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★映画観賞note:「Breaking Glass」(1980)


日本ではあまり有名ではないと思いますが、1970年代終わり〜80年代初めにかけての、ロンドンのパンク/ニューウェーヴ・シーンの雰囲気を味わえる貴重な作品。ストーリー的にはよくある、Rise and fall of〜ものの音楽映画で、真新しさはありませんが、レコード会社やライヴ会場、オーディエンスの若者たちの姿(パンクス、モッズ、グラム、スキンズ、ネオナチ、etc) は当時の雰囲気をそのままパックした感があって、後追い世代(1980年代生まれ)としては凄く興味深いです。

パブで演奏するシーンでは、Hope & Anchor(パブロック/パンクのメッカのひとつ)が使われていたり、DamnedのRat Scabiesがカメオ出演していたり、壁のポスターはパンクファンなら目が行ってしまうこと請け合いです(笑)。Stiff Records周辺が好きだったり、「パブロック革命」(ウィル・バーチ著)愛読してる方には特にオススメです。当時の様子が後追いで再現されている映画は結構ありますが、まだ余韻が残っていた頃に製作されただけに、パブでの騒ぎだったり暴動のシーンだったり、落書きだらけの街並みにも、リアルさが感じられます。"chart fixer"など、当時の音楽業界の裏側もかいま見えて、興味深いです。

シンガーのヘイゼル・オコナーが主演、「さらば青春の光」の主役Jimmy役のフィル・ダニエルズがマネージャー/恋人役を務めています。YouTubeで見てヘイゼル扮するKateの歌がなかなか良かったのもあって、DVDを取り寄せてみました。若き日のジョナサン・プライスが、バンドのサックス奏者の役で印象に残る演技を見せてくれてます。聴覚にハンディキャップがある役なのですが、見た目いかにもパブロック・バンドにいそうな感じで良いです。(KilburnsやBlockheads等、サックスの入ってるパブロック(というかDavey Payneが)大好きなので😎🎷)

*参考:Ian Duryのバンド、Kilburn & the High Roads。↑はHope & Anchorでのライヴだそうです。



Kate、さすがに時代を感じさせるアレンジやメイキャップではありますが、力強い歌声やパンキッシュでユニークな視点で書かれた歌詞、キャッチーなメロディなどはタイムレスで、魅力的です。デイヴィッド・ボウイなどを手がけたトニー・ヴィスコンティ・プロデュース。私は最初のほうの白塗りパンダメイク(笑)で、パブで歌うパンクのほうが好きですが、有名になってからのスケールの大きな曲も80’sポップとして楽しめます。

映画のヒットで、この作品がデビュー作だったヘイゼル本人も、実際Kateのような苦い経験をしてしまったそうです。よくある話ではありますが、名声や人気が上がるにつれて、Kateの心のバランスがだんだん崩れていく様子は見ていて辛いです。

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男性陣のファッションが、モッズテイストが入ったスーツやマフラーなど、なかなかお洒落でいいなぁと思っていたら、クレジットにPaul Smithの名前が! スタッフには有名な人が多数関わっていたようで、音楽のトニー・ヴィスコンティといい、ラストのライヴシーンのライトショウ的演出といい、結構ゴージャスです。Kateのファッションやメイクは、いかにも80'sで、時代を感じさせますが、一周回ってリバイバルしているので、80’sコーディネートするときの参考になると思います。

1980年代初めのロックやイギリスのユースカルチャーに興味ある方は、ぜひチェックしてみてください♫

<余談> タイトルはDavid Bowieの同名曲からだそうですが、Nick Loweの"(I love the sound of) Breaking Glass"とも関係あるのかしら?と思っていたら、ちょうどNick先生出演のポッドキャストでもちらっと話題になっていました。Nick曰くBowieとは関係はないそうですが、後にこの映画も作られて、ありふれた(common)タイトルになったよね、とのこと。