帯同妻の準備開始から約1年の大変だったこと
2023年4月から夫の在外研究(海外学振)に帯同してエディンバラで暮らし始めました。
昨年の10月からエディンバラ行くのか、とじわじわ意識はしていたものの、
私が動き出したのは12月くらいからだったので
あれから1年か…なんかいろいろ盛りだくさんだったよ、と振り返ります。
海外生活、イギリス暮らし、響きから想像するより優雅な身分ではありません。
海外学振の制度も改善が様々されていると聞いていますが、実際について来てみて感じた事を書きたいと思います。
帯同家族が海外学振の規定にほぼ出てこない
私もざっくり読んだのですが、帯同家族は想定されていないのか、ほぼ規定に載ってません。
居ない事になってますね😇
家族が居ようがいまいが、お給料が変わるわけではないです。
学術振興会に雇用されているわけでも無いので、扶養にも入れません。
本人のビザ取得のサポートも無いので、家族のビザなんて(略
この後何かにつけてじわじわHPを削られていくのですが
存在が認められていない気がするのが地味に辛かったです。
準備期間から今に至るまで、普通に会社員をやっている時には経験していないメンタルの乱高下を経ていて、通常時よりもネガティブ寄りになっているのは承知です。
規定が無い≒存在していないことになってる
↓
私の価値って何?
研究者を一番身近で支えている(ばっかりじゃないけどとりあえず)と自負しているし
辛いこともたくさんあるのに
私は社会的に存在価値が無いのか…みたいに感じていました。
本人と配偶者の出産については派遣を中断できる、という項目がありましたが
個人的に子供をすぐに欲しいとは思っていないので
出産すらしない私は学術振興会からは見えないのです。
Noteでも駐在されているご家族の記事など拝見していて、
励まされたりすることも多いのですが
私にかかる費用はビザ取得も、航空券もすべて補助無し、
家族手当も無いから家計にとってただの負担増になっている
(だっていないことになってるから)
というのが大きく違うな、と思います。
ビザもなかなかに大変だった
ビザ取得はかなり苦労しましたし、試行錯誤しました。
HPIというビザをおすすめしないのは別の記事に書いた通りなのですが、
また私の存在意義という点で
夫はHPIの本人、私はDependantという扱いにされたのも嫌でした。
制度上仕方ないんですけど、せめてPartnerにしてくれよ、なんて思いました。
会社員としてちゃんと働いていて、
都内で一人暮らしできるくらいの収入もあるところから
夫に(資格的に)依存しなければならない身分に貶められて…
ビザの申請にかなりお金かかるし、寒いところ苦手だし、
前述の通り学術振興会的には私はいないことになっているし、
私は何がしたかったんだっけ…とかなり落ち込みました。
そこで私の分だけビザ(正確にはBRPカード)の期限間違ってるし、IHSの金額余分に取られてるのを取り返すのにも苦労したけど、
全部英語で自分で解決したり、取り返したりしたんです。
夫は仕事が忙しいし、私の方が英語も得意なので私が対応しますけど、
なんで私の方が苦労多いのか、やるせない気持ちになりました。
(夫が悪いんじゃなくてイギリスのビザの担当者がいけないだけなんですけど)
お友達作戦をいろいろ決行するも孤独
エディンバラに知り合い0の状態で来ました。
最初はいろんなワークショップに行ってみたり、
ランゲージエクスチェンジアプリを試してみたり、
いろいろやってみました。
初めてランゲージエクスチェンジでできたお友達とお茶することになって
緊張しながらブランチに出かけて、また会おうね!って
るんるんで帰ってきたけど、その後連絡つかなくなったり…
ミシン教室に参加して、英語はわかるんだけども
おぼつかないミシン操作をしながら
「あの不動産会社はぼったくりよ」、みたいなローカルネタ雑談に
混じるほどの器用さは無く…(スコティッシュ訛りはまだきつい)
お買い物したりバスに乗るのに不便は無いけれど
おしゃべりする相手が夫しかいないのです。
もっと夫と出かけたり、かまって欲しいと思うこともありましたが
研究を応援したい気持ちもあり…
ちょうどこの前観たきのう何食べた?のシロさんみたいな感じでした。
会社の人が気を遣って私と音声で会話する機会を作ってくれたりしたのが
すごくありがたかったです。
またここで子供がいればいいのか、とも思ったりするんですが
私が寂しいから、という理由でこの世にお迎えするのは違う気がしたのです。
Meetupや単発のワークショップ、インスタで告知されているイベントを
たくさん探しました。
Googleマップで楽しそうな場所、かわいいカフェ、週末のマーケットもTVerで日本のドラマ見ながらひたすらブックマークしました。
連絡を取るようになって、いろいろエディンバラのおすすめ情報を教えてくれた人と連絡が途絶えてしまうとより一層寂しくて
その度に
「私、なんでこんなに必死に友達探してるんだっけ…友達いるもん。
ちゃんといるもん、日本に…時差8時間(今は9時間)あるけど。」
虚しいような、慰めるように自分に言い聞かせていました。
夫の職場の博士課程の学生やポスドクの人たちはほとんど家族が一緒じゃないみたいで
単身転々としている人が多いみたいです。
駐在だったら無条件で前任者からのおすすめ情報とか、職場の方のご家族とか、
知り合いもできていたのかな、と羨ましく思った時期もありました。
しがらみもいろいろあって大変、というお話も聞くので一概には言えないのかもですが…
そんな暗黒期を経て、
今は毎週金曜日の日本語を話したい人のMeetupに顔を出すようになって
顔見知りも増えたし、参加者の皆さんも久しぶり〜、とかまた来週〜、って
言ってくれるのですこしずつこの街で自分の居場所かもしれない、
と思える空間を見つけられている気がします。
住環境が不安
物価が高いのと、エディンバラの住宅が供給不足なせいで
中々に高い家賃を夫に出してもらっています。
だがしかし入居時からスズメバチが乱入するのが2週間で8回くらいありまして…
その度に発狂してました。
他にもダンゴムシとかてんとう虫とか小さい虫とかアリとか…まぁ色々出ます。
不動産管理会社に連絡したら確認しにきてくれて
「ここの窓の建て付けがちょっと良くなくて隙間ができてるよ」
と侵入経路を見つけてくれました。
見つけてくれたのはいいんですが…ちゃんと建ててよ、と思わずにいられない。
蜂以外の虫も毎日5匹くらい殺生している、と伝えると害虫駆除業者を寄越してもらえたんですが
「これくらいなら殺虫剤撒くと人間への害の方が大きいからやらない」
と言われてしまいました。自分でバルサンやりたい。
無駄に自然嗜好なのか、こっちの殺虫剤、全然殺してくれないんですよ…
また、天井にシミがあって、直すよ〜と入居時に言われていたんですが、
全然直してくれない。
シミがかなり広がって不安なんだけど…と連絡しても音信不通になる。
そしてある日、その瞬間は訪れました。
私はシャワーを浴びていて、リビングに戻ったら夫が一番大きいボウルを床においていました。
病院の点滴より全然早いペースで落ちてました。
金曜日の夜で、不動産管理会社には繋がらず。
緊急連絡先の番号に電話して、たらい回しにされて、
よくわからないまま請求が自分のところに来ても怖いので月曜まで待つことにしました。
結局ぽたぽたは2週間くらいそのままでした。
その後も天井から大きな音が何回かしましたが、直したよ、の連絡も無し。
一度おっちゃんが見に来ましたが、その後どうなったのかわかりません。
天井のシミは相変わらず大きいし、ベロンと禿げた部分もそのままです。
エディンバラ大学の職員用住宅は9ヶ月の期限付きらしいのですが
渡航準備時に来年いっぱいまで空きが無い、と言われました。
学生ではないので学生寮にも入れず、
住居探しが最初は一番大変だったし、結構良いところと思ってもこれか…
単身ならフラットシェアもできるけど
私がついてきたから広さ的に家賃高いところにさせてしまい、
ついてきて良かったんだろうか…蜂が入ってきたくらいで発狂して申し訳ない…
とも悩みました。
情けないのと、申し訳ないのと、でもちゃんと自立だってできるのに、
というプライドと…まだまだ完全には抜け切ってないです。
日が長すぎる・日が短すぎる
緯度が高すぎて夏は22時過ぎても明るいし、
今は朝8時過ぎても暗く、15:30でもう暗くなってきます。
日照時間が少なくて病んでしまうからビタミンDを飲んだ方が良い、
飲まなくても変わらない、という真っ二つの意見に板挟みになりながら
とりあえずビタミンDをサプリで飲んでいます。
体内時計がまだ追いつかない感じがします。
暗くなってきたらお夕飯作らなきゃ、と思うのですが
まだ全然お腹空いてない…
最近通っていた洋裁教室は18:30〜なのですが、家を出ると真っ暗です。
夏の日が長い頃に申し込んだので別に明るいし、なんて思ってました。
寒くて、風強くて、雨だし、暗いし、治安は良いはずでも
ちょっと心細い気持ちになります。
生活に慣れた分の余裕を日照不足がかき消してくれているようで
私のメンタルブレイクは最近でもまだまだ来ます。
夫も同様か、それ以上に研究などのストレスが強いみたいで
ビタミンDを飲んでみています。
いろいろサプリや中華スーパーで手に入る薬膳っぽい食材を試しましたが
研究者の職業病(と夫は言う)の不眠にはグリシンが一番効いているそうです。
(H&BでDR.VEGANのNights Relax&Sleepを買ってます)
最近はつい朝暗いので遅くまで寝てしまいがちですが、
できるだけ質の高い睡眠を連続して取れるように試行錯誤しています。
(私は相変わらず寝つきよく、ぐーすか言ってます)
自分の将来が不安
海外学振は2年の期間の後の職が決まっていません。
夫が就活を心配するのと同じかそれ以上に私も自分の将来が不安です。
私の方がリモートワークで融通がきく分、
通勤(や他の研究者と交流)する必要がある夫の方に合わせてあげたい、
と思う一方で
自分の都合でコントロールできず、生活の負担になることを考えると
気分が落ち込むこともあります。
HPI ビザは特殊な例でしたが、ニュースを見ていると移民排斥の機運が高まっているようです。
イギリスだけでなくヨーロッパの他の国でも、アメリカでも
移民として働くのは少し前よりもハードルがかなり高くなっているように思います。
英語圏なら生活はそんなに心配いらないかな、と思うのですが
不安なのは私も就労可能なビザが取れるか、ということです。
リモートワークをさせてもらっていてもメンタルブレイクを繰り返しているので
私から仕事を取ってしまうといよいよ病むと思います。
主婦としての自己評価は依然として低いままなのです…自分なりに頑張ってはいるんですけど。
また、円安も不安の一つです。
海外学振は日本円のお給料です。
4月に来た時は£=165円か〜高いな〜と思っていたのが
今では£=187円…
リモートワークさせてもらって私が得ているお給料は日本の会社からもらっているので
次に住む場所によっては物価水準的に足りない、なんてことにもなりかねません。
そうなった時に現地の物価でお給料をもらえるかどうか、というのは私にとって重大な問題です。
できれば今の会社で続けたい、と思いつつも難しくなるかもな〜と漠然と不安です。
いつか夫が教授になったり、研究で成し遂げたいことを達成できた時に
私には「妻」という肩書き以外に何も残らないかもしれない、
と不安になることもあります。
何になりたいのかもわからないけれど、何者でもないのは怖い。
これはきっと答えがまだまだ見つからないんだろうな、と思います。
夫は私が生活の負担だとは微塵も思っていないと言ってくれるのですが、
フルタイム共働きで生活費を折半していた頃と比べてしまい
自分で自分を責めるのをまだまだやめられず
プチ贅沢なチョコを食料品のお買い物ついでに買ってしまっていいのか…
みたいなつまらないことで悩みます。
いつか笑って思い出せるようになるといいな、って思います。
今はまだ乱高下したり、ぐるぐるしている生活の真っ只中です。
ちょっと大変だったことを書きたくなったのですが、
こんな楽しいこともあったな〜ということもたくさんあるので
次は楽しかったこと編をうきうき書きたいと思います。