アイリッシュ音楽のピアニストたち ♯土曜夜にアイルランドを語る
こんばんは!
皆さんいかがお過ごしでしょうか。5月ももう後残り1週間ほどです。夏至まで1ヶ月をきりました。(今年は6/21です。)早いですね。
軽く自己紹介からはじめさせていただきます。石井亜季です。アイリッシュ音楽ではボタンアコーディオンを弾く(日々練習中…)大学生です。この連載では、ボタンアコ弾きが連続しましたね。
みなさん、前回のほなみさんの記事、読みましたか?とっても面白いのでまだ読んでない人は、是非読んでください。とりあえず記事を開けばスーッとそのまま自然と読めちゃう文体です!
今回は、城さんに連載のひと枠をいただいたので、ありがたく書いてみることにしました。アイリッシュ若輩者の私が書いた拙文ですが、自分なりの視点で面白いと思ったことを書いてみましたので少しでも読んでいただけたら幸いです。
余談ですが、最近私は、城さんの記事を見ながらお家で一人でパタパタ、シャンノースをはじめました。いい運動になりますよ。(もともと運動不足の私には効果絶大。)シャンノースやったことない方もぜひ、この記事を見ながらパタパタやってみてください。
今回のテーマは「アイリッシュ音楽のピアニストたち」ですが、普段ピアノ弾かないし、長々とこんなもん読んでられっか!という方は、とりあえず3-5 Donna Longのアルバムだけ聞いてください。私の一押しです。
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はじめに
この記事は、アイリッシュ音楽に親しみのある人向けに書いてあるので、アイリッシュ音楽についての基本説明は省きます。ここでいうアイリッシュ音楽はアイルランドの伝統音楽に根ざした音楽全般を指します。また、私はギターやブズーキなどの楽器ができないため、伴奏楽器奏者の方々、アイリッシュ音楽の伴奏、の経験からの知識、見えてくることなどあればぜひお聞かせください。
いきなりですが、私は、様々な音の中で特に「ピアノの音」が、とっても好きなんです。(は?何それどういうこと?と思った方はぜひ直接聞いてくだい笑)私が今までピアノしか楽器をやってこなかったというのもあるのですが、どうしても、お気に入りのPopsの曲などでピアノVer.があるとそればかり聴いてしまうのです。
少し前にアイリッシュ音楽にはまった私は、ここでもreelやjig(ダンス音楽)のピアノVer.を探しました。さくっと出てくると思ってました。そうしたら、全然ヒットしない…。Foggy DewやDown by the Sally Garden'sなどの民謡のピアノバージョンは出てくるのに、ダンス音楽はあまり出てこない。どうしたものだろう、と思って、もう少し探してみました。そうしたらいろいろ出てきました(つまり、ただただ探し方が甘かっただけ)ので、ここに書いてみようと思います。と言っても、経験が薄い(ケーリー伴奏とかも人前でやったことない)ので、これを読んでいる経験豊富なみなさん、もし、間違いやこんなのあるよ、というものがあれば教えて頂きたいです!
① マルチな楽器:ピアノ
ピアノで民族音楽といえばバルトークをはじめ、ハチャトリアン、グリーグ、ショパンなどのクラシックの作曲家たちが挙げられます。もちろん、ピアノが西洋の楽器だからです。ピアノは1700年頃に発明されその後改良を重ね、今日使われている「モダンピアノ」は、19世紀後半にできたものです。数ある楽器の中では、「新しい」楽器なのです。そして、ピアノがその汎用性を高めてクラシックの枠を踏み出ていったのは20世紀になってからではないかと思われます。弦楽器も管楽器も打楽器も伝統的な音楽でみうけられますが、鍵盤楽器となると、そうはいきません。
(そこからかよ!と思う方、遠慮なく飛ばしてください笑)
そもそも元々ピアノが使われなかった伝統音楽をピアノで弾くこと自体、どうなの?と思うかもしれません。しかしピアノは私たちの身の回りに一番身近にある楽器の一つ。使えるものは使わなければとどうしても私は思ってしまうのです。ジャズだって、そこにピアノがあったから使われた、と言われてるし!
アイリッシュ音楽は、おおかた平均律(ピアノの調律)だし、拍子があるものが多い。「らしさ」の問題はあるけれど、十分ピアノでも演奏できるものだと思ってます。(アイルランドのイベントFleadh Cheoilのコンペティションでもピアノが弾かれます。)
加えて、ここに本の抜粋を載せます。何か私が感じていたものをズバリ言い当ててます。
“様々な形式や内容の音楽をアイルランド伝統音楽の器のなかに取り込むのは、むしろ自然な行為である。そして、そもそも伝統音楽とは、それを繰り返して成立し、生き延びてきたものだ。・・・(中略)・・・伝統音楽の強みの一つは、トラディショナルとして利用可能なリソースが豊富なことだ。”
(おおしまゆたか著『アイルランド音楽 碧の島から世界へ』pp.127-128より)
利用可能なリソースに、そこにあるピアノ。もはやお互いが引き寄せあったのでは、と思ってしまったり。脱線しました。元に戻ります。
今日、ピアノで民族音楽を演奏するのはクラシックの演奏家だけじゃありません。民族音楽の愛好家(この記事読んでいる人はきっと該当する…)のピアノ弾きが弾くのです。
何が言いたいかと言いますと、近年では、ピアノは雑食なのです。ポップスもクラシックも、、、なんでも演奏しちゃう、といったら過言かもしれないですが、それだけマルチな楽器なんです。
② ピアノとアイリッシュ
アイリッシュでピアノ、と言って私が第一に思いついたのは、ケーリー(アイルランドのダンスイベント)のバンドの伴奏です。この伴奏も、奏者によってそれぞれ味があって面白いです。
ケーリーバンド演奏における伴奏の自由度は、旋律よりも高いのではないでしょうか。ユニゾンの演奏へのピアノ伴奏は、つまりその演奏の色つけ役。チューンを知っていないとどんな伴奏をつけたらいいのかわかりませんが、逆に知ってさえいれば、そこに自分なりに音を重ねていくわけですから、一種の創作ですね。カッコよくオシャレ伴奏をしているケーリーバンドのピアニストをみていると「いいなぁ」と 思っちゃいます。
さて、今回は、おなじみのケーリーバンドではなく、あまり見ない、セッションやライブ演奏でのピアノについて書きます。
楽器の王様、とか言われているピアノ。汎用性が高いため様々な音楽で用いられます。アイリッシュ音楽ではケーリーに限らず、伴奏楽器としてもギターやブズーキと同じように用いられます。アイリッシュ音楽は元来単旋律でしたが、ピアノ伴奏が入ると、厚みがまして、おぉ、カッコよい!ってなります。
「アイリッシュ音楽のピアノ伴奏の特徴はあるのかな。」
「ソロでの演奏はあまり聞かないけど、あるのかな。」
「やっぱりピアノだと西洋クラシック音楽みたいになって、あのアイリッシュ感は無くなってしまうのかな。」
などなど、気になって、人に聞いてみたり、調べてみたりしました。やったことはほぼ今月の頭のみぞやすさんの記事の[2][3]です。(もっと早くにこの記事を読みたかった…)
本当に終わりなき旅なんだな、と思いました…。この際(?)皆さんも旅に出てみてください。
ここでは電子ピアノとアコースティックピアノ(本物のピアノ)のアイリッシュ音楽での使用について 書ける余裕がないので、「ピアノ」は「電子ピアノ」も含む広義のものとします。ちなみに、私は、ソロ演奏ではアコースティックピアノでの演奏が好きです。
③ アイリッシュ音楽のピアニスト
3−1 TheSessionサイトを参考にしながら
アイリッシュ音楽のサイトTheSessionでディスカッションのコーナーを覗いてみるとピアノに関してのお題はたくさんあがっていて、チェックしきれないくらいです…。しかし、いくつか見てみると面白いです。いろんな動画情報や奏者情報がたくさん。活躍している奏者に限らず、おすすめのキーボードやら、ペダルの使い方やらリズム感やら、はたまた、ピアノのセッション参加についても話し合われてます。古いものだと15年位前から。
気になるものはたくさんあるのですが、とりあえず今回は、私が、たまたま見たものの中(つまり偶然の中の独断)(でも一応リプ数が多いもの)からピアニストたちをピックアップして補足しながら並べてみます。
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!PIANISTS IN IRISH MUSIC!
↓↓↓
3-2 Caoimhin Vallely
アイリッシュ音楽をピアノで弾く有名なミュージシャンの一人で、2016年の「The Irish News」で "a traditional piano man" と紹介されています。
↓シンプルな左手にアレンジのきいた右手のメロディーライン。二曲目ではトリプレット(三音連打する装飾)もきれいに入っていて、reelの4拍目が強調されてます。(私は最近、ピアノでトリプレットを入れるのはボタンアコでやるのよりも遥かに難しいと感じています…)
↓今年の4/11に投稿されたもので、リモートの合奏です。メロディーがイケイケで耳がそちらに向いてしまいますが、ピアノをよく聞いてください。途中で高音がシンコペーション(強拍弱拍の位置をずらす)で入っています。かっこいい!また、左手のベースもとてもよく動いています。浮き立つような軽さは、左手がオクターブ同時に鳴らさずに拍を刻んでいるからかな、と思います。
↓上の動画の少し前の4/4に投稿されたオシャレ伴奏。伴奏なのに存在感抜群。
3-3 Mícheál Ó Súilleabháin**(1950 - 2018) **
3-2 Caoimhin Vallely氏が、大きな影響を受けたのがこのMícheál Ó Súilleabháin氏です。大学教授、作曲家、ピアニストとして活躍し、the University of LimerickのThe Irish World Academy of Music and Danceを設立する(1994)など、数々の功績を残された方です。彼のWikipediaのページもあるので、参考にしてみてください。
メロディーに注目すると、音が一つ一つ離れています。クラシック音楽の言い方だと「ノン・レガート」とか言いますよね。スタッカートではないけれどドライな感じ。この弾き方が、演奏をアイリッシュっぽくしているのかな、と私は思いました。
3-4 Padraic O'Reilly
彼はEnnis Ceili Bandのリーダーです。私がアイリッシュ音楽に出会った頃からよく参考にしているサイト、「フィドル(バイオリン)奏者『Taka』のホームページ」で、紹介されています。このサイトは、先ほど紹介しました、みぞやすさんの記事でも紹介されています。このサイトの紹介は、私が「ピアノでアイリッシュ、いいじゃない。」って思ったきっかけです。
(↑こちらの「ピアノ」の項目です。)
これも、メロディーは、ところどころ音を切りながら演奏しています。左手の刻みは、もっと簡素で切れてますね。トリプレットも入っていて、全体的にドライな感じで好きです。
3-5 Donna Long
ロサンゼルス生まれの彼女は、3-3 Mícheál Ó Súilleabháin氏を含めたアイリッシュトラッドの演奏に加え、ジャズやクラシックに大きく影響を受けています。子供の頃から様々なジャンルの音楽をピアノで弾いていたんだとか。サイトThe SessionsのLooking for solo piano tune recordingsというディスカッションの中で話題にあがっていて、私はそこで知りました。フィドルが入ってもピアノが完全な伴奏にならずにメロディーもなぞっているんです。この記事の冒頭でも触れた、「Handprints」というこのアルバム。聞いてみてください。そこまでこの記事に興味なくてもこのアルバムだけでも聞いて欲しいです(必死なおすすめ笑!)
AppleMusicにもあります。私が、今一番好きなのはこの演奏です。ドライな部分もあるのですが全体的に上品で落ち着いた演奏です。ピアノならではの良さを感じます。メロディーに和音をくっつけて弾いている部分もあります。あと、もちろん、メロディーの弾き方がとても良い。百読一聴にしかず。聞いてみてください。とってもエレガントな”The Woman of House"とか入ってます(笑)
3-6 Geraldine Cotter
彼女は、ティンホイッスルとピアノの奏者です。ご存知の方も多いかと思います。様々なサマースクールでティンホイッスルの指導をしています。
彼女のホームページ↓
私たちの耳馴染みのあるような伴奏ですね。私はとてもシンプルな印象を受けました。
3-7 Patsy Broderick
動画はいくつかありますが、冒頭でソロがよく聞こえるものを貼っておきます。
この演奏も、ピアノもメロディーパートを弾いています。ノリがアコーディオンとバウロンと合っていて、音はピアノでも、アイリッシュの楽器で弾いているような溶け込み具合です。
3-8 Charlie Lennon (1938-)
彼は、フィドルとピアノを弾きます。ご存知の方は多いと思います。彼も、10代のうちにクラシックバイオリンやジャズとクラシックのハーモニーを勉強していたそうです。有名なアコーディオン奏者Joe Burke氏との演奏は必見です。
この動画では、ピアノは伴奏で、あまりベースをこまめに動かしていないので、比較的すっきりしています。二曲目のThe Bucks of Oranmoreは少し刻みが細かくなって2:45くらいにベースが単音になって右手のコードと近づくところがとてもステキです。それにしても息ぴったりですね〜楽しそう。
3-9 Ryan Molloy
去年のケルティッククリスマスで来日したフィドラーFergal Scahill氏のアルバム、「The Dusty Bridge」2008年、「Wayfaring」2011年、「One Day:November Woods」2019年、の伴奏をしています。こちらもApple Musicで聴けます!(すみません、私がAppleユーザーなもので…。)伴奏と言うより、第二パートのような独特な(旋律的な)動きをしている部分があって、でも、心地よいハーモニーです。(なんか、食レポみたいな言い回しになってしまった…)
ホームページを見てみると、作曲家、演出家、とありますが、活動の幅がものすごく広い方なのがわかります。
彼の伴奏はとても自然で、いい意味で空気のような溶け込み具合。でも、ものによって雰囲気が違うので、メロディーの演奏次第でいろんな演奏ができるんですね。表現の幅が広いです。
3-10 Saileog Ní Cheannabháin
シャンノース・シンギングのミュージシャンで、楽器はフィドル、ヴィオラ、ピアノを演奏するようです。作曲もしています。2009年に University College Corkを超優秀な成績で卒業しています。優等生さんです。
左手の動き独特でオシャレすぎる。5度(音程)をよく使っています。また、冒頭にドローン。確かにピアノで再現できちゃいますね。また、装飾が笛の装飾と似ています。笛の装飾を真似るのはどの楽器にも当てはめられますね。
3-11 J.J. Sheridan(1951-2014)
James Joseph Sheridan。Wikipediaページあるのでチェックしてみてください。ソロのピアノ演奏です。アイルランド伝統音楽の保存、録音に尽力した人です。
④ 変わり種
再び私が勝手にかっこいいと思ったもので、少し特徴のあるものを載せておきます。(これだけでひと項目作るのは気が引けるのですが…)
4−1 のりのりスコティッシュ
ちょっとテイストの違う(しかもスコティッシュ)ピアノ×フィドルも紹介されてます。ピアノを弾いているスコテッシュ奏者は、Harris Playfair氏。
もうのりっのりですね笑
4−2 ギター伴奏付き
ギターの伴奏から始まってピアノのメロディーが入るメジャーチューンを演奏したものあります。その後もどんどん楽器が増えていきます。ピアノを弾いているのは3-7 Patsy Broderick氏です。
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こうしてみてみると、左手は、シンプルにオクターブで刻む人が多いようです。重音をあまり使いすぎないようにすると少し小粋な感じが出せるのかな、とも思います。伴奏動画はいくつもTG4(アイルランドのTV番組)などで紹介されています。気になったピアニストがいましたら、名前を検索してみてください。
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たくさんありました。一部しか紹介できませんでしたが、本当に全てあげていったらキリがないのでここらへんで切り上げます。
意外とあるものです。YouTubeが多いですね…。CD探しに行きたい…。でも、今はおうちでできることをするしかないですね。もし、良い感じのピアノが入ったアイリッシュCDお持ちの方いましたら教えてください!
⑤ Cape Breton Piano
5-1 ケープ・ブレトン スタイル
カナダの大西洋側に位置するケープ・ブレトン島。1700年代にスコットランドからの移民たちによってもたらされたケルト音楽はフィドル演奏を中心として独自の要素を持つようになりました。このフィドル演奏の伴奏をするためにピアノが弾かれたんです。
そこでは、もともとリード・オルガン(Wikipedia)が使われていて、20世紀前半にピアノがもたらされたときには、すでに演奏における鍵盤楽器での伴奏のポジションはありました。それからピアノがそのポジションで活躍していって、スタイルが確立したのは20世紀後半。今では逆に、このピアノの演奏スタイルは、ケープ・ブレトン島の音楽の特徴の一つともいえるのです。
Cape Briton Piano の演奏スタイルに厳密にこれといった定義はないようですが、島で盛んなスコティッシュのフィドルの伴奏をするための独自のスタイルを持つピアニストたちが多くいて、特徴を持っていったようです。スコティッシュ音楽文化圏での演奏ですが、今日のアイリッシュ音楽を含むケルト圏の音楽の伴奏スタイルに繋がっているんですね。
→もうお気づきの通り、これアイリッシュじゃないじゃん!とお思いの方、ごもっとも、この章はある意味スコティッシュピアノになりますが、こういうわけなので、お許しを…。
5-2 どんな演奏?
さて、今回はピアノの話。
このスタイル、ただ「ズン チャ ズン チャ」と弾くのと何が違うのでしょうか。
→左手で、半音階を用いたオクターブバスをシンコペーションを用いながら刻み、右手でその間にコードを入れつつメロディーも追っていくようなスタイルです。グリッサンドを入れたり、バスを大きく動かしてみたりもして、アクロバティックです。
特徴は、バスがよく動くことと、伴奏全体のリズム、のようです。バスがよく動くと言うのは、コードチェンジが頻繁だということ。ジャズなどで用いられる「ストライド奏法」とか言われているものです。
ストライド・ピアノ:
「ストライド」とはまたぎ越しを意味し、右手で即興を奏でている間に、左手でベースノートとコード をストライドして弾きます。これはラグタイム奏法から発展したもので、スウィングジャズやブルー スなどでよく用いられます。
(引用:Windham Hill ホームページより)
これは、ケーリーの伴奏で用いられてたりしますね。陽気な感じになります。
実際に聴いてみてどんな感じか確かめてみましょう!
このスタイルで演奏しているピアニストを何人か挙げてみます。(こちらも、評論などで紹介されているピアニストは多すぎるので私の独断と偏見でピックアップして載せます。)
5-3 Barbara MacDonald Magone** **
アメリカ合衆国のミシガン州デトロイトで生まれ。彼女の父親はCape Britonのフィドラーで、父親がフィドルで弾くチューンをピアノで弾いていたんだとか。Cape Bretonの最も有名なピアニストの一人です。James Kelly, Liz Carroll, Mairead Ni Mahonaigh, Gearóid Ó hAllmhuráinなどの有名なコンサーティーナ弾きやフィドラーたちの伴奏をしたようです。
聴いてみましょうといっておいて、この方は埋め込める動画がなさそうなのでHPを貼っておきます。(いくつかCDを出しています。)
ホームページはこちら↓
5-4 Mac Morin** **
彼はピアノを弾くまではダンサー一筋でした。今もCape Bretonのステップダンスを教えています。ダンサーならではの抜群のリズム感が最高です。
The Celtic Colours International FestivalのHPのARTISTSのページに紹介が載っているので興味がある方はチェックしてみてください。
確かに左手が常に動いてます。音が詰まっていて厚みのある伴奏です。
ちなみにこの方はダンサーさんなのでダンスの動画もあります。
5-5 Mary Jessie Macdonald
彼女もまたCape Bretonの有名なピアニスト。重めなベースが特徴。
5-6 説明動画
このスタイルの、わかりやすい説明をしてくれている動画があるので貼っておきます。ピアノを説明しているのはCape Breton大学の教授で民族音楽学を教えているChris McDonald氏。
ここでもシンコペーション、大事になってくるんですね。
このスタイルで伴奏している人、アイリッシュ音楽で結構いますよね??
⑥ Jazzとアイリッシュ音楽のピアノ
アイリッシュ音楽のピアニストたちはジャズを学んでいる人が多いです。
アイリッシュ音楽は、楽譜がなく、繰り返され、しかし共通のチューンをアレンジを加えながら展開していく、それにピアノ、となると、ジャズを思い描かずにはいられません。
ジャズは、その特性から、民族音楽とは切っても切り離せない存在。世界の様々な音楽とフュージョンしてるみたいです。(亜流って…)
(残念ながら?ここでアイリッシュは紹介されていないです。)
20世紀の初頭くらいにアメリカ合衆国のニューオリンズにて生まれて、激動の時代を経て世界的に人気を誇るジャズ。グローバル化の象徴。
(この記事ではジャズについての説明はややこしくなるので省きます。多くの人がジャズと聞いたときに思い浮かべるような広義の意味とします。)
一見して伝統とは対極に位置するような存在。でも、ジャズはお酒を飲む場で、人々が楽しむために演奏するもの。それってアイリッシュ音楽もですよね。
これといって決まった理想の形や完成形のない音楽だからこそたくさんの可能性があるんです。それってアイリッシュ音楽もですよね。(2回目)
先ほどあげたストライド奏法もジャズの奏法です。そして、繰り返しますが上に挙げてきたピアニストたちの中にもジャズに影響を受けてきた人がいます。ピアノでアイリッシュを弾く際は、ジャズピアノも参考になると思います。(それについてもいろんな意見があるようですが笑)
また余談ですが、最近ジャズでサックスを演奏される方が「ジャズは、伸ばす、遅れる」と言っていました。私はそれを聞いてとっさに、「アイリッシュは、切る、区切る」とか、思ってしまいました。ふむ、参考にする時はそこをわきまえればいいのかしら、と。みなさま、どう思いますか?
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トラディショナルな演奏であることを目指すのか、はたまた、トラディショナルを自分なりに表現するのか。これは、ピアノに限った話ではありません。アイリッシュ音楽を演奏するときには、ピアノはピアノでのトラディショナルを持たないので、特に考えさせられます。つまり、ピアノは、特有の音、という一つの大きなアイリッシュ音楽のアイデンティティを、より早くから使われている楽器よりも損なった状態からの表現だからこそ、クラシック音楽の音でいかにアイリッシュが表現できるのか、よく考えなきゃいけないんですね。面白い。
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終わりに
アイリッシュ音楽のピアノ演奏は、あまり日本では多く見ないですが、外国では、結構あったんですね。いろんなスタイルがあると思います。そのスタイルの数だけ、この記事では到底紹介しきれない(数の問題もありますが、私自身まだちゃんと追いつけてない)くらいたくさん素敵なアイリッシュピアノ奏者がいます。
とりあえず、このコロナ禍においては、お一人様で伴奏もメロディーもできる(何ならドローンまでつけられる)ピアノで楽しむのも面白いかと!おうちに鍵盤がある方は気に入った動画を参考にしたりしながらぜひ弾いてみてください。そして、いい感じに弾けたら、私に教えてください。
ピアノでのアイリッシュ音楽の演奏への私の興味はまだまだ尽きないので、演奏も含めもう少し成長したら、また書いてみたいです。
では!
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次回予告
次回は、後藤えりかさん(=きゃんさん)の記事です。きゃんさんはフィドル弾きの聡明で美人な先輩です!
タイトルは 『アイルランドと信州』 です!
「ひとつのコミュニティの発達」がキーワード。S-Celtsという大学サークルを中心にこのテーマを語ってくれるみたいです。きゃんさん、「今、信州がアツイ!」のだそうで、信州に生きてきた彼女ならではの面白い切り口で、信州でのアイルランド文化の広まりをお話してくれるのでしょう!
来週が待ち遠しくなりますね!楽しみです。
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