記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

えいがさき 第1章感想 -どうしようもなく、俺が大好きな虹ヶ咲の話-

劇場版ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 完結編 第一章を見ました。
あまりにも、どうしようもなく、私の大好きな虹ヶ咲でした。

面白かったです。

で、終わってもいいぐらい本当に良かった……としか言いようがない映画だったんです。でもそれで終わったらブログの意味がないので蛇足の感想解説をつらつら書いていきたいと思います。

どこから切っても良い、メッセージが詰まったアニメ

これはアニガサキの2期から特に顕著なのですが、アニガサキはメッセージを込めたストーリーラインを複数、並行して作劇の中に走らせることがかなり得意で、今回は60分という尺の中でそれが特に顕著でした。

ファミエリが気がついただけでも、「赤嶺天と石嶺小糸の関係」「ランジュと母親の軋轢」「歩夢を中心とした『本気でぶつかりあうこと』への葛藤」という、3つの軸が用意されていました。

これらの中に、アニガサキ1期、2期+Next Skyで虹ヶ咲が大事にしてきたメッセージがぎゅっと詰め込まれていました。

1期の「自分を表現すること=自己実現をなすことは何より尊い」というメッセージは天とエマのやり取りの中でも表現されていましたし、(エマが天の主張を引き出す、という感じで)2期は「自己実現をなすことができない人に同好会のメンバーが手を貸す=応援すること」であり、これも天と小糸の関係性にエマが後押しする、という形で表現されています。

また、自らが抱える問題を解決し、その解決の象徴としてソロ曲を歌う、というランジュで使われた手法は1期や、2期の栞子、ミア回で使われた手法ですし、1期のもう一つのテーマであり、アニガサキ以上にスクスタの物語が重視していた、「仲間でライバル」に関しても今まで以上により深く掘り下げられています。

60分という尺の中に、虹ヶ咲のエッセンスをこれでもか、と詰め込まれているのが第一章なわけです。

小糸と天の関係性はまさに「ラブライブ!」である

さて、ここからは各論について語っていくわけですが、まず注目したいのが新キャラクター、小糸と天にまつわる物語です。

この二人は何らかの理由でスクールアイドルを志し、でもライブで人が集まらなかったことをきっかけに解散してしまった。そんな二人をエマが結びつける物語です。

でもこれが成り立たせるのってすごい難しいんです。なぜなら小糸や天はある種ぽっと出の新キャラなので、その二人の背景に共感させるのはとても難しい。

そこで、今回の完結編がとったのは過去作の遺産、特にμ’sとAqoursを想起させる表現でした。
人がほとんどいない講堂でのライブ、そしてAqoursやμ’sに近い構図の部室、そこに貼られた伝伝伝のポスター。
これらがあるからこそ、シリーズのファンは彼女たちどれだけ夢や希望に溢れ、故に人が集まらなかった時に落胆したのか、悔しかったのか、というのが想像がつく演出になっているわけです。
まさに、この二人は「ラブライブ!」なわけです。

この二人を結びつけるのは、エマしかいないでしょうね。
人の心を後押しする、というのは1期5話「いましかできないことを」や、2期の2話~3話「重なる色」「sing! song! smile!」から変わらない彼女のスタンスでしょう。

こうしたある種、「おせっかい」とも呼べる同好会の行為が今まで多くの人を救ってきました。それこそ果林に始まり、美里さん、栞子、そしてアイラに至るまで。

これこそが私が虹ヶ咲イズムと呼ぶものの真骨頂だと思うわけです。

ちなみに、細かい話ですが、ランジュがスクールアイドルGPXから降りる、という話になった時にエマが呼び止めることができたのは、2期でエマの言葉がランジュに届かなかった時とは好対照になっていますね。

同好会の絆が深まった、エマの成長、ランジュの成長、いずれにも取ることができると思いますが、良い描写だな……と。

ランジュと母親の関係に精算を。

ついで大きなテーマだったのが、ランジュの母親問題でしょう。

この問題、割と根が深いような気がしていて、彼女の母親はスクスタ版では虹ヶ咲の理事長、という設定になっていて、スクスタでのランジュの様々な行動をバックアップする存在として語られています。

スクスタの2ndシーズンのランジュの行動自体が賛否両論なわけで、つまりランジュの母の存在も賛否があるわけですが、ついに彼女にスポットがあたった、というのは虹ヶ咲におけるランジュの様々に本当の意味で蹴りをつける、という意味もあったのかなぁ、と思ってしますね。
勿論、作劇上としても彼女の孤独の原点に母親との軋轢があった、というのは非常に当然の話しではあるんですが……

解決の経緯についてはほぼほぼかすみのファインプレーであるのが若干気になる部分ではありますが、彼女のプライベートの問題が解決し、ソロ曲につながるというのは冒頭でも書きましたが非常に1期的なソロ曲の使い方でもあります。
といより、12人の中で唯一アニメ版でソロステージが「問題解決、成長の象徴」として扱われなかったランジュに対しての補填という部分もある気がします。

どちらかというと使い方は1期の「CHASE!!」に近い

1期の忘れ物、「仲間でライバル」

自分の中で評価が高いアニガサキ1期ですが、今回の映画を見て改めて感じたのは、1期では「仲間でライバル」というテーマに対して、やはりやや及び腰だったな……というのは感じざるを得ない部分ではあります。

強いて言えば触れられたのは、1期9話、そのままのタイトルで「仲間でライバル」ですが、ここでも同好会同士の直接対決を明確に描く、というよりは仲間でありライバルでもある、でもライバルでもあるし、仲間というスタンスを改めて確認し直した、というのが近いような気がします。

そこに対して、不安を抱えるメンバー達を描きつつもランジュが歩夢を尊敬する理由が語られて、「尊敬するからこそ、正面からぶつかりたい」というランジュの気持ちが描かれるわけです。

これは決して、ランジュと歩夢に限った話ではない、みんながそう思っている。という話が描かれるのがまさにしずくと彼方のやり取りなわけですよね。

そうして本気をぶつけ合った先に何が生まれるのか……が描かれるのはおそらく第三章になると思うのですが、(第二章はまだ残り6人の本気のぶつけ合いが描かれるはず)ぶつかりあった末に生まれる先の終着点として、「ドームライブ」というものがあからさまに示されたので、いよいよついに虹ヶ咲の物語の終着点が見えてきたな……という気もします。

それにしても、最後に描かれるランジュVS歩夢の直接対決は本当に熱かった……!
ランジュの曲から直接歩夢の曲につながっていくあの表現、いまだかつて見たことがない表現でしびれました。

また、これも余談ですが、ランジュが歩夢を特別扱いする理由が描かれたことで、歩夢が12人の中で真ん中に立つべき理由というのがあからさまに示された形になるわけですね。これがおそらく第三章への種まき、ということでもあると思うのですが、「歩夢がこの作品でセンターに立つ理由」というものへのアニガサキなりの回答にもなっているわけです。

最高傑作、その先へ。

というわけでつらつら書いて来ましたが、どちらかというと第二章というより、その先の第三章への期待がかなり高まっている気がします。

第三章で描かれるであろう、「本気をぶつけ合ったその先」。今までの虹ヶ咲の物語を総括している完結編に描かれる物語の先に出来上がるものです。

自分はアニガサキの1期を「アイドルアニメ史上最高」と言ってはばからないのですが、それを超える作品がでてくるとしたら。

「夢がここからはじまるよ」も「Future Parade」をも超える伝説の1曲が出てきたとするならば。


それはアイドルアニメの歴史を塗り替える、最高傑作を超えたその先が見えるんじゃないか、そんな期待をしています。

残る第二章、そして第三章。本当に楽しみです。


最後に

高咲侑さんさぁ!!!!!!!!!!!!!
お前流石に歩夢の様子がおかしいから「直接顔をあわせて話をしたい」って沖縄まで飛んでくるのは流石にスパダリムーブが過ぎるだろうがよ!!!!!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?