優雅なるアール・ヌーヴォーの息吹：ドーム工房の秘蔵コレクションを解剖【モーカルナビPlus・輸入編】
1. はじめに
19世紀末、フランスのロレーヌ地方ナンシーで花開いたアール・ヌーヴォー（Art Nouveau）の世界。その中心地に工房を構えたドーム（Daum）家は、ガラス芸術の革命を牽引する存在でした。ガレ（Gallé）と並び、幻想的な色彩や自然モチーフのエナメル装飾で世界中のファンを魅了してきました。
ここで紹介するのは、1895年頃に製作されたと見られるDaum Nancyのミニチュアガラスベース。淡いブルーの地にピンクの花がエナメルで描かれ、金彩がさりげなく引き締める……手のひらほどの小さな器の中に、アール・ヌーヴォーの匂いが詰まっています。本記事では、この繊細な美しさと歴史的背景、そしてアンティーク市場での価値や輸入販売のポイントを解剖。フランス芸術の粋を味わいましょう。
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2. ドーム・ナンシー工房とは
2-1. アール・ヌーヴォーの要塞ナンシー
エミール・ガレが拠点を置いたロレーヌ地方ナンシーは、19世紀末から20世紀初頭にかけてアール・ヌーヴォー運動が爆発的に盛り上がった街。この地にはガラス工房や芸術家が集まり、花や昆虫など自然界をテーマとした流麗なデザインを追求しました。その一翼を担ったのがドーム家のガラス工房です。
2-2. ドーム家の歴史
ドーム家（Daum family）は、1860年代にフランス北東部でガラス工場を引き継ぎ、1878年頃から本格的な芸術ガラスの製作をスタート。20世紀初頭にはパート・シュール・パート技法やエナメル彩色など、多彩な技法を取り入れた作品を世に送り出し、国内外の博覧会で数々の賞を受賞しました。
2-3. ナンシー派の特徴
ナンシー派（École de Nancy）の作家たちが好んだのは、自然をモチーフにした曲線や色彩。ガレと同様に、ドームも花や植物、昆虫などをガラスに写し取るかのようなデザインが多いです。中でもエナメル装飾と酸蝕（エッチング）を組み合わせた作品は高い人気を得ています。
3. ミニチュアベースの仕様
3-1. 小さな躯体に大きな芸術
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