2022年全国高校サッカー選手権奈良大会~準々決勝フットボールセンター会場観戦雑感~
全国高校サッカー選手権奈良大会で一般観戦が可能になったのは2019年以来だと思います。
準々決勝はフットボールセンター会場の2試合が一般観戦可能だったので現地観戦に行ってきました。
それでも観戦場所の位置がピッチから遠かったので簡単なメモ程度しか取れず雑感にしておきます。
第1試合:奈良育英 vs 奈良
奈良育英は今大会1、2回戦の2試合を共に前半無得点の後半に何とか1点をもぎ取るウノゼロで辛くも勝ち上がってきていたので、まだ本調子じゃないのかな?と試合前は思っていました。
奈良高校は今大会1、2回戦の2試合を共に2対0と連続クリーンシートの快勝で勝ち上がってきたので、この試合も奈良育英を前半無得点に抑える事が出来るのであれば、後半面白い展開が待ってるかも?と思っていました。
しかし、試合が始まってしまえば…
奈良育英が序盤から奈良を圧倒して結局9得点の大勝でした!
逆に1、2回戦はいったい何があったんだ?と…大和広陵と女子大附属はどうやって、この奈良育英を1失点に抑えたんだろうか…またご存知の方いらっしゃったらゲーム内容を教えてほしいぐらいです。
奈良育英1-4-3-3、奈良1-4-1-4-1の様にシステムは見えました。
そのため奈良はアンカーがDFラインとMFライン間のスペースで、奈良育英のトップ下を自由にさせない狙いがあったのかな?と想像していました。
でもこの日の奈良育英は奈良のDFーMFライン間を30番が自由にボールを受けチャンスを構築し、前半の3得点に貢献して早々に勝負の行方を決定づけました。
後半もその勢いが留まらず立ち上がり直ぐに育英が追加点を奪った事で大荒れな展開となり、その後は次々とゴールが決まり終わって見れば9得点と1、2回戦の鬱憤を晴らした形となりました。
30番が下がった後は10番が奈良DFーMFライン間を自由にプレーして得点に絡んでました。
奈良も後半入って6番の前プレを起点に2得点する意地を見せましたが、奈良育英に1試合を通じて地力の差をまざまざと見せつけられ完敗を喫しました。
結果論になりますが奈良はアンカーポジションを作った事で、逆にライン間のアンカー両脇にスペースを作ってしまい、奈良育英の両トップ下に付け入る隙を与えてしまったかな…と思います。
奈良は5バックでライン間をコンパクトに5ー4のブロックを組んだ方が勝機あったかもしれませんね!
実際に大和広陵や女子大附属もそうしていたのかもしれませんし…
準決勝で対戦する五條高校はどんな対策をして奈良育英に挑むか楽しみにしておきます。
第2試合:生駒 vs 山辺
今季県内3冠を狙える位置にいるインハイ王者の生駒高校に注目が集まる中で、前々回王者の山辺高校ががっぷり四つの試合に持ち込めるのか楽しみな一戦でした。
これは余談なのですが山辺のウォーミングアップが異質で、モチベーションアップの意味合いがあるのか、テンション高めの声を出しながらアップをしてました。
ピッチ練習に入ってからのロンドも実戦的に4つの小ゴールを使いながら、タッチ&リリースでパス交換を繰り返していてアカデミーの片鱗を見せていましたね!
試合の方は序盤のシステムが生駒は1-4-4-2、山辺が1-5-4-1で入って来たので山辺の方が堅く守備的に来たのかな…という印象でした。
前半戦はお互い様子見で手探り状態の中、リスクを冒さず相手DFラインの裏を狙う攻撃が中心でしたが、やっぱり共に守備は堅固なので簡単には抉じ開けられませんでした!
生駒はロングボールからのセカンドボールを中盤で拾う形を作って山辺ゴール前に攻め上がり、山辺は真ん中をあまり使わず両サイドからワンツーなどで縦に生駒DF裏を狙う形を作っていました。
そのため前半は中盤での攻防は比較的少なく感じて、お互い自陣ゴール前で相手にシュートを打たせない守備が、目立っていた感じがします。
当然お互い後半に勝負をかけてくると思っていた後半の立ち上がりに、生駒が右サイドハーフウェイを少し越えた位置でファールを貰い、このセットプレーから山辺ゴール前に上げたロングボールを競り合いながらも、ヘディングシュートを決めて貴重な先制点は生駒が奪いました!
こういう均衡したゲーム展開はセットプレーが重要で、往々にして先制点を守りきる!というゲーム展開が、この試合でも堅守生駒のスタイルからして容易に想像できました。
そして失点したことで山辺も恐らく5バックから4バックに変更してきたと思われます。
暫く馴れるまではバランスを崩したのか生駒に猛攻を受けるシーンが続きましたが、粘り強く守り生駒に追加点を与えず後半飲水タイムまで持ち込みました。
後半飲水タイム前後から山辺は中盤の枚数を増やした事もあり、ボール保持する時間帯が少しずつ増えて来ました。
こうなるとロングフィードでサイドからサイドへの大きなサイドチェンジや、中盤を経由しての中央からサイドへの展開を仕掛けて、生駒の守備ブロックを左右スライドさせる事で、選手間を広げてスルーパスも通りだしました。
上記の展開から山辺の猛攻が続く様になり、後半30分以降の生駒は自陣に押し込められたため、恐らく生駒は虎の子の1点を守りきる方向に舵を切ったと思われます。
こういう追い込まれた時のセットプレーというのは怖いものです。
試合終了間際に山辺に自陣右サイドを攻め込まれた末、大きくクリア出来ないままCKに逃げる事になってしまいました。
試合終了オンタイム(後半40分)に蹴られたCKは、直接ゴールを狙った様な軌道でボールは生駒GK頭上を襲い、生駒DF陣がジャンプを躊躇した瞬間を山辺が見逃さず、ノーマークでドンピシャヘッドでゴールネットを突き刺しました!
これで同点とばかりテンション爆発の山辺の選手達と応援団は勢いに乗り、逆に生駒はガックリした気持ちを引きずってしまった感じが見えました。
準々決勝からは延長戦もあるのでここは気持ちを一旦リセットしてほしかったな…と思いました。
そのため一気に決めようとする山辺に対して生駒は押し込まれ続けて、アディショナルタイムに再び山辺にCKを与えてしまいました。
たった数分前の同点ゴールと同じ様なボール軌道をイメージしていたとこへ、今度CKはペナルティアーク付近へゴールから離したボールを蹴り、慌てた生駒DF陣がボール方向へ釣りだされとこを、山辺がヘディングでライン上げたDF裏へ落としてチャンスを広げて、裏抜け走り込んだ選手がゴール前へグランダーのクロスを折り返し、混戦の中からこぼれ球が非情にもコロコロと生駒ゴールラインを転げ越えて決勝点となりました!
勝利の女神とは時としてこういう強い気持ちの方へ微笑むんですよね…
生駒を応援していましたが終盤の山辺の攻撃に対する狡猾さにコイツらすげぇ!と正直なりました。
この通り山辺高校の大逆転勝ちで幕を閉じた準々決勝でした。
逆に生駒高校は今季県内では無双の強さを見せていて、インハイ本大会で強豪昌平高校との一戦も経験し、選手権本大会での躍進も期待されていましたが、志半ば準々決勝で早々と敗退という結果に終わってしまいました。
生駒高校には県1部リーグで優勝してプリンスリーグ昇格という目標に切り替えて残り公式戦を頑張ってほしいと思います。
あとがき
久しぶりの高校サッカー選手権を現地で観て思いましたが、やっぱり第三者となる私でも気持ちの盛り上がりを感じますよね!
本当なら畝傍高校vs一条高校を観戦したかったのですが、こんな生駒と山辺の熱戦も観れて良かったなと思います。
そして一条に競り勝ってくれたおかげで畝傍の試合は準決勝の楽しみに置いておきます。
果たして山辺に勝って決勝進出という夢が見れるのか楽しみです!