【同業】シンスプリントの電療
初めに
学校の部活動やスポーツ少年団活動では、冬は(書いているのが令和3年1月)体力作りの時期で、走り込みを中心とした基礎体力トレーニングに重点が置かれているように感じます。もちろん、試合期ではないからなのでしょうが、普段からおこなっていないと疲労蓄積からケガに移行するというのは普通にあると思います。
当院がスポーツ外傷・障害を診てきて感じたのは、試合がないこの時期にもシンスプリントは起こりうる障害ということです。当然、運動にかかわる部分なので当たり前なのですが、試合期の練習よりもトレーニング期のこの時期に多いのは・・・
シンスプリントの施術は長期になりがちです。岩手では本当に長くかかっているなという印象で、この前来院した患者様は6ヶ月前から施術してもらっているのに痛みが強くなってきて、運動すると激痛なので転院しましたと言っていらっしゃいました。その時に、シンスプリントって誰でも知ってるスポーツ障害のわりに治療成績はよくないのかと疑問を持ちました。
これはあくまでも、スポーツ医科学が格段に進歩していない、情報が遅い岩手の話であり、普通の有資格者やトレーナーは知っていることなのです。なので、自分の啓発の意味もあり文字に起こしてみました。
一つでも思い出したり参考になればいいです。論文ではないので、あくまでも私の臨床での経験が基になっています。
こんなのに金なんて払えないよっていう方は無料まで読んでいただけるとありがたいですし、参考になればという方はご購入の検討をお願い致します。
※ シンスプリントだけに限らず、スポーツ障害は全体像の把握も重要ではありますが、今回は障害を起こす筋に対する電療のアプローチ方法であり、評価の仕方等はありません。又、骨盤矯正のように〇〇矯正での障害施術や予防も基本的には否定派ですので今回の記事は参考にならないと思います。あくまでも、柔整の電療という事でお読みください。
シンスプリントとは
シンスプリント(過労性脛部痛)はスポーツ障害の代表格のようなケガであり、同業者であるなら知らない人はいないと思います。が、まずは復習からしてみたいと思います。
スポーツにより下腿中央~遠位1/3部の脛骨の後内方、前脛骨筋部、骨間膜などに疼痛が生じ、安静により軽快する疼痛性症候群である。 「医学書院 標準整形外科学」 引用
原因としては下腿・踵部角の外反や回内足、アーチ部の低下などありますが、それは危険因子でありこれだけでは発症することはありません。シンスプリント発症は負荷が原因です。アライメントの不整が起きているところに負荷がかかることにより、通常とは異なる負荷がかかりダメージとして蓄積されていきます。
運動量過多(over use)はもちろんですが、長期休み明けに強度の練習をした場合でも発症のケースも診ています。又、道具特に靴(スパイク)が変わった時などもありました。グランドコンディションの問題の時もありましたし、原因は多様ですが、特殊な負荷がかかっている事は共通しています。
よく接骨院や整形外科で、「この膝が痛い原因はO脚だよ」と言われる人がいます。確かにO脚は膝アライメントの不整であり、膝外側部には常に牽引力が作用しており痛みの危険因子の一つとなりえます。しかし、O脚(変形)だけで痛みの原因になるのでしょうか。O脚の患者の体重を背臥位姿勢などより免荷した場合、痛みは発症するのでしようか。慢性痛として出現済の場合には免荷しても痛いこともあると思いますが、新規の発現は考えづらいです。Oのように足が変形している部位に歩行や走行あるいは体重などといった負荷が継続的にかけられることにより患部は耐性限界を超えて痛みを発症します。
つまりは、危険因子に対し負荷がかかることでケガもしくは痛みになっていくのです。原因は負荷なのです。
進行度(レベル)の概念
医学書よると筋性の疲労性症候群となりますが、臨床の上では患部の進行度(レベリング)が存在します。別々に考えるよりも一般的だと思います。これは私の臨床を基にしており、何かの論文という事ではありません。
1:筋性疼痛
①運動後疼痛:運動後に鈍痛として出現する状態
②運動痛:スポーツ活動中(走る・跳ぶ)に出現する状態
➂安静時痛:運動に関わらず疼痛をだす状態
1-②までくると日常生活にもそろそろ支障が出てくると思います。階段の昇降などでは痛みをハッキリと感じてくると思います。1-➂は運動の有無にかかわらずなので選手は不快で不安になります。
1-②で疼痛の強度によっては運動制限は必要となってきますし、1-➂まで進行した場合は制限ではなく中止をしたほうが良いです。当院では1-➂で2週間程度の中止をお願いしています。
2:骨膜炎
いよいよ筋性疼痛から骨性の疼痛に移行します。この時期になると安静時痛も当然ながらありますし、日常生活にも相当支障をきたします。当院の患者の例です。
①スカートの裾がこすれても痛みを感じる
②手で脛を軽く触られただけでも痛い
女子選手で制服のスカートがこすれただけで痛いと訴えていました。ここまでなる前になぜ施術を受けなかったのか・・・
3:疲労骨折
いよいよ痛みは強度となります。圧痛はもちろんですが、跛行していますし、軽く腫脹もありました。レントゲン画像でもハッキリと陰影像が見えたりと最悪な状態です。当院に来院した際は、危険と判断したため施術せずに医師に紹介しました。全治4ヶ月と診断されたと記憶しています。
この状況では、柔整師はできることは少ないです。もちろん同意を貰えるといいですが、拒否されることが殆どです田舎は。患部の施術ができない場合は、運動中止が長期になる事を見越して他の部位のトレーニング指導をするといいです。
なので、柔整師もトレーニングの知識と指導スキルは必要です。
型の概念
柔道整復師であれば下腿の骨折の型をご存じだと思います。私の場合、それにシンスプリントの型も当てはめて考えています。
1:疾走型 脛骨近位1/3or遠位1/3
主に走りによる受傷形態と考えています。スプリント系トレーニングの過多や陸上などの走りが多い競技などに多い型です。近位1/3はヒラメ筋由来、遠位1/3は後脛骨筋由来と考えると、足関節の動き=ふくらはぎの強く繰り返される運動がこれを引き起こすと思います。もちろん、足関節の運動は足の動きの基礎なので全てに言える事ではありますが。
2:跳躍型 中央
バレーボールやバスケのような跳躍系競技に多くみられます。イメージとしては総合型であり、筋も選手の動きや癖などで様々に関与してくると思います。足関節の底屈を強く使うならヒラメ筋や後脛骨筋、母指球への強い踏み込みがある場合は長趾屈筋などあげたらきりないので、ここは慎重に診ましょう。
疲労骨折した場合は、疾走型よりも難治性のため痛みが強度だった場合は医師の診断後から施術を始めたほうが安全だと思います。
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