ファミドク「メディカルファミリーセラピー」11章
2024年9月に開催された日本家族療法学会第41回金沢大会(https://jaft2024.site/)に米国家族療法家William Doherty氏が来日されました。
それに先立ち、関連する書籍を学ぼうと「メディカルファミリーセラピー」の輪読会を行なっております。9月20日に第6回目を開催しました。
https://www.kongoshuppan.co.jp/book/b514868.html
今回の輪読会には、医師10名と心理士2名が参加し、第11章「身体化患者とその家族」について議論を行いました。冒頭で平子先生に章の要点を共有いただき、その後グループに分かれてディスカッションを行いました。
特に印象的だったのは、身体症化症状に対する生物心理社会的アプローチの重要性です。
身体化症状に対して、生物医学的アプローチのみでは症状が維持・悪化し、医師と患者の関係悪化や過剰な医療につながります。逆に心理社会的アプローチでは、患者が治療を拒否することにもなりかねません。
生物医学的にも心理社会的にも納得できるアプローチの両立がが必要です。
グループディスカッションでは、以下のような話題が挙がりました。
・子どもの身体化症状は診療所でよくみられます。子どもが感情的な苦悩を表現しても意味がないと感じ、身体的な苦痛を訴えることでした対応してもらえないと実感した場合、身体的症状がさまざまな経験を表す「言語」となってしまいます。
・器質的疾患が見つからない場合、身体症状を心理社会的要因に結び付けたくなることがありますが、何かしらの疾患が存在する可能性も捨て切れません。「何もない」と思いつつも、断定しすぎず、常に何かがあるのではないかと考えながらコミュニケーションを取ることが重要です。
・「ストレスはありますか?」と尋ねても、無自覚な身体化症状の方には答えづらいことが多いです。「どんな時に痛みが悪くなりますか?」や「最近変わったことはありますか?」と尋ねることで、より自然に聞くことができます。
・身体的症状の訴えがある際に心理社会的な話題を持ち出すと不自然に感じられることがあります。例えば、長引く腹痛の患者さんには「お腹が痛くなくなったら何をしたいですか?」と尋ねることで、自然にアプローチができます。
・訴えが多く診療が長引く場合は、診療を構造化し、アジェンダを決め、どれくらい時間をかけるかをあらかじめ決めることが有効です。
・コミュニケーションは相手に合わせるだけでなく、自分にとってストレスない方法を選ぶことが大切です。また、自身の感情にも敏感であることが必要です。
最後までお読みくださりありがとうございます!
輪読会は毎月開催予定です。毎回本を題材に日々の考えや疑問を気軽に共有できる場にしていきたいと考えています。
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執筆:宮本侑達(ひまわりクリニック)
編集:田中道徳(岡山家庭医療センター)