昇格初年度に県内強豪校を圧倒してシーズン駆け抜けた奈良クラブユース~ダントツ優勝は県内強豪校に影響を与える事が出来たのか?~
2024年度の奈良県1部リーグは全日程を終了して昇格初年度ながら奈良クラブユースが17勝1敗と他校を圧倒する強さを見せて優勝し幕を閉じました!
昨年まで奈良クラブユースの実力については県2部リーグを18戦全勝で県1部への昇格を果たしても、県1部所属の強豪校関係者からすると所詮2部やろ?と高を括った意見も耳にしていたため、今シーズン開幕前には県1部リーグでも全勝優勝して強豪校で胡座をかいている様なら度肝を抜いてやれ!と思っていたぐらいです。
今シーズン奈良クラブユースにボコられた県内強豪校と呼ばれるチームが、この悔しさをバネに来シーズンは良い影響を受けてチームとして進化してほしいと願って、ネットでの批判も覚悟の上で今回のnoteに一石を投じたいと思います。
◼️県1部リーグ全日程成績
ご覧の通り奈良クラブユースは圧倒的な強さで昇格初年度から県1部リーグの優勝を決めました!
【県1部リーグ4強まとめ】
奈ク 畝傍 育英 生駒 勝点
①奈ク ーー ○○ ○● ○○ 15
②畝傍 ●● ーー △○ ○○ 10
③育英 ●○ △● ーー △○ 8
④生駒 ●● ●● △● ーー 1
ピックアップしてリーグ戦上位4強で直接比較しても、インターハイ県代表の生駒高校と、選手権県代表の奈良育英高校の戦績を凌駕する圧倒的な初優勝でした!
【奈良クラブユース最終戦績】
①○2ー0山辺高校
②○2ー1奈良育英高校
③○5ー0天理高校
④○3ー1生駒高校
⑤○3ー1一条高校
⑥○3ー0橿原高校
⑦○4ー2香芝高校
⑧○5ー1五條高校
⑨○4ー2畝傍高校
⑪●1ー3奈良育英高校
⑫○3ー0天理高校
⑬○6ー0生駒高校
⑭○3ー0一条高校
⑮○2ー0橿原高校
⑯○7ー0香芝高校
⑩○4ー1山辺高校
⑰○6ー0五條高校
⑱○2ー1畝傍高校
(17勝1敗65得点13失点52得失差)
【奈良クラブユースの特徴】
まずは攻撃から見ていきます。
まずはフットボールの原理原則に基づいた対角を意識してボールを前進させる攻撃パターン!
例えば底でのボール循環⇒中盤を経由しての対角へのビルドアップ⇒攻撃のスイッチを入れて加速ハーフスペースへのスルーパス⇒クロスボールでフィニッシュ!
次は高校サッカーでよく見掛ける縦に速く選手能力のスピードを生かしたサイドアタックによる攻撃パターン!
例えばIHの縦パス⇒WGが前向き加速させるハーフスペースへのスルーパス⇒SBオーバーラップ⇒クロスボールでフィニッシュ!
これも高校サッカーでよく見掛ける自陣からロングカウンター等である中央からの速攻パターン!
例えばCBの縦パス⇒アンカーが前向き一気に加速させるスルーパス⇒前線3枚の裏抜けからGKとの1対1を制してフィニッシュ!
こういう基本的なところをきっちりプレーして再現性ある攻撃が特徴によく出ていると思います。
次に守備を見ていきますが特徴というよりフットボールの基本的な事ばかりになります。
畝傍高校戦でも見せたミドルブロックを組んでミドルゾーンに侵入するパスでプレッシングのスイッチを入れてきます。
県内リーグ戦では見たことはないですが恐らく県外強豪チーム相手にはローブロックを組むことも落とし込んでいると思います。
主導権を握りたい時間帯ではハイブロックを組んで時にはハイプレスを仕掛けていきます。
DFラインのSBとCBも基本的(ボールを奪う<ゴールを守る)な守備で、きっちりパスコースの制限や方向付けにプレスバックで攻撃を遅らせる原則原則なプレーが落とし込まれています。
この様に奈良クラブユースは特別な事をやっているのではなく、攻守ともにフットボールの原理原則を理解した上でのプレーで県内強豪校を圧倒しているんです。
逆に言えば県内強豪校で原理原則をチームとして落とし込めてない高校は奈良クラブユースに対して負け続けたのだと思います。
◼️県内強豪校への影響
【旧態依然な強豪校の二極化】
県1部リーグの旧態依然な強豪校も二極化していると思っていて、一つは今シーズンこそ変わろうとリーグ戦で実戦を試みるもチームとしてチーム戦術を上手く落とし込めず、チーム構築が間に合わないまま選手権予選を迎えてしまったと感じていたのが生駒高校、山辺高校、一条高校です。
もう一つは相変わらず旧態依然としたU15までの所属チームで育成された選手のポテンシャルに頼って、これまでの個人一人一人の経験を生かしたピッチ上にいる選手に任せっきりなゲームで、今シーズン通した様に感じたのは橿原高校、五條高校、香芝高校でした。
ラスト2試合を連勝し最下位から一気に脱出して来季も県1部リーグ残留を決めた天理高校については、逆に今シーズン県1部の他校と比較しても選手層的に厳しい中で、守備を堅固にする方向へ振り切ったプランを用いて県1部リーグをよく戦い抜き頑張った結果の逆転残留だったと思います。
あと県1部リーグ以外の所属で選手個人のポテンシャルに頼っていると感じたのは、県2部リーグの郡山高校と県3部リーグでブロック優勝して来季は県2部リーグに昇格する大和広陵高校でした。
個人的に何をもって旧態依然と考えているのか?というと、公式戦で対戦する相手チームのスカウティング結果に基づき対策を練り、それをトレーニングで落とし込める技術を持つ選手に育成しているか否かだと考えています。
でも対戦相手をスカウティングして対策を練ったところで、奈良クラブユースの様なサッカーに対する理解度がないと、せっかくの分析もプレーとして表現が出来ない選手ばかりでは旧態依然なチームのままと同じ事だと思います。
そのため、高校サッカーを選手として集大成の場と置くのではなくU15から継続して育成する場として考える事は重要だと思います。
【良い影響を受けた強豪校】
奈良クラブユースに引っ張られる様に今シーズン進化した強豪校も当然います。
一つは奈良育英高校で明らかにインターハイまでと夏休みが明けたリーグ戦再開後とではサッカーの内容が全く変わっていました。
リーグ戦では奈良クラブユースに負けてからは生駒高校と畝傍高校には決定力不足から得点できず、スコアレスドローと勝点ロストが続き前期9戦全勝の奈良クラブユースに勝点7差と広げられた上、インターハイ予選決勝では生駒高校に足下すくわれた形で負けてインターハイ連覇も阻まれました。
そのあとチームに何が起こったのかは知りませんがリーグ戦再開後の奈良育英高校は、縦に速い攻撃だけでなくピッチの幅も使うスタイルに変貌しており、リーグ戦再開後の奈良クラブユース戦では落とし込んだゲームプランが功を奏し見事に雪辱を果たしました。
その結果、進化した奈良育英高校は選手権予選でも生駒高校に雪辱を果たし4連覇を達成しました!
奈良育英高校の進化については下記noteでご確認ください。
もう一つは畝傍高校で奈良クラブユースより選手層的に一回り小さくした感じになりますが、同じ様にフットボールの原理原則を落とし込まれサッカーに対する理解度も高いスタイルで、ポジショナルプレーを構築していきました。
インターハイ予選、選手権予選と県大会が終わるたびに主力の3年生が引退して抜けていき、新チームでの再スタートになっているにも関わらず、リーグ戦はシーズン通して勝ちまくり最終節まで奈良クラブユースと優勝争いするまでに成長しました。
これはチーム戦術としてスタイルが構築され選手一人一人に浸透している畝傍高校の育成スタイルが成せる技だと思っています。
だから新チームになり主力メンバーが変わってもゲームで魅せるサッカーは変わらず、畝傍高校はリーグ戦を15勝2敗1分と奈良クラブユースへの2敗だけに留めて、高体連チームには無敗の15勝1分と素晴らしい成績を納めました。
そして進化した奈良育英高校に対してもリーグ戦では競り勝ち準優勝を納めて、プリンスリーグ関西2部昇格プレーオフに進出したこと自体が凄い事だと思います。
畝傍高校の強さについては下記noteでご確認ください。
下記の勝敗表からも理解できる様に奈良育英高校と畝傍高校がひと皮剥けたサッカーをして、奈良クラブユースに追従して4位以下の高校との勝敗数の差が浮き彫りになり結果は歴然だと思います。
これが今シーズン奈良クラブユースとリーグ戦を闘って受けた影響が、良い方へ進んだ強豪校とスッカリ格差を見つけられ悪い方へ流れた旧態依然な強豪校のボーダーラインになったと思います。
◼️プリンスリーグ昇格へ!
【昇格プレーオフ組合せ】
奈良県代表2チームの試合日程
1回戦:12月14日(土)
会 場:JーGREEN堺 S13フィールド①9:25開始 ②11:50開始
①奈良クラブ ー 大阪府2位
(興國2nd or 阪南大高2nd)
②畝傍 ー 兵庫県1位
(三田学園 or 関西学院)
※ファイナルへ勝ち残れば…
決定戦:12月15日(日)
会 場:JーGREEN堺 S10フィールド①9:25開始 ②11:50開始
①奈良クラブー 京都精華or和歌山北
②畝傍 ー 近大和歌山or立命館守山
【奈良県代表2チームへの期待】
プレーオフ1回戦で奈良クラブユースは大阪第2代表で畝傍高校は兵庫県第1代表という強豪府県との対戦となり、両チームとも勝つためのハードルが高いゲームになりそうですが、県1部リーグ最終節での直接対決でお互い魅せた丁寧にボール繋いでビルドアップさせるゲームプランなら、対戦相手の攻撃スピードを減速させるゲーム展開に持ち込めるので勝つチャンスは十分あると思います。
もし1回戦に勝って翌日の決定戦に持ち込めば奈良クラブユースは京都精華高校と和歌山北高校の勝者と、畝傍高校は近大和歌山高校と立命館守山高校の勝者と対戦となり、1回戦より多少ハードルが下がる対戦カードとなります。
昨年は初戦敗退となった奈良県代表2チーム(奈良育英高校/山辺高校)ですが、今年は2チームともプリンスリーグ関西2部へ昇格を果たしてくれるかも!という期待の方が高くなってきました!
せっかく掴んだ大舞台のチャンスをプレッシャーでガチガチに固くなるのではなく、伸び伸び大舞台を楽しんでほしいと思います。
◼️昨年U16ユース選手権
1年前のU16奈良県ユース選手権決勝で奈良クラブユースが奈良育英高校に対して5対0と快勝し初優勝を果たした時のnoteです!
この時に奈良県高校サッカー界に変革の扉を開けてから今回の県1部リーグ優勝に繋がったと言っても過言ではないので併せて読んで頂けると今回のnoteで言いたかった事に繋がると思います。
◼️ご参考
奈良クラブユースを筆頭に奈良育英高校や畝傍高校はスペインサッカー研究所に書いてある様なサッカーに対する原理原則の理解度が高くなってきており、旧態依然なサッカーを継続して選手一人一人がバラバラにプレーしている様な強豪校では、奈良育英高校や畝傍高校にどんどん引き離されていく可能性が高いと思います。
県内強豪校と言われるチームには来シーズン以降少しずつでも組織的なサッカーが取り入れられていく事を期待したいと思います。
今回も4,800字を超える文章になりましたが、最後まで読んで頂いてありがとうございました!
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