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【着ぐるみ小説】人形遊びのお店④

 ドール型の着ぐるみと遊ぶ女性向けのそう言うお店の話。

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 お客さんとの会話は、いつも一方通行だ。
 ただ見つめ、時々頷き、或いは首をふる。
 きちんと話を聞いて、きちんとリアクションするだけで、お客さんは色々なことを喋ってくれる。

 ただ、あの人形作家のお客さんは、風俗嬢に話す程度の悩みがないのだろう。
 もっと他で発散できているか、それとももっと深刻な悩みがあるのかのどちらかだ。

 自分の悩みに比べれば、世間の悩みなんて大したことがないと言う発想は流石に無理だ。
 私の前で話すことだって全てではないだろうし、実際問題、ただただいつも同じ悩みを続けるお客さんもいる。

 「彼氏と別れたらすっきりしちゃった」とか、「弁護士に相談したら上手くいった」とか言う報告は少ない。
 いつの間にかお店に通うのを止めてしまったお客さんが、その悩みをどうしたのかも不明のままだ。

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