見出し画像

4季連続の県大会決勝同カードは阻止できるのか?~2024高校サッカー選手権奈良大会準決勝見どころ~

 準々決勝が終わり11月3日(日)に橿原公苑陸上競技場で開催は準決勝の対戦カードが決まりました!

 今大会の4強は4季連続の決勝対決を目指す4シード(インターハイ4強)の奈良育英と生駒に続いて、4シードの五條に勝った法隆寺国際と、4シードの大和広陵に勝った一条の4校が準決勝に進出しました!

 過去3季連続で県大会は奈良育英vs生駒の決勝カードが続いており、今大会もBest4が出揃ってから『最初から決勝はこのカードと思っていた!』と断言する人が現れるほど決勝進出を期待される2校に対して、法隆寺国際と一条の2校が4季連続となる県大会決勝同カードを阻止するためには、両校どういうゲームプランで生駒と奈良育英それぞれの試合に臨めば良いのか?という目線で準決勝の見どころを書いてみました。

全国高校サッカー選手権 奈良大会

◼️準決勝の見どころ

①生駒高校 vs 法隆寺国際高校

 まず第1試合は4シードの生駒とノーシードで1回戦から4試合を大量得点で勝ち上がってきた法隆寺国際で準決勝までの両校戦績は下記の通りです。

【生駒高校】
3回戦○2ー1山辺高校
4回戦○5ー1高田商業高校

【法隆寺国際高校】
1回戦○7ー1高取国際高校
2回戦○6ー0高田高校
3回戦○4ー1五條高校
4回戦○9ー1奈良学園登美ヶ丘高校

 見ての通り法隆寺国際の破壊力ある攻撃により4試合で26得点とリーグ戦から公式戦9連勝の勢いそのままにインターハイ県代表の生駒に挑戦するところまで勝ち上がって来ました。

 観戦した県2部リーグの高田商業戦でポストした衝撃が選手権での『法国旋風』を予感させていたのは間違いなく、リーグ戦の高田商業戦を7対1で勝っている事を考えれば準々決勝で高田商業に勝った生駒との実力値も同等レベルと考えても良いと思っています。

 対する生駒は初戦で相性の悪い山辺を撃破して準々決勝の高田商業戦は余裕のあるゲーム運びで準決勝に進出しましたが、県1部リーグで奈良クラブと奈良育英に大量失点している生駒にとっては、同じ様なサッカースタイルの法隆寺国際は苦手なタイプの対戦相手だと考えた方が良いと思います。

 なぜなら法隆寺国際も生駒が苦手なピッチ全体を使って縦横にボールと人を動かしてくるサッカースタイルで、自陣ゴール前で連動した攻撃をされると守備対応でボールウォッチャーになりファーサイドにフリースペースを作る可能性が高いからです。

 まず生駒は準々決勝の戦術プランもそうだったけど基本的にインサイドはあまり使わず外回りの攻撃中心で、得点を重ねて余裕が出始めてから中盤を使ってビルドアップも試みるという印象なので、準決勝も法隆寺国際から2点リードするまではインサイドを使って前進して来ないと想定できます。

底からのサイドアタック
~スペインサッカー研究所より引用~
コーナーサイドDF裏へのロングボール
~スペインサッカー研究所より引用~
ゴールキックからのロングボール
~スペインサッカー研究所より引用~

 そのため法隆寺国際はインサイドを締めてアウトサイドへ生駒のボールホルダーを誘導すれば、生駒の攻撃をサイドへのロングボールに制限できると思います。

 だから法隆寺国際はボールサイドで奪ったボールを同サイドで生駒DF裏へひっくり返しに掛かったり、生駒の間延びしたライン間でシャドーに縦パスを通したり、思いきって生駒の守備が手薄な逆サイドへロングフィードというのも面白いかな…と思います。

同サイドのDF裏へひっくり返す!
~スペインサッカー研究所より引用~
シャドーがライン間で縦パス受ける
~スペインサッカー研究所より引用~
逆サイドへロングフィード展開
~スペインサッカー研究所より引用~

 あと法隆寺国際のポテンシャルなら生駒に対してもハイプレスでボール奪えると思うので、プレッシングを仕掛けてボールホルダーにプレッシャーをかけて、ロングボールを蹴らせてセカンドボール回収により主導権を握るのも面白いな…と思います。

サイドへ誘導してSBにハイプレス!
~スペインサッカー研究所より引用~

 法隆寺国際のサッカースタイル的に失点リスクを考えて守備を固めるより、失点しても直ぐ取り返せるというメンタルで主導権を握って攻め上がる方が、普段の攻撃リズムでゲームを進められると思うので攻撃プランもそれで考えていきます。

法国のボール保持時は1-3-2-3-2
~スペインサッカー研究所より引用~

 今大会の法隆寺国際の試合は3回戦を観戦する予定だったのですが個人的なアクシデントで観戦できず観戦したのはリーグ戦の高田商業戦だけとなり、その時の印象とメモで攻撃を考えていくとボール保持時は1-3-2-3-2のシステムで、非保持になるとWBが落ちて5バックではなく、ボランチが1枚落ちての変則4バックというシステムこれがめちゃめちゃハマってました。

インサイドで数的優位にボール動かす
~スペインサッカー研究所より引用~
インサイド⇒アウトサイドへ展開
~スペインサッカー研究所より引用~

 法隆寺国際はWBが絞ったりFWが落ちて中盤を分厚くして中盤でリズムを作ってから、サイド展開してDF裏への飛び出しが上手かったので、生駒戦でもボールと人を動かしてガンガン攻めて行けば生駒の守備も決壊する可能性が高いと考えます。

底から両サイドへの展開から裏抜け
~スペインサッカー研究所より引用~
アウトサイド&インサイドから裏抜け
~スペインサッカー研究所より引用~

 あと生駒の守備はボールサイドには粘り強くニアサイドを締めて身体を張ってブロックしてくるので、ニアサイドを仕掛け続けるのではなくファーサイドへのクロスボールも織り交ぜフリースペースでシュートを打てるシーンも作れば更に面白いと思います。

ニアサイドに仕掛けてクロスボール
~スペインサッカー研究所より引用~
サイド崩してDFーGK間へクロスボール
~スペインサッカー研究所より引用~

 近年の大会ではことごとく県1部の高校との対戦で敗退していた法隆寺国際が、今大会では県1部の五條を撃破して準決勝まで勝ち上がって来たのなら、この勢いでインターハイ県代表を倒して左ブロックの決勝進出は最初から生駒と思っていた!という世間の予想を覆してほしいと思います。

 ただ法隆寺国際にとって気になるポイントは準決勝前日までの雨で橿原公苑陸上競技場の天然芝に水がどれぐらい残っているのか?というピッチコンディションもサッカースタイル的に勝負のカギとなりそうです。

②一条高校 vs 奈良育英高校

 第2試合は厳しい組合せながら堅守で接戦を制して勝ち上がってきた一条と、事実上の決勝と言われた畝傍戦に快勝して選手権奈良大会4連覇の視界が広がった奈良育英との対戦カードで、両校の今大会の戦績は下記の通りです。

【一条高校】
2回戦○2ー0天理
3回戦△0(⑦PK❻)0香芝高校
4回戦○3ー0大和広陵高校

【奈良育英高校】
3回戦○12ー0東大寺学園高校
4回戦○5ー0畝傍高校

 準々決勝の畝傍戦では選手層の厚さと個人能力の強みを生かして『個vs個』の勝負に持ち込むプランが功を奏した奈良育英が準決勝の一条戦でも『個vs個』では圧倒的優位に立つと思われます。

 しかし一条が奈良育英の用意する『個vs個』の土俵に上らず、畝傍が奈良育英に対して冷静さを失い本来の実力を出せず持ち込めなかった『個vs組織』の土俵を用意出来れば、一条も公式戦5試合連続クリーンシートの実績を引っ提げた組織的な堅守で奈良育英を撃破するプランを考えてみました。

1-4-4-2ミドルブロックでスライド対応
~スペインサッカー研究所より引用~

 一条はオーソドックスに1-4-4-2でミドルブロックを組んでスライド対応する事で奈良育英の前進をしっかり受け止めたいです。

間延びしたライン間の空きスペース
~スペインサッカー研究所より引用~

 そして間延びしやすい奈良育英のブロックに対して空いたライン間スペースを狙っていきたいです。

ライン間で受けてDF裏を狙う
~スペインサッカー研究所より引用~

 ただ奈良育英に先制されると畝傍の様に失点に対するネガティブなメンタルに引きずられ、その隙を奈良育英は見逃さず付け込んでくるので、その勢いを受け止めれず失点を重ねる可能性が高くなるため、奈良育英に先制点を許す事だけは絶対避けたいです。

サイド攻撃に対するSBの守備対応
~スペインサッカー研究所より引用~
クロスとカウンターでのCB守備対応
~スペインサッカー研究所より引用~

 そのため一条のCBはカウンターに対するプレスバックとクロスボールに対する跳ね返し、SBはパスコース切って攻撃を遅らせるかパスカット更にはクロスボールを上げさせない守備対応が必要です。

 あと一条は全選手にも言える事ですが自陣で奈良育英のボールホルダーに対して、ボールを奪いに行き過ぎて背中を取られるプレスミスだけは絶対したくないので、基本的にはボールを奪い行くプレッシングではなく、パスコースを切る事とプレスバックによる攻撃を遅らせる事のプレッシングを選択した方がベターだと考えます。

ゴール前スペース⇒ミドルシュート注意
~スペインサッカー研究所より引用~

 更に奈良育英のセットプレー(CK・FK)はニアサイドを攻撃すると見せかけに使って実はファーサイド狙いなのが要注意なのと、ゴール前に下がり過ぎるとミドルシュートを積極的に撃って来るのも要注意なので、シュートコースを消すプレッシングも重要となるなど守備対応には今まで以上に細心の注意が必要となります。

ポストプレーからのデスマルケ
~スペインサッカー研究所より引用~

 そういう事で一条は奈良育英に攻め込まれるのは必至なので自陣に押し込まれた際は、奈良育英の前線とDFラインを分断させて出来たライン間スペースを使って、FWのポストプレーから落としてデスマルケでシンプルにカウンターを狙いたいです。

クリアボールをポストプレーで繋ぐ
~スペインサッカー研究所より引用~
縦パス落として繋いでカウンター準備
~スペインサッカー研究所より引用~
底からボールを運んでデスマルケ
~スペインサッカー研究所より引用~

 奈良育英を分断が出来ない場合はライン間でパスを繋いでハーフスペースへのスルーパスで裏抜けるカウンターを狙いたいです。

ライン間をパスを繋いでカウンター
~スペインサッカー研究所より引用~

 一条としては本来理想のサッカースタイルとは違うかもしれないけど、奈良育英との格差を埋めるため組織的にシンプルな攻撃で先制できれば奈良育英とて高校生…インターハイ決勝の生駒戦や県1部リーグの畝傍戦の様に、奈良育英に普段のプレーをさせず慌てさせ冷静さも失わせて勝ち切るゲームプランで選手権奈良県大会4連覇を阻みたいところです!

◼️あとがき

 個人的に『あまのじゃく』な性格な私は多くの方が決勝カードを4季連続となる『奈良育英vs生駒』を予想するのなら対戦相手の可能性を探して逆張りできるか検討してしまうのが私です。

 これはどのチームに言える事ですが対戦相手をスカウティングして対策プランを立てて試合に臨んで、それがハマれば相手の強みを封じ込めたり弱みに付け込んだり出来るのが、基本的に足でボールを扱うスポーツの『サッカー』という醍醐味でもあります。

 例えば奈良育英はチームの強みを生かしたゲームプランで畝傍の弱みに付け込んで快勝しましたが、逆に畝傍のゲームプランが上手くハマっていれば準決勝に進出していたのは畝傍だったかもしれません。

 今回準決勝の見どころに書いているプランはほんの一部に過ぎず本来は対戦相手の試合動画やメンバー表も見て検討するため、各チームとも更に詳細なスカウティングで対策プランを準備しているはずなので、法隆寺国際や一条のチーム力ならゲームプランが上手くハマれば決勝進出の可能性が十分あるチームだと思います。

 それぐらいサッカーにおける試合前の分析力は重要となり、今後はアナリストの存在も必要になってくる時代がもうそこまで来ているので、チームを強くするためには練習だけではなくチームスタッフの拡充も必要かと思います。

◼️ご参考

 奈良県の高校サッカーに一番不足しているサッカー理解度を上げるためにも『スペインサッカー研究所』はお勧めいたします。

今回も5,000字を超える長文になりましたが最後まで読んで頂いてありがとうございました!
 出来ればシェア等ご協力のほど何卒よろしくお願い致します!

いいなと思ったら応援しよう!