10thライブと未来飛行

かれこれ10年前の話だが、大学生だった私が大学の授業もそこそこに映画館で何回かリピートしていた映画が2つありまして。

一つが、劇場版魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語で、もう一つが劇場版アイドルマスター 輝きの向こう側へです。大学の授業が休校になると、最寄りの映画館に行って見ていた記憶があります。

叛逆の物語について

結局「まどかを守るためにはまどかを冒涜し、傷つけることも厭わない」というのが歪んだ「愛」の正体であり、多くの人の心をざわつかせる、あるいは人によっては反感を抱かせる物となったのではないかなぁ、と考えるわけです。

2013年のファミエリのブログより

という感想を書いていたわけですが、これを『歪んだ愛』と書いている辺り、当時の自分がほむらの感情を理解はしつつも共感はできていないというところが伺えると思います。

まどかは自ら望んで「魔法少女を魔女化から救う概念」と化した、それは多くの魔法少女救い、ほむら自身も救うはずだった。
だけど、ほむらはそれを拒否して、自らのエゴを貫いた。そういう話なんですよね。

本人も納得し、周りも幸せになり、それに流されれば自らも幸せになれるはず。
でも「それは俺がいやだと思う」という感情を捨てきれない。

今回、私が書くのはそういう類の話です。

今回の未来飛行について

10thライブをご覧になった方で、今回の未来飛行について「良くなかった」と評価する人はそう多くないと思います。
10周年ライブ、10年間のミリオンライブを象徴する完璧なステージだった。過去一と言ってもいいかもしれない。
だからこそ、そこに「一人のアイドル」としての春日未来の姿は存在せず、ミリオンライブのセンター、いえ、ミリオンライブという概念を具現化した存在としての春日未来しか存在しませんでした。

はっきり言うと、私が見たいのはそれではありません。

具体的な話をあげると、例えば6thライブの未来飛行は間にウェーブを取り入れてましたよね。あれは4th以降の「素敵なキセキ」からの輸入であり、春日未来の「会場全体を巻き込んで遊ぶ」という彼女のパーソナリティの部分に依拠したパフォーマンスでした。

でも今回それが排除された。理由は簡単です。
皆が求めているのは「センター」としての春日未来であって、彼女のパーソナルな部分を求めている人って、多くない。
だからこそ、彼女のアイドルとしての人気って低いんですよ。
周年イベのボーダー然り、TATBTCの結果然り。

だからこそ、「ミリオンライブのセンターとしての春日未来のステージ」に振り切ったのは正しかった。絶対に。これは間違いないです。
自分が山崎さんの立場だったとしても、きっと同じことをしたと思います。

その上で、山崎さんは、10周年の時に中村繪里子さんが言った『天海春香役の~』と名乗ることが嬉しいという気持ちがわかった気がする」とMCで言っていました。

ご存知の通り、天海春香はアイドルマスターの大正義センターです。でも彼女もまた、一人の女の子としての生き方ではなくアイドルマスター事態の象徴として
これについて私が語るのは違うと思うので、簡易で済ませますが、このタイミングで中村さんと山崎さんがシンクロする、というのはようはそういうことでしょう。

ミリオンライブの象徴として、0番に立つ。
その立場が栄誉であり、恵まれたことであり、代えがたい話であるというのは十分に理解しています。
それがミリオンライブのためになることも、それを受け入れてしまえば楽しいことも、何より春日未来本人がそれを背負って楽しくアイドルとして活動出来ることも全て理解しているつもりです。

それでも、俺は、彼女に一人の女の子として当たり前に笑って泣いて悩んでステージに立って欲しかった。

私は暁美ほむらのように『この時を待っていた』をすることは出来ないですが、彼女の気持ちが、ほんの少し、わかった気がします。

センターの神格化は止めようがない流れ

そもそも冷静に考えればミリアニからこの現象は始まっていたんですよね。

信号機の二人、静香と翼にはそれ相応の「成長物語」が用意されていた。
一方で未来の物語は、1話、彼女がアイドルを目指し始めた段階で完結をしているんですね。

だからこそ、Team8thの中で唯一劇中で『ソロ曲』が存在しない。
Team8thのメンバーのソロ曲は乗り越えた証だからです。

そういう意味で、ミリアニの主人公は最上静香であり、伊吹翼であり、春日未来はプロデューサーと同等の視点キャラ、既存のアイマスで言えば輝きの向こう側での千早の立ち位置に近いでしょう。

繰り返しますが、それは悪いことではない。
もっと出番がない子がいるのもわかってます。出番増やせ、ソロ曲やれって話では全くないです。
ただ、単純にミリアニから、いや多分もっと前から、未来は「ミリオンライブを象徴して、代弁するキャラクター」になっていた、その流れはもう個人ではどうしようもない所まで来てしまっている、という話です。

それでも僕は。

僕だけでも、彼女のことを忘れないでいようと思いました。
約束、したしね。

終わり。


追伸。未来へ。

荷物が重かったら、俺も少し持つから、いつでも頼ってくれよ。

プロデューサーより。

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