貝殻の嘘
悪戯好きのあなたが海で私の麦わら帽子を投げたりするからね、ほら、風に飛ばされて海の中に落ちたじゃない。
昨日台風が去ったばかりの荒波に揺られて、麦わら帽子があっという間に沖に流されていきそうで、あなたは「ごめん」って言いながら慌ててジーンズの裾をたくしあげて海に向かって走っていった。
待っている間に貝殻を探していた私の目に淡い桜色の貝殻が飛び込んできて、とっても綺麗でね、そっと拾い上げて海のほうにかざしてみたら、視界に入るはずのあなたと麦わら帽子が見えなくて、聞こえるはずの波の音が一瞬で消えた。
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
こちらの野やぎさんの企画に参加しております。いろんなかたが参加されているのを見て、よしっ、私も書いてみようとチャレンジしました。よろしくお願いします。一文を長めにして多めに物語をお伝えする作戦をとりました。
いいなと思ったら応援しよう!
お気持ち嬉しいです。ありがとうございます✨