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【傍聴記】盗撮魔の正体はイケメン美容師
暇つぶしに刑事事件の傍聴でもしようと、7階の小さな法廷に入ると、弁護士の隣に艶やかな黒髪をセンター分けにセットした容姿端麗な若い男性が座っていた。今回の被告人である。
何の罪名か知らない状態で法廷に入ったら、大麻取締法違反か傷害あたりだと思うだろう。
男が犯した罪は性的姿態等撮影
いわゆる「盗撮」である。
割とありきたりな罪名なので傍聴人は自分含めて5名程度だった。
時間ちょうどに裁判官が入廷し、開廷となる。
証言台の前に立つ被告の背は高く、スラリとした体躯である。涼し気で整った顔立ちは韓国アイドルを思わせる。
事件概要
①勤務する美容室の女性客A(21)に後日ヘアカタログの撮影をしたいと申し出て、シティホテルの浴室に仕込んでおいた小型カメラで胸部が露出した姿を撮影した。
②勤務する美容室の女性客B(19)にインスタグラムに髪型の写真を掲載したいと申し出て、レンタルルームの浴室に仕込んでおいた小型カメラで下着姿などを撮影した。
※押収されたスマートフォンによると他に被害者は20人前後いる模様。
被告人について
29歳で職業は前述の通り美容師。性的姿態等撮影の前科2犯を有し
①令和1年 札幌簡易裁判所にて罰金10万円
②令和3年 札幌簡易裁判所にて罰金30万円
5年以内に2度の有罪判決を受けても上記の手口で常習的に盗撮を繰り返した。さすがに3度目なので今回は地方裁判所に引きずり出され、傍聴マニアの好奇の目に晒されることになった。
被告人質問によると・・・
・Aさんとは示談が成立したが、Bさんには拒否された。
・高校生くらいのときに盗撮モノのポルノビデオを見て興奮した。それ以来、自分でも盗撮してみたいと思うようになり実行してしまった。
・2度の有罪判決を受けても繰り返してしまったのは、盗撮をすると仕事のストレスから解放されるから。
・今は心療内科に週1で通い認知行動療法を受けている。
・既に就職先が決まっており、再び美容師として働く予定である。
・事件後は実家に戻り両親がサポートしてくれている。
・今は盗撮したい気持ちは全くないし二度とやらない、と誓う。
論告求刑
検察側「二度の有罪判決を受けても再度犯行に及んでおり、常習性は極めて高い。再犯の恐れは非常に高く矯正機関に収容させるべき。(求刑懲役1年6月)」
弁護側「深く反省をしており、直ぐに被害者に謝罪を申し入れた。心療内科に通院し治療の成果もあり再犯の恐れはない。就職先も決まっており家族の監督にも期待できる。早い社会復帰のため執行猶予付き判決をお願いしたい」
判決
懲役1年6月、執行猶予4年
常習性が高い上に2度の有罪判決を受けているから実刑になるかと思ったが執行猶予付き判決だった。ただ、4年以内に間違いなく再犯すると思われる。
所感
性犯罪者=ブサイクでモテない気持ち悪い弱者男性だと思ったら大間違いである。むしろそういう人は極めて少なく、むしろ普通の人が大多数だ。
性犯罪者は他の刑事事件の被告とタイプが違っていて、前科前歴もなく事件を起こす前は普通に会社勤めをし、妻子もいて、まともな社会生活を送っていた。こういう人が多い。
この被告のように容姿端麗で相手に困らないであろう性犯罪者も普通にいる。女性に相手にされないから性犯罪に走ったという単純な問題ではなく、もっともっと根強い問題なのだと思い知らされた。
ある意味可哀想な人達である。
普通の人であれば、そんなことはせずとも性的な快楽を得られる。しかし盗撮魔や露出狂は普通の行為では満足することが出来ず、反社会的な行動でしか快楽を得られないのだ。
最近話題の女児連続殺傷事件の勝田州彦容疑者みたいな、「女児が血を流して苦しんでいる姿を見ると興奮する」という危険過ぎる性癖を持って生まれてしまったらどうすれば良いのだろうか。
次は公然わいせつ被告事件の話でも書こうかね。
コチラも中々に闇が深かった。