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医学教育の中の気候変動

昨日ぶりの投稿です。

私にとっての気候変動×医療の師匠の先生が、FacebookとTwitterで私のブログを宣伝してくれたので、ガンガン書いていきたいと思います!(笑)

写真は、私の知り合いがやっているお蕎麦屋さんの美味しい天もりです。なんで蕎麦ってこんなに美味しいんですかね?しかも作る人によって味が全然違います。医療みたいです。

さて、今日は師匠にオススメされたFBグループで取り上げられていた論文です。
"Improving the medical curriculum on planetary health and sustainable healthcare"
BMJ2022;376 doi:
https://doi.org/10.1136/bmj.o209(Published 25 January 2022) :BMJ2022;376:o209

テーマは『地球規模の健康と持続可能なヘルスケアに対しての医学教育の改善』って感じでしょうか?
現在、地球規模での気候変動によって健康への被害も生じつつあるのに、それに対して医学部での教育は行われているのだろうか?という点に関する意見型の論文となっています。
目の付け所がすごい!!私もそんな医学教育受けたかったな〜と高学年になって感じております。

論文の中では
『患者は病気の原因や危険因子について医師に相談するが、ほとんどの医師は、気候変動の健康への影響をすでに受けている患者が増えているにもかかわらず、患者が現在直面している最大の健康リスクについて知識を持ち合わせていない』
という記載があります。たしかにそうかもしれません。
例えば年々気温が上昇していて、熱中症になりやすくなっているのに、どれくらい熱中症の頻度が上がっているか、これからどんな健康被害が出てくるか、といったことまで患者さんに情報提供できる医師は少ないかもしれません。

また、こんな記載もあります。
『英国では、一般医学会(GMC)の卒業生ガイダンスのアウトカムに、持続可能な医療に関する教育が含まれるように最近規定が追加された。しかし、現時点では地球規模の健康についての教育は求められていない。大学院レベルでは、国のオンライントレーニングのプラットフォームに「環境的に持続可能な医療」という記載があるもののオプションとなっている。』
え!?海外の医学教育はそんなレベルまで話が進んでるの?全然進んでないと論文には書かれていますが、日本と比べたらかなり進んでいると感じるので、とても羨ましいです…


『最近の世界的なデータでは、気候変動に関する教育を実施している医学部は全体の15%に過ぎないが、この調査※では、その内容や持続可能な医療に関する教育については詳しく触れていない。』
※ Omrani OE, Dafallah A, Paniello Castillo B, et al. Envisioning planetary health in every medical curriculum: An international medical student organization’s perspective.Med Teach2020;42:110711. PMID:32757869
今度、この論文も読んでみたいと思います✨

そこで筆者たちは「Planetary Health Report Card」を開発したそうです。これは、学生主導のプロジェクトで、地球規模の健康と持続可能性に関する医学部の取り組みを評価するものとのことです。
『カリキュラム、研究、コミュニティへの働きかけと提言、学生主導の取り組みへの支援、キャンパスの持続可能性の5つの分野で医学部を評価する、指標に基づく取り組みである。2021年4月にIPCC(昨日ブログに書いた団体です)第2回年次報告書が発表され、5カ国(米国、カナダ、英国、アイルランド共和国、マレーシア)の62校の医学部を評価した。その結果、医学部による地球規模の健康や持続可能な医療に関する教育や取り組みが不十分であることが確認された。カリキュラムの項目はどの国でも著しく弱く、持続可能な医療について教えることが強化されている英国でさえ、参加した30の英国医学部のうち3分の1は、コアカリキュラムで持続可能な医療について全く教えていなかった。しかし国際的な多くの学校では、すでにコアカリキュラムに恒久的な変更を加え、PHRC運営グループを結成し、カリキュラム全体を通して教育を統合している。』

いや待って。逆にイギリスだと医学部の1/3は持続可能な医療について教えてるの????
日本取り残されてない?????
めっちゃ授業受けたいんですけど、っていうのが私の感想です。

今、日本の医学部では、世界医学教育連盟(WFME)で認定された大学の医学部卒業生しか米国臨床留学できなくなるように変化してきています。
このコアカリキュラムが世界中に普及されれば、日本が認定を受けるためには導入必須になるかもしれませんね。
そんな日が来ることを願ってます^^



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