第38回ファミカン東京(2024/3/27開催)
今回のプレゼンターは、亀田ファミリークリニック館山の吉羽詩織先生です。事例は数年来にわたる疼痛を訴える前期高齢者でした。
ディスカッション
・困ってはいるが、アドバイスを受け入れられなかったり、何もしてくれないと支援者の気分を逆撫でする。困りながらも助けてもらうのではなく、差し伸べられた手を振りほどくことで、自分の中の無力感や不全感を相手に共有する。言語メッセージと非言語メッセージの不一致の反撃を受動攻撃性という。
・受動攻撃性が強い場合、治療者が何かしようとすればするほど、逆に何もしたくなくなるし、有能であろうとすればするほど、相手に不全感を与えたくなってしまう。治療者も不安感や無力感を共有すること、辛いことではあるが、患者さんはそれで満足していることもある。
・診療の中で話しをしすぎることにも副作用があるため、それをしっかりと患者さんに伝える。疲れ、不安、自分と相手の境界の境界が曖昧となり、話した相手に頼り過ぎたくなったりする。
・厳格な親に育てられ逆らうことができなかったことにより、不作為による反撃を学習するようになったのではないか。親からされた振る舞いは、他人にしても良いと学習することがあり、これを破壊的権利付与という。
・頼られて大変といいながら、手助けをしたがる場合、本当は頼られることに満足感を覚えている。行動は言葉以上に真実をものがたる。
一番印象に残ったこと
困った事例で、いろいろなところにアドバイスを求め、ありとあらゆる方法を尽くしたが何も変わらないことに不全感を自分自身も感じていました。ただ、それは患者さんが不全感を共有したいという発言を聞いて、腑に落ちました。肩の力が抜けました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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プレゼンター:吉羽詩織(亀田ファミリークリニック館山)
編集:宮本侑達(ひまわりクリニック)田中道徳(岡山家庭医療センター)