第14回ファミカン岡山(2023/12/13開催)
今回のプレゼンターは、都立松沢病院/給田ファミリークリニックの志水健太先生です。事例は、愛着障害を抱え、母親を巻き込んだ「確認行為」がやめられない思春期女性でした。
ディスカッション
・個人レベルでは愛着障害+複雑性PTSDの要素あり。基本的安心感が育っておらず、他者との安定した関係を求めている。
・強迫行為というより、母親への試し行為という意味合いもありそう。また母子のコミュニケーションは伝わらない事が積み重なって、分かりやすい『物』の要求になった可能性はある。また、追う者-追われる者の関係にも陥っており、親子というよりカップルのボーダーライン気味の彼氏を振り回す姿に似ている。
・おじいちゃんの押しで学校に行けと母親が言ってしまった出来事は、私を守ってくれるはずの母親が敵サイドについてしまった様な感覚で、唯一の心の拠り所だった母親が相手サイドについてしまったという様な本人のイメージがあったかもしれない。そのあたりから、お母さんは向こうなの?私の側なの?という様な彼氏彼女の関係になったきっかけになったかもしれない。
・日常のルーチンを受け入れさせる事で愛情を確認するけど、納得いかないのでエスカレートしていって破綻に向かっている。
・本人も苦しいけど、いちばんの患者はお母さんかもしれない。お母さんはノックアウト寸前。社会的・医学的に支えないと崩壊してしまうかもしれない。お母さんの出口をどう作るか?母自身のライフヒストリーを含めたお母さんがどんな心理状況でどう追い込まれているかとか、今後どうしたらどんな活路を見出せるのかを考えないと先が見えない。薬の治療や資源(地域資源や親戚など)を導入する。
・最終的にお母さんの立て直しプランが見えてきたら、ご本人とお母さんの追うもの追われる者関係をニュートラルな親子のコミュニケーションって何なのかなっていうのを遡る。本人が明るく元気で良い関係だった時期は親子の関係だったはずなので、その頃のお二人はどの様な関係でどの様な楽しみ方、生活をしていたかにヒントがある。うまくいっていた時期に遡って、どういう会話でどんなコミュニケーションパターンでどんな親子だったのかをヒントを得に遡ると良いかもしれない。
・次のステップは、安全な第三者があり、祖父母からの距離があり、安心感のある場がほしい。親戚が社会資源の場を作るしかない?第三の場を探す。
一番印象に残ったこと
先生方の個人の深いアセスメントや、家族関係の考察、そして具体的なプランに驚かされてばかりでした。
今回最も印象に残ったアドバイスは『幸せだった母子関係があった時代に戻ると良いかもしれない』でした。健全だった母子関係がそこにはあり、健全な母子のコミュニケーションパターンを見出すきっかけになるという考え方は、家族の発達を臨床に生かすより実践的な手段の様に感じました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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プレゼンター&執筆:志水健太(都立松沢病院/給田ファミリークリニック)
編集:田中道徳(岡山家庭医療センター)宮本侑達(ひまわりクリニック)