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【活動報告】ちちぶ地域医療介護連携研修会に参加

9月18日開催のちちぶ地域医療介護連携研修会に、宮本と山田先生でコメンテーターとして参加させていただきました。

秩父地域 は「ちちぶ版地域包括ケアシステム」 という1市4町協働で地域包括ケアシステムを構築しており、全国的にも珍しい体制です。

ちちぶ圏域ケア連携会議はそのシステム構築の一環として、さまざまな勉強会や事例検討会を行っており、医療・保健・福祉・介護関係者だけでなく、住民とも顔の見える関係づくりを意識されているとのことでした。

素晴らしい取り組みですね。

研修会の中で、ケアマネージャーの方が、家族内で意見対立があり退院調整が難渋しているご高齢者の方のケースを提示くださり、興味深い議論がなされておりましたので共有いたします。

ディスカッション

・同居している家族よりも、少し離れた家族が決定権を持つ場合、意思決定のプロセスが複雑になることがあります。意思決定を進める際には、同居している家族も遠方の家族も全員が同席できる場を設け、家族カンファレンスを行うことが望ましいです。

・家族カンファレンスを行う際、「多方向の肩入れ」が非常に役立ちます。これは家族それぞれに共感を示していくアプローチです。①感情、②価値観・信念、③優先順位について話し合い,感情や認識を共有してい苦ことが重要です。

カンファレンスの際、最初に発言した人が発言力を持つことがよくあります。自由に話すことを促すのも良いですし、特に権威付けしたい方に最初に発言を促すことも有効です。

・周囲や医療者の助言を聞き入れない家族がいる場合、アンビバレント(両化的)な感情を抱えていることがあり、特に患者への「罪悪感」が背景にあることがあります。例えば、「なぜ気づけなかったのか?」「なぜ大事な時に一緒にいれなかったのか?」「もっと自分ができることはあったのではないか?」といった感情です。そのため、「今こそ自分が頑張らなければ」との思いに繋がることがあり、他の人の助言に耳を傾ける余裕がなくなる原因になります。

その際に、アンビバレントな感情に対して共感を示すことは、家族に余裕を与え、対話を生むきっかけとなります。

・対話が少ない家族に関わる際、支援者がコミュニケーションの代行をすると、家族は支援者に支援者に頼りがちになります。この状態は「三角関係化」といい、不安定な二者関係に第三者が入り込むことで安定する状態です。

支援の初期には必要な場合もありますが、長期化すると支援者の負担となります。支援者は「この会話は他の家族にも伝えていますか?」と確認し、難しい場合はその理由を考えることが重要です。また、「他の家族はどう考えていますか?」と対話を促すことも一つの方法です。

参加しての感想

ケアマネージャーの方に事例を提示いただき、医療者とまた異なる視点や立場が大変興味深かったです。ケアマネージャーの方は、利用者本人、家族、介護サービス提供者、医療者など、複数の関係者の間で調整を行い、かつ身近な相談役として深く関わるからこそできる支援もある一方、悩みもあると感じました。

また、ディスカッションでは、在宅医療関係者、病院の医療関係者、福祉関係者、行政の方がフラットに意見を交わされ、多職種がそれぞれの役割を尊重しながら対話しており、秩父地域のチーム力に感銘を受けました。

定期的にこのような集まりが開催されていることに、大変刺激を受けました。

お声をかけていただいた秩父市立病院の加藤寿先生はじめ関係者の皆様、貴重な機会をいただきありがとうございました!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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執筆:宮本侑達(ひまわりクリニック)
編集:田中道徳(岡山家庭医療センター)

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