運命の恋はnoteから。

今日、街でとてもきれいな紫陽花を見かけた。薄い紫と濃い紫の共演。紫は高貴な色で僕は好きだな。

脳裏に焼き付いた美しい紫色が消えないまま最寄り駅のホームに向かっていると、駅向かいの公園のベンチに座っている女性が目に入った。

その女性は紫陽花の柄が描かれたバッグを持っていて、このバッグの白地に紫色のコントラストがとても鮮やかだった。

今日は少し風が強い日で、彼女は長い髪を風になびかせていた。とても綺麗な黒髪。

ベージュのニットにジーンズというラフな服装だったけど、思わず見とれてしまうほど美しい横顔だったよ。

熱心に小説を読んでいて「何を読んでるの?」って思わず話しかけたい気持ちになった。

あの小説のタイトルはなんだったんだろうな。

恋愛小説かな。推理小説かなぁ。

ちょっと気になる今日の出来事でした。

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この日、僕はそんな日記をnoteに書きました。毎日更新している日記には日常でふと感じる小さなことや印象に残った出来事を書いています。

その日は彼女の美しい横顔をぼんやり思い出しながら、眠りにつきました。

翌朝、noteを開くとコメント受信を知らせるメッセージが1通ありました。昨日の投稿へのコメントでしたが、そこには驚く内容が入っていたのです。

坂井さん、おはようございます。いつもnoteで仲良くしていただいてありがとうございます。この投稿を読んでとても驚いたんですが、坂井さんが行かれた駅前の公園にいたのは私ではないかと思います。私は夕方、公園で本を読んでいました。髪型もそうですが、服装やバッグの描写も私のものと同じだったんです。すごい偶然に本当に驚いています。「美しい横顔」だと書いていただいて気恥ずかしくて、でもとてもうれしいです。

こんな偶然ってあるんでしょうか。

僕はすごく興奮しました。

彼女は僕がnoteを初めて数ヶ月後にフォローしてくれた人でした。人柄の良さが伝わってくるとても魅力的な文章を書く人で、すぐにこちらからもフォローをしたんです。

これまで半年近く、お互いに「スキ」を毎日つけあっています。コメント欄でもときどきやりとりをしています。どこに住んでいるかや本名などはもちろん分からないけど、彼女には好感を持っていました。きっと素敵な女性なんだろうとイメージしていました。

その女性が僕がいつも利用している駅前の公園のベンチに座っていたなんて、なんという偶然でしょうか。

興奮した気持ちを必死におさえながら、すぐに返信を書きました。

サクラさん。まさかサクラさんだったなんて、すごく驚いています。本当ですか? すごくすごくびっくりして、どうお返事していいか分からないくらいです。美しいと言ってしまってなんだか恥ずかしいですが、本当に美しい横顔だと感じました。サクラさんだったなんて。

彼女の美しい横顔がなんども脳裏に浮かんできました。

それからは彼女の記事に「スキ」をつけるのもためらわれるくらい、ドキドキしている自分を感じました。

最寄り駅に行くたびにあの美しい横顔をキョロキョロと探す日々になりました。

noteは書き手がリアルな世界のどこかに実在しているはずですが、なんだか別世界のように感じていて、リアルな世界にその人物が存在しているなんて僕は今まで意識したことがなかったんです。

でも実在していた。

こんな近くに住んでいる人だったなんて。

しかもあんなに美しい人。

あぁ、どうしよう。

サポート? クリエイターへの問い合わせ? ツイッターからメッセージを送る? どうしよう。直接、連絡したい。

僕は彼女とnoteだけじゃなくてリアルな世界ででも繋がりたいと強く思いました。


サクラさん、今日、僕は勇気を出して、君への問い合わせをしてみます。出だしはこんな感じでいいですか。

読んでいた小説のタイトルを知りたいです。サクラさんのことをもっと知りたいです。

どうか返事をもらえますように。


ねぇ神様、こんな偶然、この先、一生起こり得ないことでしょ?

ほんと、お願いしますよ。


きっと、運命の恋だから。


1666文字

#短編小説 #超短編小説 #掌編小説 #運命の恋 #出会い #note


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椿 -TSUBAKI-
お気持ち嬉しいです。ありがとうございます✨