楽しむほうです。
いろんなことに手を出しているのですが、私の仕事の基本はゴルフクラブの設計・製造とチューニングです。
で、自分で設計したクラブしか扱っていないかと言うとそうでも無いんです。
部品で卸してくれるメーカーのゴルフクラブは基本的に扱いますし、実際に自分で使ってみて気に入ったメーカーのものはガシガシお勧めします。
ウチみたいな社長1人でやっているメーカーで自社製品しか扱わないようだとどうしても視野が狭くなりますし、チューニングの依頼で来るゴルフクラブはどのメーカーのものでも出来ないといけませんから。
ちなみにゴルフクラブってやつは、ヘッドと呼ばれるさきっちょでボールを打つ部品と、シャフト(棒に見えるやつ)、そしてグリップの大きくわけて3つの部品を組み合わせて作られています。
これがドライバーと言うゴルフクラブのヘッドで、
こちらがシャフトと呼ばれる棒(笑)
で、これがグリップです。
これらの組み合わせと、それぞれの部品の重さや重心、シャフトの長さだったりを依頼主に合うよう組み上げるのが私の仕事の”キモ”な訳ですが、同じ部品でも重さが微妙に違ったり重心が微妙に違ったりするんです。
これでもだいぶ在庫が減りましたが、全部同じメーカーの同じモデルのグリップです。
写真のように同じメーカーの同じモデルのグリップでもこれだけの重量差があるので、他の部品(ヘッドやシャフト)もそれなりに重量差がありますし、重心やらにも誤差があります。
研磨(鉄を削って形や重量を整える)という手作業を経て作られるアイアンやウェッジ、パターのヘッドではシャフトを挿す穴の位置が微妙に中心からズレていたり、形も微妙に違っていたりすることもあります。
この記事の見出しにあげたパターの研磨する前のモノがこれですから、かなりの職人であっても、0.1gや0.1mmの誤差も無く作るのは難しいのです。
中には数グラム単位という結構な誤差があるものもあるので、こうした誤差をケシカラン!!というゴルフ工房さんも多いのですが、私個人的にはこうした部品の誤差に関してはケシカラン!!というよりも楽しんでしまうほうです。
こうした公差(不良品でない誤差は公差といいます)を逆に利用して依頼主により合ったゴルフクラブを作るのが楽しいのですよね。
もちろん見た目も実際の性能も妥協はせずに組み上げるにはいろいろな引き出しが無ければいけないですし、その引き出しの数では足りない事もあります。
引き出しが足りない場合は新たな引き出しを作るべく色々と考えていろいろとトライしてみると、殆どの場合は新たな引き出しとなってスキルが身につきます。
そうして新たな引き出しが出来ると楽しいですし、次からの仕事の幅も広がってきますから、より仕事がスムーズに進む。こうなると完全に楽しいのループなのです(^^
ケシカラン!!といくら言っても楽しくは無いですし、やらなければならないのだったらケシカラン!!と文句言いいながらやるよりは楽しく仕事したほうが良いに決まってますしね。
そうそう、ポニーキャニオン時代にも似たような事を考えていました。
ライブやイベント等で難しい顔して腕組んでいるスタッフに向けて言ったことです。
「音楽って音を楽しむと言う意味なのだから、難しい顔して腕組んで見てたら来て頂いたお客様も楽しめないでしょ?だから俺たちが率先してニコニコ楽しんで仕事しような!!」って。
あの時新入社員だった彼は、今イベントを担当する部長になっているようです(^^
私はマネージャーで辞めましたから、俺より出世しやがって!!(笑)
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