【闇バイト】関東質店連続強盗事件【傍聴記】

ここ最近巷を騒がせている関東広域連続闇バイト強盗であるが、ちょうと1年前にも埼玉県越谷市の質店と千葉県習志野市の質店に闇バイトで集められた強盗事件があった。被害総額は5300万円にものぼる。被害内容の割に報道が少ないのは死亡者を出してなかったからだろう。

逮捕者は11名にも及び、17歳の未成年1人を除き全員20代の若者であった。彼らはSNSの投稿から闇バイトに応募した。彼らの判決がチラホラ出ているので判明しているものを書き連ねて行く。


事件概要


◻️越谷市の強盗事件
2023年8月12日午後2時6分頃、埼玉県越谷市所在の質店の出入口から侵入し、代表取締役(当時54歳)らに対し、包丁を突き付けるなどの脅迫をし、腕時計7本など計41点(販売価格合計1115万9300円)を奪った。

◻️習志野市の強盗致傷事件
同年9月7日午後6時18分頃、千葉県習志野市所在の質店の正面出入口から侵入し、店長(当時41歳)及び従業員(当時51歳)に対して、包丁を突き付け、ハンマーを振り下ろすなどの暴行脅迫を加え、腕時計など合計88点(販売価格合計3934万9900円)を奪い、その際に従業員の手に包丁を接触させ、全治約2週間を要する怪我を負わせた。

容疑者らのその後

少年(17):少年院送致
罪名:強盗致傷
関与した事件:越谷事件、習志野事件
※検察官送致になればニュースになるはずだが、特にそのような報道はされてないので少年院送致になったと思われる。
→越谷市の強盗事件と習志野市の強盗致傷事件の実行役。

T.R(23):懲役3年(求刑懲役6年)
罪名:強盗致傷幇助
関与した事件:習志野事件
→実行役を車で送り、犯行を終えた後に再び車に乗せて現場から逃走した。

K.M(26):懲役2年4月・罰金40万円(求刑懲役3年6月・罰金40万円)
罪名:盗品等運搬・処分あっせん
関与した事件:習志野事件
→奪った腕時計やアクセサリー類など88点を車で運び、さいたま市や東京都新宿区の中古品買い取り店で、14点を計324万円で売った。


Y.R(23):懲役5年(求刑懲役7年)
罪名:強盗致傷幇助、建造物侵入幇助、窃盗
関与した事件:越谷事件、習志野事件、藤岡市の質店での窃盗事件

①2023年9月5日から7日までの間に、指示役から習志野事件の犯行日・集合時間・集合場所等の連絡を実行役に伝達した上、同月7日、実行役を被告が運転する車に乗せて、千葉県柏市の待ち合わせ場所まで送り届け、実行役の強盗行為の手助けをした。
②2023年8月28日、群馬県藤岡市の質店から店員がショーケースから取り出してトレイに置いたネックレス4本(販売価格合計312万2350円)を盗んだ。
③SNS上で知り合いだった17歳少年を越谷事件の指示役と繋げた(不起訴処分)

S.K(22):懲役6年6月(求刑懲役8年)
罪名:強盗致傷幇助、建造物侵入幇助、強盗、建造物侵入
関与した事件:越谷事件、習志野事件

①越谷事件の実行役を担った。
②習志野事件において、レンタカーを借り、同車を運転手役であるT.Rに引き渡した。

実行犯でなくとも重い罪になる


何も盗ってなくとも実行役でなくとも「幇助犯」として裁かれる。一連の強盗事件は同種事案の中でも悪質性が高く、直接犯行に加わってない運転係や盗品保管係も実刑になった。まだ共同正犯になってないだけマシとも言えるが、共同正犯認定されると大変なことになる。

以前、傍聴した強盗致死事件に印象的な判決が出たことがあった。
被告は「被害者を何日か尾行して自宅や行動パターンを主犯らに伝えた」という役割を担った。その結果、犯行に加担してないどころか、現場にもいなかったが、強盗致死で起訴された。
弁護側は「被告の犯行は他人の強盗行為を手助けしただけで、殺害することまでは予想できなかった。強盗致死ではなく強盗幇助にあたる」と擁護したが、「被害者の家を突き止め、実行役に教えた行為は実行犯にあたる。計画を遂行するのに不可欠な役割を果たした」として懲役20年の判決が下された(この事件以外にも強盗致傷事件や窃盗事件にも関与していた)
直接手を出していなくとも、このような形で強盗致死事件の共同正犯として裁かれ、懲役20年も打たれることもある。被告は22歳とまだ若いのに人生を棒に振ってしまった。

死人を出してしまった横浜市青葉区の強盗致死事件の運転手役なんかも目ん玉ひん剥くほど重い刑罰が下されることが予測される。
かなり昔だが私の地元で起きた強盗殺人事件では、犯行に使った凶器を用意し、実行役の逃走を手伝った者は強盗殺人幇助で裁かれ、確か懲役6~7年くらいの判決だった。ほんの少し関わっただけでもここまで重い罪になるのだ。

強盗で得た現金と認識しながら現金を回収した子持ちの母親がいたが、社会的影響の大きさを考えると同種事件よりも重い刑罰が下され、ほぼ間違いなく実刑が下ると思われる。

共同正犯のお手本みたいな事件


共同正犯と言うのがコレでもか!と言うくらい分かりやすい事件がある。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%88%B9%E6%A9%8B18%E6%AD%B3%E5%B0%91%E5%A5%B3%E6%AE%BA%E5%AE%B3%E4%BA%8B%E4%BB%B6


 かなり知名度の高い事件ゆえ知ってる人も多いと思うが、この事件の犯人3人がものの見事に役割分担されていて、3人のうち各々が欠けていてはこの事件は怒らなかったのである。

少女B(湯浅成美):首謀者。事件の計画こそしたが、殺害には手を下していない。被害者から奪った現金を「休業補填」と言い張り強盗殺人に。

男D(井出裕輝):被害者を車で犯行現場まで連れて行った。かねてよりパシリにしていた男Cに対して生き埋めにするための穴を掘るよう指示。一連の犯行を主導した。被害者から奪った金を受け取ったので強盗殺人に。

男C(中野翔太):穴に落とされ泣き喚く被害者を見てパニックになり、生き埋めにしてしまう。井出同様、被害者の現金を受け取り強盗殺人が成立。

この3人は平等に無期懲役が下された。被害者から奪った額は2万円程度であり、このうち湯浅成美が1万円、残りを井出・中野で分け合った。ほんの数万円で犯行当時18歳と20歳の若者は無期懲役になったのである。ちなみに井出と中野は被害者と面識はない。

恐らく湯浅と井出は本気で殺すつもりは無くて、脅して怖い思いさせて卒アルと貸したお金を取り立てるつもりだったのだろう。犯行前の「殺す!」というのは本心ではなく、若者特有の口癖と言ったところだろうか。
ところが軽度知的障害者の中野が加わったことで計画は台無しに。湯浅と井出がその場から離れた隙に中野が被害者を生き埋めにしてしまったせいで3人仲良く強盗殺人で起訴されてしまった。

年々、刑法犯も受刑者も新規の無期懲役囚も確実に減ってはいるが、刑法と法定刑を知らない子は増えてるのかもしれない。
人を殺して金品を奪ったら強盗殺人になって死ぬまで刑務所で過ごすことになるよ、と義務教育で教えないといけない時代が来てしまった。

極論を言うと
盗ったら殺すな、殺したら盗るな
と言うこと。
この2つが合わさると死刑または無期懲役だから。情状酌量の余地があったとしてもロング刑は免れない。強盗殺人は人生終了させるほど火力の強い犯罪である。


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