福岡・香椎の『曙のつどい』:5.15事件の原点と、維新への熱き想い
福岡県東区香椎にある『曙のつどい』は、1930年12月、藤井斉や井上日召らによって、5.15事件の最初の謀議が行われた場所です。現在はマンションに建て替えられていますが、当時の面影を残す石碑が入り口に立っています。
石碑には「曙のつどい」と刻まれ、裏面には5.15事件の謀議の概要と、事件後の経過、そして建立者である森信夫氏の熱い想いが記されています。
歴史の転換点となった5.15事件
1932年5月15日、海軍青年将校らによるクーデターが起こり、犬養毅首相が暗殺されました。この事件は、日本を軍国主義へと導くきっかけとなったと言われています。
当時、地方は深刻な貧困に苦しんでいました。娘を売らなければ生活できない家庭も多く、陸軍の中隊長の中には、自分の給料の一部を隊員に分け与えていたほどでした。
一方、中央政界は、光州事件を見過ごすなど、民衆の苦しみに目を向けず、財閥と結託して利権を貪っていました。
こうした状況に憤慨した青年将校たちは、国家改造を目指してクーデターを起こしました。しかし、彼らの願いは叶わず、多くが処刑されました。
『曙のつどい』に刻まれた維新への願い
石碑の碑文には、事件後の経過と共に、維新への熱き想いが込められています。
「維新なお成らず歳を経てここに会せるものも或は逝き或は老いたりし」
事件から40年近く経ち、かつての同志も亡くなったり、老いたりした。しかし、香椎の森の緑は変わらず、彼らの壮心は依然としてこの地に留まっている。
「われ当宿の主としてそのゆかりを愛惜しここに一碑を建立し往年の有志の悲願を記念するとともに他日の維新開顕を祈願」
旅館の主である森信夫氏は、事件の記憶を風化させないために、この石碑を建立しました。そして、往年の同志の悲願を継承し、将来の維新を祈願しています。
福岡大宰府:もう一つの維新の舞台
『曙のつどい』と同様に、福岡県にはもう一つの維新の舞台があります。それが、太宰府天満宮です。
太宰府天満宮は、菅原道真が九州に左遷された際に建立した神社です。道真は、政治改革を目指しましたが、讒言によって左遷されました。太宰府天満宮は、彼の無念と改革への熱意を象徴する場所として、多くの人々に崇敬されています。
『曙のつどい』と太宰府天満宮:共通するテーマ
『曙のつどい』と太宰府天満宮は、時代や場所は違いますが、共通するテーマを持っています。それは、腐敗した政治を正し、理想的な社会を実現しようとする熱意です。
これらの場所は、単なる歴史的建造物ではなく、私たちに未来への希望を与えてくれる場所と言えるでしょう。
『曙のつどい』を訪ねて
『曙のつどい』は、日本の近現代史において重要な場所です。5.15事件の原点と、維新への熱き想いを肌で感じるために、ぜひ一度訪れてみてください。