【R18版】潜入魔族TS
魔王軍のイケメン魔族が、勇者を倒す為に幼女に扮するが……
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三百年続いた魔族と人間の戦争は、最終的に魔王と人間の諸王との和睦で終わり、それから更に三百年、世界は天下泰平を謳歌していた。
尤もそれにはそれなりの犠牲と苦労が付き纏う。
魔族側にも、人間側にも不和を求め、諍いを求め、最後は戦争に持っていきたい連中がいる。
そう言う連中は、事が起きれば自分こそが活躍でき、英雄として名を上げる事が出来るのだと信じているのだ。
尤も、そうでもないと自意識を保てない魔族や人間は、自分の社会で上手く行けない落ちこぼれだ。
この世界には、そういう連中を取り締まる必要がある。
俺はかつて魔王軍の幹部として人間を多く殺してきたが、己に恥じるような戦いをした覚えはない。
少なくとも人間にさえ一定の理解があったようだ。魔族、人間双方の戦争犯罪を問う審問にて、俺がしたことで科を受けることはなかった。
そういう事情で俺は魔族と人間との不和を狙う犯罪、憎悪罪を取り締まる立場となった。
さて、人間の世界には大体百年に一度勇者が現れる。
お題目的には人間を正しい道へと導く存在だが、実態としては魔族特攻属性だけを指す。
お題目を大事にするのは、その勇者の属性が危険であり、それ故に今のバランスを壊しかねないからである。
勇者が魔族を殺し、それが正義だと語れば人間は誰もがそれを信じてしまう。
そもそも三百年前の戦争は、人間の勇者が三人とも無茶苦茶をやったから発生したことだ。
魔族を倒し、その代わりに魔族領の一部を支配して好き放題やるということが続き、それ故に魔族は人間と戦う必要があった。
勿論、それは魔族側の言い分だと言う側面はあるが、真実、あの戦争時代に出会った勇者でろくな奴はいなかった。
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