見出し画像

新シード制度における1~2回戦の得点差について~2024高校サッカー選手権奈良大会~

 いつからシード制度の変更が無かったのか知りませんけど私が観戦する様になってからでも15年変更されてなかったシード制度が今大会から大幅に変更されました。


◼️従来シード制度について

 直近の県大会(今大会の場合はインターハイ予選)のBest4を4シード、Best8を8シードとして各4校ずつ選定します。
 この各シード4校を4ブロック毎に分けて各ブロック毎に4シード1校と8シード1校が各ブロック毎の端々に入る様に抽選にて振り分けられます。

 その際は出場参加校によるトーナメント表によりますが基本1回戦(例えば参加校32校ならすべて1回戦)からシード8校は各ブロック毎に振り分けられます。

 残り全校はノーシードとして抽選で残り空いてる枠へ振り分けられるため1回戦十数試合で半分はミスマッチが生まれていました。

 例えば今年のインターハイのトーナメント表はこちらになり1回戦は14試合ありましたが当該14試合中ミスマッチは何試合で起こっていたと思いますか?

2024年度インターハイ奈良大会

◼️新シード制度について

 直近の県大会(今大会の場合はインターハイ予選)のBest4を4シード、Best8を8シードとここまでは従来シードと同じなんですが新たにBest16を16シードとして計16校をシード校に選定しました。

 当該16校を4ブロック毎に分けて各ブロック毎に4シード1校と8シード1校に16シード2校が各々の枠に散りばめられて入る様に抽選にて振り分けられます。

 その際トーナメント表は16シード8校は2回戦からの登場として4シード4校と8シード4校の計8校は3回戦からの登場となる様に各回戦の段差をつけられていました。

 そして残り全校(今大会は13校)はノーシードとして抽選で残り空いてる枠へ振り分けられました。

 今大会のトーナメント表はこちらになっていますが1~3回戦で段差をつけたので今回の比較対象としては1~2回戦の13試合を対象としました。
 果たして13試合中で何試合ミスマッチがあったと思いますか?

◼️ミスマッチの検証

【ミスマッチの定義】

 まずミスマッチの定義ですが本来90分ゲームなら5点差以上となる様な試合は一般的にミスマッチと定義付けられますが、インターハイは70分ゲームで選手権は80分ゲームなので、今回の検証では個人的に4点差以上をミスマッチと定義付けしました。

【過去3大会の検証】

2023年 高校サッカー選手権奈良大会

 まずは昨年の選手権ですがインターハイ決勝進出した奈良育英と五條は2回戦からの登場でしたので1回戦は14試合となりました。

①PK戦⇒0試合
②1点差⇒2試合
③2点差⇒3試合
④3点差⇒1試合
⑤4点差以上⇒8試合(57%)
(※)2桁得点⇒3試合(21%)

 この大会では過半数の57%が4点差以上の大差がついたミスマッチとなり、その内3試合(21%)は勝ったチームが2桁得点(13点、11点、10点)をあげていました。

2024年 奈良県新人大会

 次は新人大会ですが高校サッカー選手権奈良大会で県代表になった奈良育英は3回戦から準優勝の生駒と3位扱いの一条は2回戦から登場のため1回戦は12試合となりました。

①PK戦⇒3試合
②1点差⇒1試合
③2点差⇒1試合
④3点差⇒0試合
⑤4点差以上⇒7試合(58%)
(※)2桁得点⇒2試合(17%)

 こちらも過半数の58%が4点差以上の大差がつくミスマッチとなり、その内2試合(17%)は勝ったチームが2桁得点で更にその得点が18点と23点だったので、これは勝った方も負けた方も何の経験値にもならない試合となりました。

2024年 インターハイ奈良大会

 直近の県大会で今大会のシードを決めた大会となります。
 こちらは新人大会優勝の奈良育英が2回戦からの登場でその他はすべて1回戦からの登場となり15試合ありました。

①PK戦⇒1試合
②1点差⇒1試合
③2点差⇒1試合
④3点差⇒4試合
⑤4点差以上⇒8試合(53%)
(※)2桁得点は無かったですが不戦敗はリーグ戦だと4対0なので4点差以上ゲームにカウントしました。

 こちらも過半数の53%が4点差以上の大差がつくミスマッチとなりましたが当該大会での2桁得点(最多で7点)の試合はなく目に余る格差は少なかったかもしれません。

【今大会の検証】

2024年 高校サッカー選手権奈良大会

 さて今大会の検証としては1回戦5試合と2回戦8試合の13試合を対象としました。
 1回戦を勝ったノーシード5校は2回戦で16シードと対戦するという構図となり初戦ではありませんが、ノーシード校vsシード校という試合には変わりないので今回の検証対象としました。

①PK戦⇒1試合
②1点差⇒3試合
③2点差⇒2試合
④3点差⇒3試合
⑤4点差以上⇒4試合(31%)
(※)2桁得点は無かったです。

 新シード制度に変更した事で4点差以上のゲームが31%に一気に減ったのは一目瞭然だと思います。

 ただし4点差以上ゲームの4試合のうち2試合は県2部リーグ3位で来季昇格争いしている法隆寺国際のスコア(7対1と6対0)なので、これはそもそもノーシードレベルじゃない高校としてミスマッチになると思うので、次回大会以降の課題として考える必要はあります。

 あともう1試合の4対0は実際に観戦していた試合で負けた帝塚山を養護する事になりますが、2失点目がPK判定によるものと更に退場者を出したあとに3、4失点目を喫したという事で、実際には郡山と帝塚山の試合はミスマッチレベルじゃなかったと考えられます。

◼️シード制度変更のメリット

 私が観戦した1~2回戦5試合は下記の通り、すべて拮抗した展開で両校の応援に来た保護者さんや友達に先輩OBの方達も、思わず声を出してしまうぐらいの白熱するゲーム展開でした。

●1回戦
奈良高校 3 ー 0 合同①チーム
西大和学園 1 ー 0 智辯奈良カレッジ
郡山高校 2 ー 1 合同②チーム

●2回戦
郡山高校 4 ー 0 帝塚山高校
奈良大附属高校 1 (PK) 1 奈良学園

 そしてこれが1回戦の観戦終わったあとの率直なポストでした。
 そう…せっかくの大きな大会で試合する前からほぼ負け確定みたいな格差のある対戦カードは両校どちらにとっても本当に不幸ですよ…

 上記のポストにも投稿しましたがミスマッチによる悲劇をこれまで何試合も観て来ました…
 保護者さん達が子ども達の晴れ舞台を応援に来たのに『早く終わってくれ…』と思わせてしまう試合に何の意味があるのでしょうか?

 今大会の新シード制度の試みで嬉しかったのは合同①②の2チームや西大和学園に智辯学園奈良カレッジなど大会あるたびに初戦で大敗していたチームが、今大会はお互い『勝利』を目指した試合が出来た事で、今までなら正直なところ試合前から多少諦めがあったであろう…応援に来ていた方達も、最後までモチベーション高く楽しそうに応援されていました。

 今大会の新シード制度導入に踏み切るために、今まで長年に渡り慣例で動かなかった人達の重い腰を、動かせてくれたであろう大会関係者の方には本当にお礼を申し上げたいと思います。

◼️新シード制度の課題

 大会序盤に過半数(過去3大会で56%)あったミスマッチの試合数が半減(45%減)した事は大会関係者にとって大きな成果だと思います。

 但し依然ミスマッチが起こっているのは事実としてあるのでシード選定にもうひと工夫が必要かもしれません…

 そこで…例えば直近大会の戦績(Best16以上)でシード選定するのは組合せによるラッキーな面もあるかと思いますので、各リーグ戦の順位付けでシードを決めた方が確実に各校の実力値を均衡化する事ができると考えました。

 何のために1シーズンかけてリーグ戦をやっているのか?という点を考えれば当然行きつく所なんですが、奈良県は選手権大会やインターハイが重要視され過ぎて、公式戦として毎週あるリーグ戦の位置付けが、めちゃめちゃ低すぎると日頃から感じていました。

 そのためリーグ戦で好成績をあげると最も重要視している選手権大会やインターハイで上位進出(Best8以上)の近道になるという意味で各校チーム関係者(指導者や保護者)の意識も変わると考えます。

例えばこんな風に代替できます!

●代替案
Sシード⇒プリンス所属は4回戦~
4シード⇒県1部上位4校は3回戦~
8シード⇒県1部次点4校は3回戦~
16シード⇒県2部上位4校は2回戦~
  ⇒県3部各組上位2校は2回戦~

 例えば上記の選定方法で今大会のシードを選定(※)してみると下記の様になりました。
(※)組合せ抽選当時の順位に戻るのが面倒くさいので現在(10/9時点)の順位で選定しました。

Sシード⇒プリンスリーグ所属なし
4シード⇒畝傍、奈良育英、生駒、山辺
8シード⇒一条、橿原、五條、香芝
16シード⇒法隆寺国際、高田商、奈良学園、郡山
   ⇒奈良北、奈良学園登美ヶ丘
   ⇒大和広陵、高田

 こうすると今大会のシード校から入れ替わるのは東大寺学園と帝塚山の2校⇒法隆寺国際と郡山の2校に変更という事になります。

 ここをもう少し検証すると法隆寺国際と郡山は今大会ノーシードで1回戦から登場していますが、両校は見事2勝しており3回戦に進出しているためシード校でも何ら問題無かった事になりますし、この両校は更に今大会ミスマッチであげた4試合中3試合に絡んでいる事にもなり、もしこの両校をシード校に選定していればミスマッチが1試合にまで減った可能性は歴然だと思います。

 この課題については今後の大会のシード選定の際の参考にしてほしいと思います。

◼️今回言いたかったこと!

 今回のnoteは今まで無意識な内に放置されてきたシード制度のため、ノーシード校が『日の目を見ない』立場に追いやられて来た事を、この機会を通じて表面化させるために書いてみました。

 いつもBest8以上の上位常連校の関係者にとっては『何だそんな事どうでも良い脇役の話しやん…』となるかもしれませんが、確かに県代表を決める大会にとって彼等は脇役かもしれないけど、脇役にも輝ける場所を設けるためのレギュレーションって大人が作ってあげる必要があると思いました。


 今回も4,200字を超える長文になりましたが最後まで読んで頂いてありがとうございました!
 出来ればシェア等ご協力のほど何卒よろしくお願い致します!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?