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yukaimamura
あなたの香り
「そこ、好きだよ」
あなたが後ろからそう言ったから私は振り向いた。あなたの指が私のうなじを指している。
「ありがとう」
私はゆっくりあなたを見つめた。
窓から射し込んでくる陽の光が、あなたの少し茶色がかった髪をキラキラと照らす。私は愛おしいあなたのふんわりした髪に触れたくなって、そっと手を伸ばした。
「やわらかいね」
そう言ったらあなたの手も私のほうに伸びてきた。
左側にまとめてよせた私の長い髪を整えるように指を通す。そっと優しく何度もゆっくりと髪をとかす。
髪を触られるのはとっても好き。
しあわせな気持ちに満たされたくて、そっと目を閉じたら、あなたの髪が私の頬をさらりとかすめた。そのすぐあとに、うなじにあなたのあたたかい唇が触れる。
「ここ、好きなんだ」
あなたの香りが私を包み込む。
大好きな香り。
少しあまい石鹸の香り。
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