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借金・多重債務からの生還 その5

約束手形

手形

手形について簡単に

通常、私達が言う手形は「約束手形」のことである。
いわゆる商業手形で有価証券の仲間である。

受け取った手形は、期日が来るまで支払いはされない。

振出日から支払日までの期間を手形サイト、あるいは単にサイトと呼んでいる。 手形を扱ったことがある人は、説明するまでもなく十分承知のことだろう。

つまり、 「支払いはもう少し待ってくれ」 ということだ。 会社によるが、請求書を出して支払日まで1~2ヶ月待ったと思ったら さらに、数ヶ月入金は後になる。

経験のある方は、毎月決った日に給料が貰えるサラリーマンが 心底羨ましくなる瞬間ではないだろうか。

請求書を出してからの日数でいうと、半年以上待たなければならないことはザラである。
切羽詰っている人は、当然そこまで待っていられない…


真っ黒けですが、現物の約束手形


手形割引と貸付

手形を現金化

そこで、なんとか現金化するために通常よく行うのが、 手形の割引をしてもらうことである。

手形割引とは、第三者へ裏書譲渡し、割引料等の手数料を払って 売却することである。

まずは、堅実に?銀行に相談に行くわけであるが

「メーンバンクのほうで御相談されてはどうですか」

と言ってくる、ふざけた銀行もある。 御察しの通り、そう言ってきたその銀行こそがメーンバンクである。 商業上の主要なやり取りに利用し、銀行取引約定書を締結しているにも拘らず・・である。

まあ、これくらいは、かわいいもので

はなから 「貧乏人など相手にしない」 という態度を 誰が見ても分かるくらい、あからさまに平然としてくる銀行・銀行員もある。


話がそれてしまいましたが、 銀行が相手をしてくれない場合は、街金を頼らなければならない。

割引料の利率は銀行より少し高いが、背に腹は代えられません。

街金というと、二の足を踏む人もいるだろうが、 割引料が多少高いだけで、借金をするのとは違うからまず問題はない。
闇金ではダメだが、普通の?老舗の街金ならば問題はない。

なお、街金だけでなく、質屋も手形割引(あるいは貸付)に応じてくれるところもあるので、ホームページで調べるか、電話するかして伺ってみたらいいと思います。
割引率はたぶん街金と似たようなものだと思うので、あとは各々の質屋によっての違いだけ。条件の良さそうな所で割り引いてもらうか、あるいは単純に対応の良さそうな所とかで決めてもいい。


問題は、「その手形を振り出した会社がまだ大丈夫かどうか」です。

もしその会社が傾きそうならば、街金も絶対割り引いてくれない。
街金に割引を断られたら、その手形は間違いなく紙切れになると思ったほうがいい(これは質屋も同様であり、お金を扱う商売で甘い所などないので、そこら辺の情報収集力は街金も質屋も変わらない)


ここで注意しなければならないのは、 手形の振出しをした会社が傾いた時は 満期日前でも裏書人が手形を買い戻さなければならないことである。

仕入先などは手形での支払いを受けてくれるところもあるが 同様に買い戻さなければならない。

その時は受け取った領収書と不渡り手形を交換し、あらためて現金で支払いをしてその日の日付の領収書をもらう。

また、第三者(手形所持人)は 裏書人が複数いる場合、裏書人の誰にでも請求ができる。 裏書した順番は関係ないので、注意が必要である。


それと、銀行の場合は割引を依頼した人の信用が悪化した場合でも 買戻し請求をする場合がある。

銀行はこのことを特約としてまず設けているので、くれぐれも注意してもらいたい。
その場合は、依頼人の 「預金で相殺する」 であろうから 自分の身辺がまずくなっていると思う方は・・・言いたいこと・・分かるはず。


手形貸付は、借り入れするにあたり手形を担保として貸し出すことで 、ようは金銭消費貸借の一種である。借り手側の感じる感覚としては手形割引と大して変わらない。


手形の付箋について

「不渡り手形」に貼り付けてある付箋

不渡り手形
ようは金融機関が期日に支払い決済できない・できなかった手形で、事実上の紙切れとなってしまった手形のことである。まあ、振出人が期日までに代金を当座に用意できなかったのですね。

その不渡り手形には付箋が付いてくる。
その付箋には「この手形は本日支払提示されましたが○○○につき支払い致しかねます」などという事が日付とともに書いてある (支払銀行の付箋で支払銀行名が記載されており、その銀行の印鑑及び割り印がしてある)

○○○の部分は「取引なし」「資金不足」「停止処分済」などの文字あるいはその文字印が押してあります。


付箋には「呈示期間内に呈示されていないので支払い致しかねます」などの文面の付箋もあるそうです。
この付箋は裏書人から渡された所持人が支払呈示期日にうっかり取りたてを忘れていて後日呈示した場合のようですが、この付箋が貼られた場合、前の裏書人に請求する権利(遡及権)が失われてしまう。
つまり所持人は、裏書人に請求する権利を失ったことになる(振出人への請求権はあります)


なお、所持していた手形が不渡りとなった場合の経理上の仕訳ですが、受取手形勘定から不渡手形勘定(資産)へ振り替える処理を行う。
不渡手形勘定は、手形の振出人に対する支払請求権という権利を表すものなので資産となる。
不渡手形が回収不能となった場合には、貸倒れとして処理することになります。


手形は怖い

白紙手形

一般の人間にはほとんど縁がないだろうが、ついでに白紙手形について 少しだけ話しておこうと思います。

白紙手形は「しらかみてがた」と読み、その名の通り 金額・受取人などが書かれていない手形である。

昔は切羽詰った借り手が貸主に差し出し、ある程度まとまったお金を 借りたそうである。

その怖さは説明するまでもない。金額は貸し手の胸三寸である。
借り手も確実に飛んでしまうことを覚悟の上での行動でしょうね。


また、手形を振り出せる立場の人間が、誰かに振り出すため用意していた手形で 受取人の名前等が書いていないものを盗まれ善意の第三者に渡った場合は その第三者は振出人に請求できる(基本的には)

だが、通常は銀行・警察に知らせ、裁判所に公示勧告の申し立てをする。
まずは銀行・警察に交付証明書や紛失、盗難の証明書等を交付してもらう手続きをすること。 とにかく、盗難や紛失した場合は速やかに「事故手形」として処理することが肝要です。


又、白紙手形とは違うが、通常の取引先との商取引でない場合は、手形での取引は絶対にしないようにしていただきたい。

最初に数百万の現金を積まれようが、残りが手形などの場合は最初から払う気のない乱発手形かもしれない。

不動産の取引や立ち退き交渉、あるいは取込み詐欺など、以前は(今もだろうが)上手く騙された人も沢山いた。手形自体はある意味所詮は「紙切れ」。気を付けるに越したことはない。

又、そのような取引で詐欺の場合、相手側は休眠会社を使っている場合が多い。そのような場合はまず本店移転の登記をしている。新しい謄本では細かな事実が分からない場合もあるので、閉鎖謄本を辿って行かなければならない。

どちらにしろ、手形を甘く見ると痛い目にあうだろう。


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