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がんオペ終わった妻の入院生活
妻はオペ当日と翌日は声が出せないほどだったが、状態は日に日に改善していった。
採血、レントゲンの検査もクリアしていき、うがい+点滴が、白湯+清汁+点滴になり、流動食へ変化し点滴が外された。オペ後5日目にはおかずが普通食に近くなった。これは人工肛門(ストマ)を作ったので食事の制限が緩いのだ。体力回復のためには良いプランなのかもしれない。そしてドレーンもカテーテルも外れた。これらの管を外すのは麻酔もせず処置され痛そうだが、本人は「内臓が引っ張られる感じが痛い」とあまり想像できない感想を述べていた。カテーテルが外れると、残尿検査なるものがあり何かに引っかかるとまた処置が必要だそうで、1回目は▲、2回目でも▲なら不合格らしいが2回目でクリアできた。
これで退院の要件がほぼ揃ったことになる。今のところ翌日退院というところまできた。
在在期間も長くなってきたのか大部屋の同居者とも仲良くなり皆似たような病状で色々話し合っているそうだ。私はオペ済みだとか、私は明日だとか自分たちの状況を話し始める。妻は医療者ということにおせっかいが加わり、向かいのベッドのおばあちゃんを素人としてオペに送り出したり、隣のベッドのおばあちゃんの便処理失敗に素人として持参の紙おむつをあげたりしているそうだ。病棟看護師は多くが妻が医療者ということを知っているようでやりづらそうだ。「釈迦に説法ですが…」「ご存じだと思いますが…」がいちいち枕詞がついて煩わしい。しかし私と違い妻は割と丁寧に人と接するタイプなので人に好かれる。ここでもそうだったのだろう。退院日は数名の看護師が挨拶に来てくれた。
退院後の計画は、切り取った部位を病理にかけて転移の可能性を精密に調べる。オペやCT検査では確認できなかったが、病変とその周辺を調べもし異常があれば抗がん剤治療などが始まることになる。その結果には1ヶ月かかるので少なくともその結果を聞くまでは油断できない。
さて妻の退院後の受け入れ準備が想定できない。妻本人は準備不要というが、傷は痛いしストマもあるし。ストマは身体障害者認定対象だが、妻のように一時的なストマだと何の支援もなく衛生品の購入も自腹だ。医療費の確定申告で控除されるが、今から年末までの負担額を考えると病院に証明書を発行してもらう手数料のほうが高い計算くなる。1日千円ちょいの経済的負担は最低3ヶ月つづく。
汚物を捨てるための匂いが漏れにくいゴミ袋は用意しないと。いろいろ試して一番良いものを選ぶことになると思う。外出先では中身が見えないビニール袋が必要かもしれないし、寝ているときに漏れるかもしれないから何を敷いておこうか、とかいろいろ想像しながら準備する。そんな準備の買い物も気軽にはいけないので、十分に狙う必要がありそうだ。入院前の視察ではカインズホームが充実していそうだった。
ちなみにストマをオペで閉鎖した後は1日20回ほどのお通じに見舞われるそうだ。外出先で行列ができるお手洗いをよく見かけるが、あそこに並んでは間に合わないかもしれない。そういう意味で外出に不安や制限がかかりそうな印象だ。
少し重い人から言うと甘っちょろいと思うが、初期でがんが発見できたと聞くとまるで何事なかったかのような出来事になると想像してしまっていたが、実際には生活に変化が伴う。
タイミング良かったのは世の中に在宅勤務が一般化したこと。これがなかったら妻をここまで手厚くフォローしてあげられなかったかもしれない。