2023年度インターハイサッカー奈良大会~6試合観戦しての振り返り~
インターハイサッカー奈良大会が閉幕して1ヶ月ほど経過してしまいましたが、遅まきながら試合観戦して今大会の振り返りを書き残しておきたいと思います。
…とは言いながら、動画を残してる訳でもないので、Twitterのツイートを基に記憶を掘り起こします。
■まえがき
私が今大会で観戦した試合は以下の6試合でした。
2回戦:奈良育英高校 vs 香芝高校
2回戦:郡山高校 vs 五條高校
Best8:一条高校 vs 生駒高校
Best8:山辺高校 vs 五條高校
Best8:畝傍高校 vs 橿原高校
決勝戦:奈良育英高校 vs 五條高校
この試合に登場した高校は県内では有数の強豪校で、過去に全国大会出場や県大会で上位進出の常連校でもあります。
しかしながら、群雄割拠時代に入ったと思われた奈良県内の強豪校の中でも、新しいトレンドを取り入れながら全国大会で通用するサッカースタイルに変えてゲームに臨む高校と、旧態依然のまま選手のポテンシャルに頼った選手の頑張り主体でゲームに臨む高校と、二極化を迎えていると強く感じました。
ここは高校部活の指導体制に関わってくるので、どっちが良いとか悪いとかは言い難いですが、サッカー選手のキャリアを考えた上で進路先に選ぶ際には、名声や実績だけに騙される事なく、高校の進路選択はサッカーの内容もよく加味して考えた方が良いと思います。
それで今大会の私が観た6試合では9校のチームを観戦しましたが、そのうち二極化という意味で言うと新しいスタイルを取り入れ模索していると感じたのは奈良育英/生駒/畝傍/一条/山辺の5校で、旧態依然な選手にお任せスタイルを続けているのは五條/橿原/郡山/香芝の4校だと感じました。
あれ?って思うかもしれませんが今大会ベタ褒めしていた郡山高校については、選手のポテンシャルが高いメンバーが揃った特筆すべきチームでしたが、個人的には主力メンバーのポテンシャル高かったけど、交代選手のプレーを見ていると選手層が薄く、恐らく彼らが引退するとチーム力は落ちる様に感じたので、敢えて旧態依然なスタイルのグループだと思いました。
■マッチレビュー(簡易版)
【2回戦:奈良育英 vs 香芝】
この試合で一番印象的だったのは両校とも部員数がめちゃくちゃ多くて、お互いハーフコートいっぱいの円陣を組んでいたので、この選手の中には3年間で一度も公式戦に出ることなく引退する選手もいるんだろな…と親目線で考えちゃいました。
選手が集まらず公式戦も合同チームで参加する高校もある中で、それは本当に勿体ない話だと思います。
それでは本題に戻り、両校のシステムはお互いオーソドックな1-4-4-2でしたが、奈良育英はポジショナルな配置でボール動かすスタイルで、香芝はミドルブロックを組んでロストボールを回収して、奈良育英エリアへボールを蹴り返すスタイルでゲームに入りました。
しかし、ゲームはあっという間に動きます。
キックオフ早々に奈良育英が左サイドから攻め上がり、ドリブルで深さを取った選手が香芝ゴール前に折り返して、香芝のDF陣を崩していとも簡単にゴールを奪い先制した。
これは、きっとスコアレスの時間帯を引き伸ばそうと考えていたであろう香芝の思惑を、あっさりと覆すゴールとなり奈良育英はいきなりゲームの主導権を握りました。
主導権を握った奈良育英は香芝エリア内に攻め上がり、ボールをロストしても香芝がロングボールを陣地挽回してくるだけなので、奈良育英はセカンドボールを回収しては、再び攻め上がるという攻撃のループで前半の香芝は防戦一方に陥ってました。
それでも何とか立ち上がりの失点のみで奈良育英の攻撃を凌いでいた香芝でしたが、奈良育英はハイプレスから香芝の縦パスをカットして、香芝GKのポジショニングをよく見ていた育英19番が、きれいな弧を描いたミドルシュートを決めて、待望の追加点を奪った奈良育英がこのまま一気に香芝を押し切るかと思いました。
このように苦しい状況が続いた香芝の前半戦も、奈良育英エリアに少し入った所で育英のファールによるセットプレーのチャンスを得ました。
距離的にもゴール前に放り込むと思いきや、これを香芝14番が直接ネットを揺らすスーパーゴールで1点を返して反撃開始です!
香芝にとってゲームの流れを引き戻す貴重なゴールとなりました。
ハーフタイムでの2つのツイートにもある通り、前半戦は圧倒的に奈良育英がボール支配しており、香芝の単調な攻撃では勝機は薄いと思っていたのだけど、前半終了間際の追撃の1点が香芝にとっては大きく、この勢いで後半戦は香芝の決定機が多くなり奈良育英が浮足立つことになりました。
後半になると奈良育英が追加点を奪おうと前掛かりなった事もあり、香芝のロングボールが奈良育英のハイラインの裏へ通り出すようになり、香芝が奈良育英ゴール前へ押し込むシーンが増えて、遂に香芝は同点ゴールを期待できる決定機を作り出しました!
しかし、香芝の決定機のシュートは惜しくもクロスバーに跳ね返されると、その直後に奈良育英が追加点を奪ったことで今度は奈良育英に余裕が生まれて、この試合をこのままクロージングするのに成功しました。
結局、スコアは3対1で奈良育英が準々決勝に進出しました。
もっと香芝に中盤でボールを運べる戦術があれば、このゲームの勝負もどっちに転んでもおかしくないゲームになったと思います。
【2回戦:郡山 vs 五條】
この両校もスタートは1-4-4-2のオーソドックスなシステムでゲームに入ってきました。
このゲームは県2部リーグで観た郡山が県1部リーグの五條に対して、どれぐらい押し込む事ができるのか?を楽しみにしていた一戦でした。
しかし、序盤にゆるりとゲームに入ってしまった郡山が五條の鋭い仕掛けに守備が後手を踏んでしまい、開始早々に郡山が五條に先制ゴールを許す展開となりました!
このあたりは県1部リーグの強度の中で凌ぎを削る五條が、立ち上がりの集中力に物を言わせて得点した結果、この1点がこのゲームの流れを五條に引き寄せて、郡山は最後までこの1点の重みに対して苦しむ形となりました。
失点を許してからは郡山も集中力を取り戻し、本来のボール保持力を生かせて五條のゴール前に押し込み始めるけど、選手一人一人のポテンシャルが高い五條に対して、1対1の攻防の所では郡山もボールを失い決定機を作るまでには至らない序盤戦でした。
このゲームを観ていくと郡山のキーマンは明らかに右SHの7番だとわかりました!
この選手にボールが渡れば五條の守備網を必ず打開してくれる!という期待感が溢れる選手でした!
何度もチャンスを作れど得点にはなかなか至らず、郡山にとって序盤で失った1点が、重く重くのし掛かるゲーム展開になってきました。
上記のツイートにある通り五條は守備を固め始めて、その守備ブロックを郡山が抉じ開けようとする前半戦でした。
本当にどんなに攻めようが、どんなにボールを支配しようが、先制点を許してしまうとゲームを難しくしてしまうのが、サッカーというスポーツの面白い所だと本当に思います。
後半から両校ともシステムを変更しながら、引き続き郡山の猛攻を五條が受ける形となります。
噛み合わせは上記の様になり、ハーフタイムで先に郡山が動いて8番をボランチに投入して16番をトップ下にする事で、10番のカットインするシーンが増えて、7番が右サイドでの崩しに専念するような攻勢も出始めたので、それを見て五條も早々と虎の子の1点を守り切る方向へ、完全にシフトチェンジして守備の対策を打って出ました。
こうなると後半も郡山が一方的な攻撃を転じて前掛かりになる分、五條は1トップへロングボールを当てて、あわよくばカウンターによる追加点を狙おう!というゲームの流れになってきました。
後半もずっと郡山の分厚い攻撃が続くも五條の個人技ある選手達に5-4の守備ブロックを組まれると、郡山と言えどもそう簡単にはもゴールを奪うまでには至らず、残り時間が刻々と針が刻まれていく中、ハラハラドキドキする緊張感が漂う展開に一人のサッカーファンとして痺れました。
郡山は左から右へのボール循環で五條のブロックをスライドさせながら、WBとCBの選手間にスペースが空くと五條DF裏に通すスルーパスや、ドリブルによる仕掛けで5バックを崩そうと果敢にチャレンジしていました。
これは恐らくベンチからの戦術ではなく、選手達の感性と創造性でプレーしていたのでは?と感じました。
そして、残り5分を切った時に五條ゴール前に侵入した選手のシュートが、五條のゴールネットを揺らし遂に郡山は同点ゴールを奪いました!
これは第三者の立場であるボクさえも声をあげてしまうくらいに興奮する劇的なゴールでした。
五條の急造5バックだと郡山の様にボール循環にプラスして、選手も守備ブロック内に出し入れされると、5-4のブロックでも十分崩せるというお手本のようなゴールだったと思います。
同点に追いついた郡山はあと僅かな残り時間でも勝ち越しゴールを狙い猛攻を続けましたが、何とか五條も勝ち越しゴールだけは許さずタイムアップして延長戦なしの即PK戦に移りました。
上記のツイートにある通り魅了されたゲームで、本当に70分間があっという間に終わりました!
しかし、これとPK戦は別問題で、PK戦の結果はノーシードの五條が確実に全員決めた上で、五條GKも郡山のPKを2本セーブするという神業を魅せて、終始ゲームを圧倒した郡山ではなく、これに耐え抜いた五條が準々決勝への進出を果たしました。
郡山の試合をもっと観たかったと素直に思えるぐらい惜しい高校でしたし、五條も郡山戦で使った1-5-4-1のシステムを準々決勝以降も対戦相手との対策で使い、結果的にはこの試合が五條にとってノーシードながら決勝まで勝ち上がるキッカケを作った試合になったと思います。
【準々決勝:一条 vs 生駒】
一条も生駒もバランスを取るチームなので、リーグ戦の時と同じ1-4-4-2の普段通りのサッカースタイルで、この準々決勝に臨んできました。
準々決勝が始まる前のツイートにもある通り、大会展望を書いたnoteで当初は一条高校が優勝する可能性が高い!と書こうと考えていたのですが、直前の県1部リーグの奈良育英戦の試合を観戦して、現時点それはないな…と思い止まりました。
でも最初はそれぐらい今季の一条なら覇権奪取してくれるのでは?と期待していたんですよ!
そういう思いで迎えた昨年インハイ王者の生駒との対決を、一条がどのように立て直してゲームに臨むのかある意味楽しみにして試合が始まります。
キックオフして最初に思ったのは生駒のスコアラーがスタメンじゃない事に驚きました。重要な一条戦に欠場するぐらい大事を取るのは、相当なケガをしているのだろう…と考え、逆に一条にとっては願ってもないチャンス到来だと思いました。
思った通りゲームは序盤から一条ペースとなり、奈良育英戦で見た時より中盤のポジショニングが良く、ボールの循環もできてビルドアップしているな!という印象でした。
あとはゴールを奪い先制して主導権を握るだけ…本当にそういう前半戦で一条主導のゲーム内容で展開していきました。
しかし、サッカーの神様はこういう残酷な事をするんです…
前半戦は終始押し気味だった一条がゴールを割れないまま、逆に生駒が前半アディショナルタイムで掴んだセットプレーを見事にゴールへ繋げて、ゲームの流れ的にはまさかの生駒1点リードで後半へ折り返すんですよ…
それでも、一条ならハーフタイムで後半に向けて対策を打ってくると思うので、後半の立ち上がりはどう入ってくるか?注目していました。
ボクの記憶違いでなければハイプレスで生駒のボールを奪いショートカウンターを仕掛ける流れだった様に思いますが、プレッシングがハマらず逆にひっくり返されて打たれた生駒のミドルシュートが、一条の選手に当たりリフレクションしてゴールが決まる…という生駒からするとラッキーな追加点を後半早々に奪えて、逆に一条にとっては痛い痛い2失点目でゲームの流れは完全に生駒へと移り変わりました。
生駒は2点リードしたこのタイミングで交代カードを切り、ケガで出場停止かと思っていたチームスコアラーの選手を含め2トップと交代させてくる、何とも嫌らしい采配ではないですか…さすが昨年王者の生駒です!
そして、そのあと直ぐに生駒の采配が的中して3点目を奪い、一条の選手達にもダメージが大きかったんだと思います。
このあと一条の攻撃がゴール前への単調な放り込みが一気に増えると精彩を欠き出して、生駒の堅守なDF陣相手にこの戦術だと得点の気配も全くなくなり、ほぼ勝負の行方はこの生駒の3点目のゴールで決しました。
結局ゲームはこのまま終了して、終わってみれば生駒が効率的にあげた3得点でライバル一条に対して快勝で準決勝に進出しました。
そして、一条にとっては何とも悔やみ切れない敗戦となりました。
(リーグ戦再開後に一条は生駒に雪辱して勝つあたりさすがです!)
【準々決勝:山辺 vs 五條】
五條は守備的な1-4-1-4-1でゲームに臨み、序盤で先制すると郡山戦で効果的だった1-5-4-1に直ぐさまシステム変更して、五條にとっては本当にプラン通りの展開だったと思われます。
山辺はリーグ戦と同じく1-4-4-2でしたが、右SH10番がケガでベンチ外だったためか、山辺はボール保持時の迫力感に欠けていたと思います。
ゲーム前に考えていた五條が山辺に勝つならこの展開だと思っていたけど、本当に五條は郡山戦を見ているかの様なゲーム展開に持ち込む事に成功して、リーグ戦上位の山辺に対しても勝機を見出しました。
山辺はボール保持時に左SB6番がインサイドへ絞りMF的なプレーでビルドアップに参加していた。(これを巷でいう偽SBって言うやつだよね!)
山辺は序盤から逆サイドへのロングフィードで左右に展開したり、中盤をドリブルでボール運んだりして攻勢を仕掛けていたけど、五條は遠めからのロングボールをヘディングでリフレクション気味にループシュートを決めて、五條は少ないチャンスを物にして先制ゴールを奪い、いきなり山辺戦も主導権を握りました。
先制した時点で五條は前半途中から早々と守備固めの1-5-4-1にシステム変更をしてきました。
それぐらい郡山戦で5バックに手応えを感じたのだろうと思います。
現にポテンシャルの高い選手を揃える五條の5バックは、山辺とて簡単に攻略できない程なかなか手強い守備ブロックでした。
先制されてからの山辺は、基本通りボール循環で五條の守備ブロックをスライドさせて、五條DFラインの選手間を広げ様としていたと思われます。
前半戦の山辺は先制された焦りも見せずゴールを目指せていたと思います。
しかしハーフタイム以降は徐々に山辺の焦りが見え始めます。
後半も山辺がボール支配するものの決定的なシーンを作る前に、レフリーの判定への不服が前面に出だして自滅しちゃいました。
確かにレフリーの判定には一貫性がなく、選手としてはプレーのやり辛さはあったかもしれないけど、それもサッカーの醍醐味だと受け入れて気持ちを切り替えたかったよね…
五條は早い時間帯に先制できたことで、個人技でのボール保持力を生かせたり、ロングボールを使っての陣地挽回などで時計の針を進める事に成功して、リーグ戦上位でシード校の山辺に対してもクリーンシートで勝ち切り準決勝に進出しました。
【準々決勝:畝傍 vs 橿原】
大会展望noteでは畝傍を優勝予想しており、この準々決勝は観戦を楽しみにしていた一戦でした。
畝傍は予想通りポジショナルサッカーなら標準システムの1-4-3-3できて、橿原はカウンターを見据えた1-4-2-3-1ではなくオーソドックスな1-4-4-2できました。
ゲーム前の予想では畝傍の方が優位にゲームを進めると思っていたけど、結果的にはドラマチックな劇的な熱いゲームとなりました。
お互い序盤戦は慎重な入りをしてきて、セーフティにロングボールを蹴り合う形の自陣ではボールを持たない展開のまま飲水タイムを迎えました。
飲水明けからは様子見だった畝傍が、ハイプレスを仕掛けてセカンドボールを回収するパターンで、ボール支配し始め優位にゲームを進め出しました。
しかし、この試合も押され気味だった橿原の方が先制しました。
左サイドからゴール前に上げたクロスボールが、何とそのままゴールの左上隅に吸い込まれるラッキーな形な先制ゴールを奪い主導権を握り、前半はこのまま橿原が1点リードしてハーフタイムを迎えました。
後半に入ると橿原は1点リードを死守する方向に舵を切り、畝傍からボールを奪ったら直ぐに畝傍エリアへロングボールを蹴り込んで、セーフティに陣地を挽回する戦術を取ってきました。
こうなると畝傍は攻め込んではボール失うと自陣に蹴り返されたボールを回収しては、再びリセットして底から前進する!を繰り返し橿原の守備ブロックを抉じ開けようとします。
例えば自陣左サイドから敵陣右サイドへ対角のロングフィードで右WG8番にボールを通したり、自陣左サイドから縦深くへのロングボールで左WGを裏へ走らせたりと、橿原エリアの両サイド深くに押し込んでからゴール前に仕掛ける対策で攻撃してきた様に思います。
それでも橿原の粘り強い守備対応で畝傍の攻勢を跳ね返し続け、この試合の前にあった五條の様に橿原も勝ち切る雰囲気が出始めて、逆に畝傍は時間との戦いに焦りからミスも見え始めました。
それでも諦めず攻め込み続ける畝傍は、残り5分に起死回生のミドルシュートが決まり遂にゲームを振り出しに戻しました。
同点に追いつかれた橿原は、ここまで守り切る方向での選手交代を続けていたため、畝傍の勢いに飲み込まれたままアディショナルタイム含め、残り数分間を畝傍からの猛攻にゴール前で釘付けにされました。
しかし、橿原は何とか守勢を粘り切り畝傍に勝ち越しゴールを与えず延長戦に持ち込みました。
延長戦前の小休止の間にベンチワークで気持ちをリセット出来たのか、お互い延長前半は浮足立つことなくゲームを落ち着かせ、スコア1対1のまま勝負は延長後半に持ち込まれました。
延長後半が始まって早々ここまで押し込まれていた橿原が遂に勝ち越しゴールを奪い、再び畝傍は敗色濃厚の崖っぷちな状況に追い込まれてしまいます。
畝傍はボール支配しながらもゴールを奪えず1点ビハインドのまま、延長後半もオンタイムになりアディショナルタイムは2分と表示される…
さすがに畝傍もここまでか…と正直思ったけど、最後の最後まで諦めない姿勢を貫く畝傍は橿原ゴール前を襲い掛かり、アディショナルタイム2分寸前に畝傍はこぼれ球を橿原ゴールに押し込み、再び終了間際の劇的な同点劇を魅せてくれました。
そして、ここで延長後半もタイムアップ!
ゲームは延長戦でも決着がつかず、レギュレーション通り最後はPK戦により準決勝へ進出する高校を決める事となります。
PK戦はお互いキッカー全員が成功し続ける緊張感が漂う展開となりましたが、畝傍9人目のキッカーが橿原GKにシュートをセーブされて、橿原がPK戦の末9対8で畝傍を下し準決勝進出を果たしました。
今大会は観戦する試合にて立て続けに、ゲーム内容でアクション的なサッカースタイルを取る郡山、山辺、畝傍が立て続けに敗退するのを目の当たりにした事もあり、悔しくて溜まらず呟いたのが上記2つのツイートです。
このツイートは少なからず波紋を広げてしまい、勝った側の一部チーム関係者を不愉快にさせたみたいだったので、準決勝を観戦して正直な気持ちをツイートすると更にその方達に不愉快と捉えられそうなので、準決勝の観戦は本意ではありませんが敢えて観戦を取り止めました。
【準決勝:観戦取り止めの理由】
そういう訳で準決勝はスキップして決勝戦です。
ただ準決勝を簡単に結果だけを書きますと、奈良育英は生駒に対して先制許すも、逆転して3対2で競り勝ち決勝進出を果たしました。
五條は橿原と対戦して、スコアレスのまま延長戦+PK戦の末に、今大会2度目のPK勝ちで決勝進出を果たしました。
2試合とも熱戦だった様です。
お互いアクションサッカーで勝ち上がった奈良育英vs生駒は得点を取り合い、お互いリアクションサッカーで勝ち上がった五條vs橿原はスコアレスでPK戦でした。
やっぱり、お互いリアクションサッカーすると得点がなかなか入らないですよね…だって相手が攻めてくれないとカウンターできなくなるので、攻撃の形ができず得点のチャンスは激減です。
『勝った方が強い!』とよく耳にしますが『相手の方が強かった!』からこそ、逆に勝てた試合もあると個人的には思います。
あんなに圧倒されたゲーム内容だったのに恥ずかしげもなく『勝った方が強い!』と豪語できるところが凄いな…と思いました。
そんなやり取りからのモヤモヤで得意の意固地となり、せっかくの準決勝の観戦チャンスを不意にしました。
それでは決勝戦のスタートフォーメーションです!
【決勝戦:奈良育英 vs 五條】
両校とも予想通り、奈良育英は1-4-4-2で、五條は1-5-4-1のシステムで決勝戦はキックオフしました。
ただ奈良育英はボール非保持の際に左SH6番を最終ラインに落ちて5バックを組む慎重さも持ち合わせていました。
今大会の両校の勝ち上がりは上記のツイート通りです。
今季の対戦成績では奈良育英が五條にリーグ戦で快勝していました。
五條は現在のチームの立ち位置を理解した上で守備的に1-5-4-1のシステムを採用して、ノーシードでありながら現実的なサッカーで決勝まで勝ち上がって来ましたが、奈良育英は恐らくスカウティングで五條戦の対策を練ってきた様に見えたので、結果論ですが五條は裏をかいて決勝戦を1-4-4-2で臨みミラーゲームに持ち込んだ方が、マンツーマンの守備対応が出来て良かったかもしれないと思いました。
決勝戦当日は昨夜からの大雨でピッチコンディションも心配されましたが、朝から雨は降り止みピッチコンディションもゲームに問題なさそうな感じでした。
前半飲水タイムまでは奈良育英のペースで試合が進むも、何とか五條もスコアレスで踏ん張りを見せていました。
しかし前半飲水タイム明けに奈良育英は満を持したかの様に、五條ゴール前での仕掛けで加速してペナルティエリア内に侵入する様になり、慌てた守備対応に後手を踏んだ五條の守備ブロックを崩して連続ゴールを奪い、奈良育英は前半途中で一気に勝利の手綱をグッと引き寄せました。
上記のツイートにも触れましたが奈良育英の10番は、中盤のポジションを取ることでチームを牽引して勝利に導ける選手だと思いました。
前半戦の五條は自分たちの時間帯を作れず、防戦一方のまま2点ビハインドでハーフタイムを迎えました。
前半戦を終えての感想は上記のツイートそのものでした!
五條は左WG14番が前線に出て2トップに変更して反撃を試みます。
奈良育英は五條の中盤が3枚になった事による中盤両サイドの空きスペースを使わず、意外にも縦へ縦へと急ぐシーンが見られる様になり、五條も育英のロストボールを回収しては反撃のチャンスを伺える様になりました。
時間の経過とともに五條も反撃のため、前線を4枚にする荒治療で攻撃的にシフトするも、如何せん組織的になっていないチームなのでライン間が間延びしてしまい、逆に奈良育英に付け入る隙を与えたかもしれなかったです。
そして、奈良育英はダメ押しゴールを奪いクロージングに入ります。
結果的には、奈良育英の貫禄勝ち!といった決勝戦となりました。
上記のツイートは、個人技に走ってしまい組織的なプレーができない奈良県高校サッカー界はの課題を、そのまま浮き彫りにした形とも言えます。
奈良育英も何かといろいろ課題が残った決勝戦でしたが、何はともあれ久しぶりにインハイ県予選で県代表を勝ち取った奈良育英高校の皆さん、本当に優勝おめでとうございました!
■あとがき
今シーズンの奈良県高校サッカー界は上記のツイートにある通り 、高体連では奈良育英だけが徐々に抜きん出た状態になりつつあるなと思いました。
ただ個人技&組織力を考慮するとJクラブの奈良クラブユースの方が、高体連の奈良育英より一枚上手だな…て感じています。
だから県内の高校サッカーを盛り上げるためにもJ3リーグの試合前に、ロートフィールド会場を使ったエキシビションマッチとして、奈良クラブユースvs奈良育英高校の試合が実現すると良いなぁ…て思っています。
最後まで読んでいただいた皆さん、本当にありがとうございます!
またどこかの会場でお会い出来ましたら、皆様よろしくお願いいたします。
~おわり~