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エンゲージメント測定ツールの導入は2020年末まで待っても良さそうな理由

こんにちは!精神科産業医の吉田です。新年度を迎えましたが、人事総務部門の皆さんは新型コロナウイルスへの対応で大忙しのことと存じます。BCPや体調不良者への対応、在宅勤務に時差通勤・・・従業員の皆さんも大変ですが、場合によっては売上が急減あるいは消滅する中、陣頭に立って決断する経営者や人事総務の中間管理職の方々の苦労は想像を絶するものがありますね。奇しくも「不景気」も「うつ病」も、英語では「Depression」となりますが、急速な景気の落ち込みが、大きな社会不安とならないよう願うばかりです。

リモートワークの増加でエンゲージメントに脚光

さておき、このnoteを読んでくださっている読者の方々は、リモートワークが増えたために緊張感が維持できずイマイチ仕事に身が入らないのか、逆に在宅でも出社同等のパフォーマンスをキープでき、あるいは在宅の方が集中力高く密度濃く、仕事をこなせるのか、いずれのタイプでしょうか?

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経営者としては、もちろん後者タイプの社員さんが多いと有り難く、だったら新型コロナウイルス騒動の収束後は、在宅勤務の機会をもっと増やして効率よく仕事してもらおう!という気持ちになることでしょう。しかし容易に想像できるように、前者と後者の社員では、平素から業務や会社組織に対する考え方や感情、いわゆるモチベーションやエンゲージメントに差がありそうです。

この、社員のモチベーションやエンゲージメントを、経営指標としてサービス展開する企業の広告もしばしば目にします。特にタクシー広告などでは頻繁で、助手席の背もたれに取り付けられたタブレットのカメラは、私を年齢的には企業の中間管理職くらいと認識していて、そのようなツールの導入決定者とターゲティングしているのかも知れません。

ストレスチェックの歴史を振り返っておきましょう

皆さんの職場でも、50人以上の事業所や上場企業であれば、おそらく全社的に労働安全衛生法に基づいたストレスチェックが実施されていることと思いますが、2015年12月から義務化となったため、同制度は現時点で5年目を迎えています。義務化の当初からずっと「5年経ったら見直し」と言われていて、その見直しの時期が2020年、つまり今年の12月となるわけです(注:ただしコロナ対応に厚労省も企業人事部も忙殺されているため、この見直しそのものが延期される可能性はあります)。

現行の標準である57問の質問セットですが、意外に古く、「平成14年~16年 厚生労働科学研究費補助金労働安全衛生総合研究事業『職場環境等の改善等によるメンタルヘルス対策に関する研究』の成果物」として2005年3月に公表されています。

ストレスチェック義務化に関する改正労働安全衛生法が国会で成立する際は、たしか9問程度の質問から成る、とされていたのが、2015年5月に公開された実施マニュアルではしれっと(失礼!)「『職業性ストレス簡易調査票』(57 項目)を利用することが推奨されます」と記載され、ずいぶん驚いたのを覚えています。

国会議事堂

しかし厚生労働省としては、この57問版をずっと標準質問セットとして用いようと考えているふしはなく、見直しの時点で質問数が増えるだろう、と言われ続けています。なぜなら、2012年4月に『新職業性ストレス簡易調査票』(標準で120問、短縮版で80問)が公表されているから。以下、東京大学精神保健学分野のサイトを参照

エンゲージメントは新ストレスチェックで測定可能!

「短縮版」でも80問と、なかなかのボリュームに感じますが、大企業だとストレスチェック義務化の以前から、毎年150~200問程度の社員満足度調査や独自のストレスチェックを実施していた企業は珍しくなく、むしろ義務化により標準質問セットを用いることで(個人結果へのアプローチが困難になった、など使い勝手の悪さはあるものの)、職場改善の方法論を社内に浸透させやすくなる、などのメリットがあります。

現行の57問から23問増えるわけですが、詳細は上記の東京大学精神保健分野のサイトをご覧いただくとして、重要なポイントは、この23問のうち「仕事をしていると、力がみなぎるように感じる(79問目)」と「自分の仕事に誇りを感じる(80問目)」の2項目で、ワークエンゲージメントが測れてしまう、と言うことです。たった2問の質問で?と感じるかも知れませんが、厚生労働科学研究という国の研究予算を使って、東京大学を中心に開発された質問セットですので、統計的な妥当性は担保されています。

追記:上記「仕事をしていると、力がみなぎるように感じる」はユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度(UWES)9問版の1問目、「自分の仕事に誇りを感じる」は同じく9問版の7問目に採用されています。

5月か6月?次期マニュアルの改訂を注視

この80問版ストレスチェックが、本当に2020年12月から標準質問セットとして推奨されるのか、は気になるところです。2015年12月にストレスチェックが義務化された際、そのマニュアルは義務化スタート半年前の、同年5月に公表された経緯があります。個人的には2020年の5-6月中にマニュアルが改訂されるようであれば、義務化6年目を迎える2020年12月から80問版(新職業性ストレス簡易調査票短縮版)での実施を推奨、と記載されるのでは?と考えています。

ともあれ、ビジネス環境がめまぐるしく変わるこの時代、従業員のエンゲージメント調査は年1回だけで良いのか、などの課題は残りますし、といって毎月あるいは毎週、モチベーションやらエンゲージメントやらを答えさせられるのもちょっと暑苦しい感じがします。このあたりは労働者全体の意識や社会の風潮に合わせて変化していくものと思われますが、もしHR部門にお勤めの読者の方で、経営陣が「そろそろうちも社員のエンゲージメント調査を」なんて言い出した場合は、「まずは法定ストレスチェックを先取りして、80問版を採用しませんか!」と提案してみると良いかもです。費用面でも受検負担の面でも、コストアップはごくわずかですよ。

この80問版には、職場のハラスメント関連の質問も含まれているので、厚生労働省が主導して成立した「パワハラ防止対策関連法(ハラスメント規制法・ パワハラ防止法 )」の潮流にもうまく乗っている、ということになります(詳細は次回以降のnoteへ)。また「ウチの会社は法令遵守だけではなく、もっと先を行っている!」と社員さんからの評判も上々となるでしょうから、これこそが社員満足度と貢献意欲をかき立てる施策と言えましょう。

エンゲージメント改善はHRの中核業務と心得よ

ちなみに80問版ストレスチェック、弊社の親会社であるフェアワーク・ソリューションズでは5年前から提供しています。なぜそんなに前からかと言うと、80問版の方がシステム提供サイドとしては集団分析して楽しく、産業医としても人事の方との意見交換が深まりそうだったから、です。その予感は当たっていて、現時点ですでに80問版を導入済の企業様からは、今後の職場改善活動に向けた意欲的な声が聞こえてきます。

外部のエンゲージメント測定ツールを使ったところで、実際に職場改善活動に奔走するのはHR担当者です。労使関係を取り持ったり、機微な情報を預かったりと、どんなに業務のデジタル化が進もうと、ヒトの感情や意欲、さらに言えば情念やいくぶん病的な感情なども取り扱う部門です。外部コンサルへ投げてしまうことがかなり難しい部署であるからこそ、エンゲージメント改善活動はHRの中核業務である、と感じています。

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編集後記:ここまで読んでくださりありがとうございました。株式会社フェアワーク代表取締役社長の吉田健一です。弊社では随時無料トライアルキャンペーンを実施しています。下記は現在実施中のキャンペーン詳細です。お問い合わせや、○○業界でもキャンペーンして欲しい!などのご連絡は、どうぞお気軽に!


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