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2022年全国高校サッカー選手権奈良大会 決勝~テレビ中継観戦~

10月16日(日)に開幕した奈良大会も11月13日(日)の決勝戦を持って無事に閉幕しました。

結果は大会前の下馬評から過半数で優勝が予想されていた奈良育英高校の2年連続15回目の優勝で幕を閉じました。

全国高校サッカー選手権奈良大会

決勝戦は天気予報から雨天決戦が予想されていたため現地観戦を断念して奈良テレビの生中継を頼ってnoteに観戦記残しておきます。

決戦戦:山辺vs奈良育英

今季の新人大会決勝以来の対戦となった当該カードですが、その時と同じようにロースコアのゲームになると予想されていました。

あと試合後にロングボールの応酬となるゲーム内容だったという見解もあり、このあたりについては最後に個人的な雑感として残しておきますので、最後まで読んで頂けると嬉しいです。


奈良育英高校:青/山辺高校:白


さて決勝戦の話しに戻り、早速ですが前半KICK OFF時のスタート布陣を見る限り、奈良育英は準々決勝、準決勝と同じく1-4-1-4-1で、山辺がボール保持時は1-3-4-3で非保持は5バックの1-5-4-1にしていた様に感じました。

【前半戦】

序盤戦は特にロングボールの応酬となりました。
これは立ち上がり15分ぐらいまでは緊張からミスしての失点を防ぎたいので、両校とも徹底的に相手陣内にボールを蹴り飛ばす事で、失点をしにくい状況を作るという意思表示を感じます。

ただ先に動きを変えてきたのは山辺の方で、徐々にロングボールを縦にボールサイドの育英DF裏ではなく、意識して対角の育英SB裏にロングフィードする様になり、WBの6番、8番を走らせて両サイド奥深くに起点を作ってゴール前に仕掛ける様になりました。

その反面、奈良育英は引き続き徹底的に山辺DF裏を目掛けて縦にロングボールを蹴って、跳ね返されたセカンドボールを中盤で拾えれば、そこを起点にゴール前に仕掛けると言ったパターンでした。
山辺のCBが3枚ともボールに食い付く事が多かったので、その釣り出したスペースを奈良育英が上手く使えた時にチャンスを作れてました!

両校の前半戦を見る限り、デザインされた攻撃としてゲームに落とし込めているのは山辺で、奈良育英はどちらかと言えば山辺の守備対応次第の成り行きに任せた印象を持ちました。

そして前半終了間際の39分に決定的なシーンが生まれました。
山辺のカウンターアタックから11番が育英CB裏にスルーパスを通し、走り抜けて来てパスを受けた9番が、育英GKとの1対1を交わしてシュートを放つも、これは無情にもポスト直撃で先制点とはなりませんでした。

そして両校ともスコアレスでハーフタイムを迎える事になります。

【後半戦】

ハーフタイムで両校1枚ずつ選手交代をしてきます。
山辺は6番⇒2番、育英は29番⇒22番に選手交代ありました。

後半立ち上がり、山辺は育英陣を深く押し込みゴール前へ侵入するプレーを継続しますが、奈良育英は狭く密集したボールサイドでの縦パスに前半同様に固執するためパスを引っ掛けてしまいます。

そのため山辺の時間帯が続き、山辺の先制ゴールは近いのでは?と思っていたところへ、45分に育英DF裏を抜け出した山辺20番が決定機を迎えます!
これを飛び出した育英GKが倒して止めてしまいイエローカードを出されました。
一瞬レッドカードかと思いヒヤッとしましたが、山辺20番は少しトラップしようと外側に流れてボールコントロール出来なかったので、イエローが妥当でしたね!
このFKは山辺9番が蹴り良い軌道で飛びましたが惜しくも枠外となりゴールには至りません。

ここまで良いところが無かった奈良育英ですが、ようやく50分過ぎから左右にサイドチェンジしたり、対角へのロングフィードで幅を使える様になり、まず51分に右サイドへボール叩いてから中央で10番が受けて、左サイドへのラストパスを走り込んだ2番のシュートを山辺GKがセーブして弾く、そのこぼれ球を拾って今度は2番がゴール前に出したラストパスを、22番がシュート放つも再び山辺GKがセーブするという決定機が生まれました。
このあともサイドチェンジから育英も少しずつ山辺WB裏を取りチャンスを作れる様になりました。

54分:山辺10番⇒13番へ交代

山辺WBの8番が再三オーバーラップするなど、積極的に右サイドを仕掛けて攻撃の起点を作っていました。その反面カウンターで奈良育英にひっくり返されると、プレスバックが遅れてピンチを招いていたので、山辺がリスクを省みず後半勝負で仕掛けてきたのは歴然でした。

67分に山辺はCKから育英GKと競り合った3番の放ったヘディングシュートを、GK不在のゴールへ枠内に飛ばしたものの、これは育英DF陣の壁ががっちりシュートブロックしてゴールを守りました!

71分:山辺20番⇒16番へ交代

残り10分を切り山辺は攻撃陣を代えて一気に勝負をかけてきます。

これに対して奈良育英は…
75分:育英3番⇒21番へ交代
76分:育英2番⇒24番へ交代
79分:育英18番⇒26番へ交代
中盤の選手をフレッシュに代えて、失点のリスクを回避しつつオープンに山辺DF裏へ蹴って走り、延長戦への突入も視野に入れながら守備的に応戦してきました。

結局80分間では決着つかずスコアレスのまま延長戦に入りました。

【延長戦】

80分間で勝負を決めたかった山辺に対して延長戦を見据えて準備しながらゲームを運んだ奈良育英…

延長戦に持ち込んだ時点でゲームの流れは奈良育英に傾いていたのかもしれません。

疲労が見え始めたのか、奈良育英のロングボール処理を山辺CB4番の対応が遅れたため、山辺GKの飛び出しも間に合わず、プレッシングを仕掛けた育英18番が先にボールに触ったシュートは無人の山辺ゴールを割り、遂に先制点はここまで防戦一方だった奈良育英が奪い主導権を握りました!

こうなると山辺は前掛かりにゴールを奪いに出るしかありません!

しかし元々この試合DFラインが不安定だった上に、プレスバックが遅れ出した山辺から奈良育英が追加点を奪うのは、そんな難しい事では無かった様です。
85分に育英21番、95分に育英8番のスーパーなミドルシュートが決まり試合の勝負は決しました。

96分:育英24番⇒9番へ交代

それでも敗色濃厚の中、山辺は最後まで試合を諦めず構造化されたビルドアップから、何度もチャンス作っていたのはさすがでした。
しかし最後までゴールを割る事ができず無得点のまま試合終了のホイッスルが無情にも鳴りました。

奈良育英高校の2連覇達成です!

【試合結果】

(スコア)
山辺高校 0 (延長) 3 奈良育英高校

(得点経過)
81分:育英18番
85分:育英21番
95分:育英8番

あとがき

山辺高校は1回戦から県1部の郡山、法隆寺国際、生駒、畝傍を撃破して勝ち上がって来ましたが、残念ながら奈良育英の前に延長戦で力尽き惜しくも屈しました。

奈良育英と山辺の試合は準々決勝から各3試合を観戦しましたので両校の雑感を書きます。

プリンスリーグで凌ぎを削っているはずの奈良育英のサッカーが、意外にロングボールを多用するサッカーなんだと思いました。
プリンスリーグでの試合は見たこと無いので完全に臆測になりますが、対戦チームの強度が高くリスクを回避するため、この守備的なスタイルを貫いて勝点を積み上げているのかもしれませんね…
まずは来季もプリンスリーグに残留する事が最優先だとボクも思いますので、この戦い方が間違いだとは思いません。
ただ来季は格上若しくは同等クラスのチームとの対戦でも、今大会の準々決勝の様なライン間でボール受けて前進のルートを確立し、ハーフスペースを狙った攻撃スタイルの試合が見れたら良いな…と思います。

対する山辺は全国から集まったエリート集団をプロ選手に育てるアカデミークラブとして、ゲーム中の時間帯/流れ/スコア/コンディション等で様変わりする状況の中で、システム/戦術/構造等を変えれる変形自在ぶりを今大会で垣間見せてくれたと思います。
ただ少々MF的な器用な選手ばかりなのか、パワープレーのできる強度の高い選手がいれば、もう少し結果は変わったかもしれません。何はともあれ山辺には奈良県内の高校サッカー界を震撼させるサッカーで、今後も県内強豪校の勢力図を脅かす存在になってほしいと思います。

最後に今大会の締め括りとしての雑感なんですが、現地観戦した6校の試合を見ているとボール奪ったら急ぎ過ぎてる様に感じていて、何の準備もできずポジショニングの悪いまま縦に速く攻め上がろうとするプレーに疑問があります。

大阪大会決勝の録画も観ましたが、縦に速いサッカーはしていますが準備できていない状況だと一旦キャンセルして、ボール循環しながら時間を作り立て直して再びビルドアップしていきます。

元々奈良県はJr.及びJr.ユースの街クラブにて技術の高い選手を育成しているので、高校サッカーでもその技術を生かせた精度の高いプレーができる様に育成してほしいな…と常々思っています。

今後の奈良県内の高校サッカーが良い方向に変わっていくことを期待して今大会の締め括りの言葉にしたいと思います。
最後まで読んで頂きましてありがとうございました!


PS.決勝の実況で奈良育英に対しては『全員攻撃!全員守備』と、山辺に対しては『ポゼッションサッカー』と何度も連呼していたけど、そんな上っ面な軽々しい言葉で両校のサッカースタイルを表現してほしくないかな…てサッカーファンとして違和感を感じました。

~おわり~

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