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ファミドク「メディカルファミリーセラピー」第13章

2024年9月に開催された日本家族療法学会第41回金沢大会(https://jaft2024.site/)に米国家族療法家William Doherty氏が来日されました。

それに関連させて、著者の書籍を学ぼうと「メディカルファミリーセラピー」の輪読会を行なっております。10月18日に第7回目を開催しました。

今回の輪読会には、医師9名と心理士2名が参加し、第13章「介護すること、終末期のケア、そして喪失」について議論を行いました。冒頭では久永先生に章の要点を共有いただき、その後グループに分かれてディスカッションを行いました。

印象的だったのは、本書で記載されているアメリカの介護の現状についての内容でした。日本と多くの共通点があり、国は違えど介護の課題には似た部部分が多いことが非常に興味深かったです。

また、事例の支援者が患者さんやご家族に介護についてもらうため、頻繁にメタファーを活用していましたが、これが大変勉強になりました。

例えば、介護のストレスが徐々に増していく様子を、「ゆっくり温度が上がっていく水槽の蛙は、徐々に暑さに慣れていくために、しれに気が付かない」と行った表現で説明していました。

ユーモアも交えながら、患者さんやご家族が納得しやすいメタファーの重要性を改めて学びました。

ディスカッション

・終末期の話し方
最期を迎える方にその時期について話す際、受け入れる準備ができている人とできていない人がいるため、それを配慮しながら伝えることが重要です。

一方で、的せ圧に伝えることで、本人や家族は一時的に辛い思いをことがあっても、最終的には後悔が少なくなることが多いです。元気なうちから最後について尋ねることは重要です。

その際「皆さんに最期どうなりたいか聞いています」や「体が辛い状況になったらどうしたいか聞いています」と一般化しながら尋ねると受け入れられやすいです。

・病気の告知について
最近は本人と家族に同時に告知するケースが増えていますが、日本では地域や病院によって家族から伝えることもあります。

ただし、家族が本人への告知を望まない場合、情報量に差が生じてぎこちなさが生まれることがあります。秘密の共有は一部の人の絆を深める一方で、共有されなかった人は疎外感を与える可能性があります。

そのため、家族療法の視点からは家族内を親密に保つためにも情報量に差が出ないことが重要です。告知に家族が不安を思うなら、どこに不安があり、医療者がそれをどのように支えるかまで伝えると良いでしょう。

・医療者の感情への対応
関わりが深いほど、医療者も人の死にショックを受けるがある。場合によっては、ショックを受けること自体に、自分で感情に対処できないというプロフェッショナリズムとして罪悪感や焦りを感じることもあるかもしれないです。しかし、ショックを受けることは当然であり、その思いを患者や家族にではなく同僚とシェアすることが大切です。

・介護家族という言葉の捉え方
関わるフェーズによって「介護家族」という言葉の印象が異なります。心理職では、うつ病などの潜在的精神疾患や虐待から関わることが多いため、深刻な印象を持つことが多いようです。一方、プライマリ・ケアでは、病気の出現や介護家族の誕生の初期段階から関わることが一般的で、そのような深刻な印象を持つ機会は比較的少ないといえます。この関わるフェーズの違いが、「介護家族」という言葉への認識の差につながってるようです。

・訪問心理療法について
日本ではPSW(精神保健福祉士)による独特のアプローチが行われています。

訪問時には、目的が明確でないと依存を招く可能性があるため、目的と境界を認識する必要があります。英国では、心理士が訪問することは少ないものの、認知行動療法を学んだ支援者が訪問を行う場合があります。特に、認知行動療法の一種である暴露療法では、セッションを自宅で行うこと自体が一種の暴露療法となるために行われていました。近年はオンラインセッションが主流になりつつあります。

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執筆:宮本侑達(ひまわりクリニック)
編集:河田祥吾(亀田ファミリークリニック館山) 田中道徳(岡山家庭医療センター)

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