジの隣国であるイエメンでは依然としてイランとサウジの代理戦争が行われており、UAEも加担していました。
中長期的な懸念点としては、サウジとUAEの関係です。サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子はサウジの自由化に向けて積極的な改革を推し進めています。
言ってしまえば、UAEが呼び込んでいる外国人をサウジに誘致しようという内容です。
となると、両国の政治的な関係悪化もさることながらサウジへの移民が増えると言う点で、UAEの不動産産業にも影響を及ぼす可能性があります。
4. 終わりに
ドバイの不動産は景気の影響を受けやすいという点については私自身も納得感があります。
ここで生活していると、アパートの部屋の賃貸価格の変動の激しさに驚きます。ホテルアパートメントだと、前年比30%〜50%の値上げを平気で要求してきます。
ドバイではレバレッジをきかせたキャピタルゲイン狙いの投資ではなく、実需がきちんと刈り取れるインカムゲイン狙いの投資であれば、不動産価格の変動に一喜一憂する必要はないのかなと考えています。
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