18世紀医学の知恵が詰まる革装丁：ラウレンティウス・ハイステルの解剖学書を追う【モーカルナビPlus・輸入編】
1. はじめに
18世紀ヨーロッパは、科学と理性の時代（啓蒙主義）が花開き、医学分野においても古代ギリシア・ローマ以来の解剖学知見が急速に進化していった時期でした。そのような医学革命の真っただ中で刊行されたのが、ラウレンティウス・ハイステル（Laurentius Heister）の解剖学書『Compendium Anatomicum』。
今回ご紹介するのは、1749年にニュルンベルクで出版されたと思われる古書。革装丁（レザーバインド）の美しさとブラインドスタンプ（型押し装飾）が施された外観、そしてヨーロッパ18世紀医学を感じさせる文字組みや挿絵に、多くの古書ファンや医学史コレクターが注目しています。本稿では、このHeisterの解剖学書の位置づけや見どころ、そして輸入・販売時の注意点などを深掘りしてみましょう。
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2. ラウレンティウス・ハイステル（Laurentius Heister）とは？
2-1. 外科医・解剖学者としての足跡
Laurentius Heister（1683–1758）はドイツの外科医・解剖学者で、神聖ローマ帝国期において解剖・外科学分野に多大な貢献を行った人物です。彼の著作はラテン語を中心に執筆され、ヨーロッパ全土の医学教育に使われました。
本書「Compendium Anatomicum」は、人体の構造と諸器官の説明をコンパクトにまとめた一種の教科書的役割を果たしたと言われています。
2-2. 学術と啓蒙の狭間
18世紀の医学書は、当時の外科医や医学生にとって貴重な知識源でしたが、まだ解剖学の基礎が確立し切っていない段階でもあり、各所に前近代的な考えが混じることも多々。でもハイステルは比較的実証的な手法を重んじ、解剖図や観察記録を細かく残そうとした先駆者の一人です。
3. 『Compendium Anatomicum』1749年版の特徴
3-1. 版元と印刷
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