中国人と英語で話す
「中国人と英語で話せない」といったほうが、どちらかといえば事実に即しているのかもしれない。
どの国の英語もその国の人特有のアクセントが組み込まれるので、スムーズに聞き取るためには慣れが必要だ。
慣れるのにどれだけの時間を要するかは、聞き手の英語力にもちろんかかってくる。
私はリスニング力が高くないし、たかだか数時間一緒に過ごすだけだと、そう簡単には聞き取れるようにならない。
「passport」という単純な英語も、3回聞いても聞き取れず、しびれを切らした夫が横から「パスポート」と口を挟んだ。
「パスポート」と教えられれば、「あぁ、なるほどパスポートって言ってるな」と分かるし、「passport」自体の発音が聞き取りにくくても前後の内容で「パスポート」なんだと気づきやすいとは思う。
でも少し唐突に出てきて、一瞬、混乱すると、親切にその単語だけを何度かゆっくりpassportと繰り返してくれても、ゆっくり発音されればされるほど、日本人の知っている「パスポート」の発音とかけ離れたそれは聞き取りにくいものだ。
●中国人は図々しくて親切
数人の中国人だけで中国人とひとくくりに論じるのは正しい行為ではないとわかっているが、私が中国人に早い段階でもった印象は「図々しい人たち」だった。
夕食に招待したのだが、まだ準備に追われている私に、赤ちゃん連れのその友人は「コメをうちの子のためによそってくれないか?」だとか「ちょっと水をもらえないか?」だとか横から要求してきた。
なんだ、この図々しさは・・・
いろんな国の人を迎えたことがあるが、これは初パターンだった。
まだ準備が終わらず少し慌てている私の状況が見えないのか? とイラッとした。
そして奥さんも同じく図々しかった。
まだつかまり立ちを始めたぐらいの赤ちゃんを自由にさせすぎていて、日本人の感覚ではそこは制止すべき、もしくは謝るべきと感じるほどマナーに欠けた。
この家族、嫌だと、私は思ったし、しばらくうちには来てほしくないと夫に告げた。
●あっちではすごく親切
ところがこの中国人というのは、ものすごく親切で、寛大なのだということに気づいたのはこちらが中国に行ったときのことだ。
なんというか、彼らは朗らかで大きい。
俺たちはファミリー。ヨォ、兄弟よ!
みたいな空気感抜群で、至れり尽くせりの親切を施してくれた。
図々しさは、ファミリーだからだったんだな、むしろ私の親切心が足りなかったんだな、と気付かされたほどだ。
当たり前の話だが、国民性が違うので衝突することや、よく理解できないこと、それはマナー違反だと感じることは多々生じる。
でもそこにはその国特有のものの感じ方があり、悪く見える一面も良い面につながっていることもある。
日本でもたくさんの中国人を見かけるし、彼らはみな一様にまるで喧嘩しているかのような勢いのある大きな声で喋りまくっている、そんな一見図々しいように見える大勢の中国人たちも、きっとすごく親切なんだろう。
物事に繊細で、「同じ」を良しとする私たち日本人は「違い」に対して特に敏感だけど、その「違い」を、敏感だからこそ持ち合わせている感性の高さで受け入れていけたらと思う。
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英語、もっとがんばろー