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九頭竜湖で見つけた謎の小屋
2022年8月に、JR越美北線の九頭竜湖駅から長良川鉄道の北濃駅まで歩いたときに、九頭竜湖のほとりで見つけた謎の小屋についてご紹介します。
九頭竜湖を歩いた背景
2023年8月に、JR越美北線の九頭竜湖駅から長良川鉄道の北濃駅まで、幻の越美線未成区間の攻略を実行しました。「幻の越美線未成区間って何?」という方は下記の記事をよろしくお願いします。
福井駅からJR越美北線に乗って九頭竜湖駅に行き、九頭竜湖駅の近くで前泊しました。
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翌日、記事で紹介した通り、九頭竜湖駅からバスで前坂家族旅行村へ行き、徒歩で石徹白まで8km歩き、石徹白からバスで北濃駅まで行く予定でした。
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ただし、2022年8月は福井県で豪雨災害があり、九頭竜湖駅から石徹白までの道路が通行止めになってしまいました。
そのため、通行止めになっていない国道158号線の九頭竜湖沿いの20km強を歩き通すことにしました。夏真っ盛りの炎天下を6時間以上歩きました。
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九頭竜湖駅から国道158号線を10kmほど歩いたあたりで、今回の話題である謎の小屋を発見しました。
謎の小屋の場所
謎の小屋は、国道158号線沿いに九頭竜ダムを過ぎて、箱ケ瀬橋(夢のかけ橋)の手前にありました。
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Google Map だと下記のあたりです。ストリートビューがあると、どこらへんだったか追っかけるのに本当に便利です。
サムネにもありますが、謎の小屋はこちらです。謎の小屋は黒を基調とした木造で、入口に「無料さん」「一休さん」「弁当さん」「仮眠さん」と書かれています。休憩所なのでしょうか。周囲は雑草が生え放題で、永く人が立ち入った形跡は無さそうです。
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謎の小屋の正体
不気味さのある謎の小屋ですが、そもそも入口にも雑草が生え放題のため、中を覗くのでさえ、ためらいを感じました。「人でも倒れていたらどうしよう」と恐ろしさを感じながら雑草をかき分けて中を覗いてみました。小屋の中は椅子のような体を横たえられそうなスペースはありましたが、長年の風化でひどく荒れており、やむを得ない状況でなければここで寝ようとは感じませんでした。そして、壁には「白馬洞」と書かれたポスターと、気味が悪い長文メッセージが貼ってありました。夜中にこれを見つけたらビビり倒す自信があります。
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この長文メッセージをよくよく読んでみると、どうやらこの小屋を建築した方が作成したようで、この小屋が建築された経緯や苦労が書かれてありました。この方に敬意を評し、メッセージを下記に書き起こしてみました。
九頭竜湖畔慰霊碑造園に捧ぐ
九頭竜ダム工事が着工され(1973年)付近で自殺者や、交通事故等、2年間で20人もの死亡事故が相次いだことから、当時周辺に11軒のドライブイン営業者の有志が建立した。
一帯では1967年、ダム建設と同時に、瀬戸大橋のモデルとして「夢の架け橋」が完成し、県内最大の鍾乳洞「白馬洞」も近く、一時は、今では信じられない位多くの観光客が訪れ盛況を呈したが、それも一時期のことでドライブインも姿を消し、2001年には、白馬洞に落石の危険性があるとのことで、見学者の減少のため、現在ではわずか2軒となっている。
30年以上に亘って碑の手入れと、毎年8月13日に慰霊祭を続けてきたが、雪融けの山崩れや雑木、草が生い茂って来た。
私は約10年前から慰霊碑付近に庭園を造る志を立て、庭石・植木・燈籠等を集め、2004年5月、工事に着手しました。
工事着手の最大の理由は
「もっと生きたかったと泣きべそをかいている」ような「泣き石」が、集めた石の中にあったことです。
この石は慰霊碑の前の供養物の台石として使ってあります。門柱を建てる迄の造園に11月になりました。すべて一人でコツコツと毎日のくり返しでした。
門柱と花壇の両側には、関西・九州・四国から魚釣り帰りに拾いリュックで持ち帰ったもので、約1,000個の小石が使われています。思い出の小石ですので、御見学下さい。
2005年には、足、腰を痛め休養し、2006年5月、門外に旅行者の方がゆっくり休め、仮眠も出来る山小屋を建てることも決意し、積雪に耐られる、杉の丸太で建築に取り掛かりましたが、予定の2倍もの日数が掛り、毎昼食を近くのドライブインで食べていましたが、金が続かず、以降は毎日5時起きして弁当を作り、愛犬の餌や、近くに居る2匹の野良猫が居りますので、私は戦時中、空腹で学校へ通った事等を考えると可哀想で餌を与えなくてはいられません。
毎朝6時に家より現場まで送ってくれる友にもお世話になりました。此の小屋にお休み下さった方にお願いします。線香とローソクを置いてありますので、慰霊碑にお参り下さい。仏が喜びます。
一人でも多くの人が「長く生きたかった人生を悲しく散った人達ですから」合掌下さることをお願いします。
天然石で建てられている向かって右側の燈籠の一番上の飾り石には、表側には人の顔、見る人に依ってですが、苦楽の顔が見え、裏側には観音様の立像が見えます。両の目には、思わず頭を下げるという御姿が有ります。有難く拝しております。
11月に入り不足している物を買いに白鳥へ行き、一番に入るのが、ラーメン屋か喫茶店でしたが、この一年間収入が無く、500円の金がなく、300円の風呂代も "忍知勇" 若い頃より大切にしてきた言葉でしたが、テレビの食べる食材番組を見るのがツライ残心な自己に気持ちが揺れました。
もう後一週間、11月末日迄に完成する、"忍知勇" 勇気とは人と戦う事でなく、金と食との自己の戦であると知りました。
毎年8月13日11時より慰霊祭を行います。多くの参詣者があれば仏様もお喜びのことと思います。肉親・愛人・親友等の服の切れ端や「ボタン」でも良いので、慰霊碑の裏の納骨堂穴からお納め下さい。
小屋でお弁当等ご使用下さい。ゴミ・カン・ビン等別々に入れ物があります。分別してご使用下さい。
2年間、造園・建築すべてを一人で仕上げ、生活と出費で苦しみましたが出来上り "忍知勇" の宝です。
入口の門石と、小屋の前の古木モミジは、郡上大和庭石 武藤高雄様より寄贈されたものです。
朝・夕一年間送迎下さった、大野市朝日 中野稔様に心からお礼申し上げます。
建立者 大野市朝日 梅坪国男
2006年11月30日 75歳
建立者は2023年にご存命だと93歳でしょうか。庭園と山小屋だったようですが、長きに渡って草が生い茂って放置され、特に人気もありません。
小屋を過ぎたあたりには、建立者が利用していたのでしょうか、「ドライブイン白馬洞」がありました。こちらは工事現場として利用されており、もう営業はしていないようでした。
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食べログには2012年までは口コミがあるので、2012年を過ぎたあたりで閉業してしまったようです。
また、白馬洞については調べてもあまり情報が出ないですが、どうやら閉鎖されているようです。
小屋をもう少し進んでいくと、数基並んだ慰霊塔がありました。こちらが建立者の語っている慰霊碑なのでしょうか。車でもあればもう少し調査できましたが、いかんせん徒歩でしたので、当時はそれどころでありませんでした。
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そのあと調べてみると
自宅へ帰宅した後に気になって調べてみると、謎の小屋に関する数少ない記事が1件見つかりました。「八画文化会館」様の2011年の記事ですが、白馬洞ポスターの色落ちが少なく、庭園も雑草が少なく見学できるような状態であったようです。
おそらく車では気にも留めず通過してしまいそうな建造物ですので、不思議なものですが発見できて良かったです。
まとめ
今回は九頭竜湖畔で見つけた謎の小屋についてご紹介しました。
場所:県道158号線の九頭竜湖畔
小屋の正体:旅行者のために自力で建造した休憩所
その後ですが、九頭竜湖から油坂峠を越えて、命からがら美濃白鳥駅まで着き、何とか帰宅できました。
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最後までご覧いただきましてありがとうございました。