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貫禄を見せた試合と宿敵を撃破した試合〜奈良県高校サッカー新人大会準決勝ハイライトレビュー〜

 2025年2月1日(土)は奈良県高校サッカー新人大会準決勝2試合を観戦してきたので文字数の関係でXには書けなかった事も追記しながらハイライトレビューを書いていきます



準決勝までの勝ち上がりトーナメント


■奈良育英高校 vs 天理高校

 第1試合は優勝候補筆頭の奈良育英高校と同じ県1部リーグ所属の法隆寺国際高校と山辺高校に競り勝ち今大会旋風を起こして準決勝まで勝ち上がってきた天理高校との試合です!

 準々決勝前に実施したアンケートで当該ブロックは奈良育英高校の決勝進出を予想する下馬評が74%となり天理高校としてはロースコアに持ち込んでジャイアントキリング起こしたいところです

【スターティングラインナップ】

奈良育英高校(1-4-4-2)ダイアモンド型

 今大会初めて奈良育英高校の試合を観たところ昨年シーズンと同じダイアモンド型そのままで新チームも臨んできましたが既に機能していたところを見ると主力メンバーもかなり残っているのかな?と思いました

天理高校(1-4-4-2)ライン型

 天理高校は準々決勝と同じラインナップで山辺高校戦の様にガッツリ守るで!というプランに感じました


【マッチレビュー】

 前半立ち上がりから奈良育英高校がワンタッチ・ツータッチでショートパスを交換しながら時折ロングフィードでのサイドチェンジを使って天理高校をゴール前に押し込みます

 特に縦関係のアンカー25番とトップ下14番のホットラインに左SH10番が絡むショートパスを使ったサイド展開もあれば逆に左に流れたあとの右SH7番へのロングフィードによるサイドチェンジと幅を意識した上に対角への攻撃が有効的でした!

中盤を経由しての左サイド展開
縦パス入れての左サイド展開
幅と対角を意識したビルドアップ
ロングフィードによる右サイド展開

 他にも天理高校ゴール前で魅せる2列目から飛び出してのスルーパスもよく決まっており再現性ある攻撃のオンパレードでした!

2列目からの飛び出しとスルーパス

 この様に前半戦は奈良育英高校が天理高校を終始圧倒しましたが天理高校もGK始め身体を張っての守備対応で2失点に留めゲームを壊さずハーフタイムを迎える粘りを見せました

 天理高校は攻撃の起点を作れなかったので上記のポストにも書いた通り奈良育英のブロックを分断させて間延びしたライン間でボール受けたい!というは下記のイメージです

間延びさせたライン間でポストプレー

 天理高校の前半はあまりにも押し込まれ過ぎてクリアしても直ぐに奈良育英高校に回収される地獄のループだったのでこの辺りに修正ポイントとして上げました

後半14番⇒16番⇒7番のローテーション

 奈良育英高校はハーフタイムでのメンバー交代はなかったのですが右前線をトライアングル的にローテーションしてポジション変更で後半に臨んできました

 後半に入っても奈良育英高校の攻勢は変わらず追加点を奪い余裕のメンバー交代をしてきたところで結果を残したい投入された選手の前掛かりな攻撃が守備バランスを崩す事になって天理高校の左SH8番の見事な裏抜けにより65分と71分に連続ゴールを奪い一気に2点差と追い上げ息を吹き返し奈良育英高校を追撃しました

 ここから天理高校も勢いを取り戻し奈良育英高校のゴール前で再三チャンスを作るようになり慌てさせている様に感じました

 しかし天理高校の攻撃もここまで…決定機を作りながらクロスバーに阻まれたりした結果このあと得点をあげる事が出来ず試合終了で奈良育英高校が新人大会2年連続および県大会を6大会連続で決勝進出を果たし近畿大会への出場権利も得ました!


■畝傍高校 vs 生駒高校

 第2試合は現在の奈良県内で奈良育英高校に対抗できるのは当該2校しか考えられない宿命のライバル校と思われる畝傍高校と生駒高校の直接対決となりました!

 しかし県大会での過去戦績は毎回下馬評に反して生駒高校の方が圧倒的に良くて過去5大会連続Best8止まりの畝傍高校と過去4大会連続決勝進出の生駒高校とここまで明暗をくっきり分けていました


【マッチプレビュー】

 準決勝第2試合については気合いを入れてマッチプレビューを作ったのでまだ読んでない方は一度ご覧になった上でこの後のマッチレビューを確認して貰えると畝傍高校のアクシデントもあり現実なかなか上手くいかないな…て分かって貰えると思います


【スターティングラインナップ】

畝傍高校(1-4-1-2-3)

 畝傍高校はマッチプレビューでも予想した通り準々決勝の五條高校戦と全く同じラインナップで生駒高校を迎え撃ちました

生駒高校(1-4-4-2)ライン型

 生駒高校はマッチプレビューに予想したラインナップではなく右SHと右SBを変更してきました
 これは右サイドに後半勝負のためジョーカーとして主力メンバーを残しているんだなと考えました
 でも試合が始まって気付いたのは右SB18番はロングスロワーだったので戦術プランでもあると理解しました


【マッチレビュー】

 前半立ち上がりから生駒高校はハイプレスをかけずにミドルブロックでの守備対応に入ってミドルゾーンに畝傍高校のパスが侵入してきたらプレッシングで潰しに来ました

ミドルブロックにおけるミドルゾーン

 序盤は生駒高校の1対1の対人守備の強さに畝傍高校が耐え切れずロングボールに切り替える時間帯があったものの10分過ぎたあたりから生駒高校のプレッシングにも馴れ始めて中盤でのパス交換から生駒高校ゴール前へ押し込み始めゲームの流れは一時的に変わったと思いました

 しかしその良い流れのプレー中で畝傍高校の右SB4番が生駒高校の強い対人プレーで接触した際に足を痛めて負傷交代する事となり今から畝傍高校の時間帯と思った矢先にいきなり暗雲が立ち込めます…

 その理由は準々決勝の五條高校戦でも4番がSBで右サイドを積極的なオーバーラップにドリブルでのサイドアタックと守備だけでなく攻撃する上では欠かせない選手を序盤から失ったからです

 ここから畝傍高校の攻撃は右の翼を失ったかの様に左サイド中心に偏ってしまい得意の両サイド幅を使った攻撃が減ってしまいました

 それと急遽交代でSBに入った選手も恐らく心の準備も無いまま強度の高いゲームに放り込まれたので動揺していのか交代直後に持っては行けない自陣深くで生駒高校のプレッシングでボール奪取され危うく失点しそうなシーンも作っていました

 そのため前半は畝傍高校が右サイドへなかなか広げられない状態となったため生駒高校の守備がボールサイドに絞られてしまいました

 その結果ルーズボールを対人の強さでボール回収した生駒高校がどんどんゴール前へ放り込んできたので傍目には押し込んでいる様に見えたと思いますが畝傍高校の両CBの3番と6番にアンカーの10番も生駒高校の単調な攻撃では守備は崩されずスコアレスのままハーフタイムを迎えるものと思いきや前半終了間際にゲームが動き出します!

 39分に畝傍高校は左サイドからのFKを得たセットプレーのチャンスで蹴ったクロスボールに反応した生駒GKがキャッチに行くもファンブルした所を畝傍高校が落ち着いてこぼれ球を回収し混戦の中でシュート打つのではなくフリーの選手へパスを流してこれを受けた選手がきっちり決め待望の先制ゴールをあげました!

 苦しんでいた前半戦の中で待ちに待った先制ゴールで畝傍高校サイドはピッチ内の選手も応援団も沸き立って恐らく平常心が飛んでしまったのでしょう…落とし穴が待っていました

 このまま残りアディショナルタイムの2分間をセーフティにプレーするだけで良かった畝傍高校なのに生駒高校の右サイドアタックに対していつもならプレスバックで遅らせる守備をするシチュエーションなのに何故かボールを奪いに行くプレスミスを犯しひっくり返されゴール前にドリブルで侵入を許して混戦の中でゴールを流し込まれてしまい1対0でハーフタイムを迎えるところを1対1の同点で迎える事になりました

 しかし元々はスコアレスでハーフタイムを迎えたと思えばハーフタイムで気持ちを切り替える事は十分可能だと思いました

 それに畝傍高校にとって悪い事ばかりではなく前半戦では生駒高校のキープレーヤーと思っていたボランチ10番にはパスコースを制限してほとんどボールに絡ませなかった事で生駒高校にロングボールを蹴らせていたのでさほど決定機は作られ無かったのは良かった事でした

 両校ともハーフタイムでのメンバー交代はなく後半戦がキックオフされた直後に畝傍高校は前半ほとんど見られなかった底でのボール循環をし始めてボールを握るところから悪いゲームの流れを一旦切って畝傍高校に持って来ようとしていました

 それに対して生駒高校も10番のプレースタイルでもあるライン間でパスを受けれないとなると今度はポジションを下げ気味にしてDFラインが空中戦等で落としたルーズボールを自ら回収しに行く事で10番がボールを持てる様に修正してきました

 こうなると生駒高校10番はなかなか手強い選手で畝傍高校にとって嫌な所へパスを出したりドリブルで運んで畝傍高校の選手を固定してから味方選手に叩いたりと畝傍高校の守備対応を翻弄し始めます

 例えば下記の様なプレーを生駒高校10番は散々やりだして畝傍高校を苦しめました

ボランチからの相手DF裏へのスルーパス
ボランチの自陣からの攻撃的パス
ボランチのドリブルによる固定から縦パス
ボランチによるドリブル突破

 そして満を持して50分に右SHを6番に代えて13番にFW9番に代えて27番にと前線で走れるフレッシュな選手を投入してきました!

 そしてこの交代は疲れが見え始めた畝傍高校にとっても苦しめられ徐々にスタミナを削られたのかボールを繋ぐ事が出来なくなりロングボールの蹴り合いに持ち込まれてゲームの流れは生駒高校に移り始めます

 ちょっとここで紹介ですが畝傍高校が後半から見せ始めたトリックプレーがあってCK時のショートコーナーの様な要領でセットプレーやゴールキックで如何にもロングボールを蹴るぞ!という形で構えさせた所を逆を取って空いたサイドスペースへSBを走らせてグランダーのパスを出してビルドアップしたりしていたのでこのあたりは狡猾に頭を使ったプレーで生駒高校も虚を突かれて守備対応が遅れてました

 しかし終盤を迎えるにあたり畝傍高校はジョーカー的なメンバー交代ではなく疲れが見え始めた選手を下げるという交代をする様になりプレーの質が落ちてロングボールが多くなり徐々に攻撃の手を失い追い込まれ始めました

 唯一再現性がある攻撃は左サイドからの攻撃でSB2番のオーバーラップやWG8番の裏抜けからのクロスボールでしたがその8番も80分で交代して畝傍高校の攻撃はほぼ詰みました…

左コーナーサイド崩しからのクロスボール
左SBのオーバーラップによる裏抜け
左サイドからのワンタッチスルーパス

 そして80分では両校決着がつかず昨年のインターハイ予選準々決勝と同じく延長戦の再現となりました

 ロングボールを使ったオープンな展開になると生駒高校の方が優位になると思っていましたが畝傍高校も延長戦に入ってからは割り切って守備対応にシフトチェンジしたため一進一退のトランジションの攻防となり両校ゴールを奪えないまま延長戦も終了して遂にPK戦を迎えました…

 PK戦で畝傍高校は過去2年連続でインターハイ予選準々決勝で敗退しておりあまり良い印象がなく逆に生駒高校の方がGKの活躍でPK戦で勝っている印象があり生駒高校が5大会連続で決勝進出するんだなと思いました

 そして先行の生駒高校1人目が決めた後の畝傍高校の1人目が左ポストにシュートを当てて外した時は『やっぱりな…』と思いました

 しかし生駒高校の2人目も左ポストにシュートを当てて外してしまい続く3人目も畝傍GKにシュートコース読まれセーブされるという連続ミスで逆に畝傍高校がリードして最後は生駒高校5人目もシュートを枠外へ蹴ってしまい万事休すとなりました!

 畝傍高校がPK戦を制して勝ち上がり6大会ぶりの決勝進出と共に2年ぶりの近畿大会出場権を得ました!

 逆に生駒高校の連続大会決勝進出は4大会で止まりました…


■あとがき

 この結果により準決勝は奈良育英高校と畝傍高校が決勝進出して近畿大会への出場権利も獲得しました!

 昨年秋の選手権予選の準々決勝では事実上の決勝戦と謳ってマッチプレビューを書きましたが畝傍高校は敢え無く大敗を喫しました
 今大会はマジで決勝戦での直接対決なので畝傍高校には奈良育英高校への雪辱を期待しておきます

 あと近畿大会への各府県代表はまだ6校しか判明しておりませんが奈良県を代表して初戦突破を目指し頑張ってほしいところです!


■ご参考

今回もスペインサッカー研究所で学んだ事をたくさん使いながらレビューを書いていますので参考にnoteのリンクを添付しておきます!

 今回も最後まで読んで頂いてありがとうございます&出来ればSNS等でシェアいただけると嬉しいです!

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