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睡眠学習

2011年3月の後半、アジカンのライブに行くことになっていた。
息子が高校時代傾倒していたバンドのひとつである。
いつも話を聞かされCDを聴かされ、わたしも「カッコいいな」と思うようになっていた。

わたしは音楽通ではないので、どうしても自分が若いときのものをずっと聴きがちである。
息子のおかげで、もう一度青春時代が回ってきて90年代後半~の若者音楽にも触れることができた。

息子は音楽狂で、大人になった今ではかなり幅広い音楽を聴き、しょっちゅうライブを見に行っている。
そんなライブ生活のはじめの頃のはなしで、アジカンライブに一緒に行こうとチケットをとってくれたのである。

わたしは小さいライブハウスには時々行っていたが、大きなホールのライブはほとんど行ったことがなく、こんなおばさんの観客もいるのだろうかと少し不安になった。

ちゃんとのれるのであろうか…。

息子が貸してくれたCDを聴きながら家事などをやっていたが、ふと「睡眠学習」をすれば細胞の隅々までアジカンの音に満たされるのではないかと思いついた。

それで、毎晩ヘッドフォンをつけてそれなりの音量でアジカンを聴きながら眠りについていたのである。

結果的には、朝になって曲の一節も覚えておらず、睡眠学習の効果はないと思ってやめてしまったのであるが、数日後にそれは起こった。

真夜中に突然大音量の音楽が鳴り響き、ビックリして飛び起きたのである。
正確には半分寝ている状態だったので起き上がることはなかったが、目は開いたと思う。

近所から苦情が来そうなくらいばかでかいその音は、アジカンの曲によく似ていたがアジカンの曲のどれでもなかった。
かなり激しいビートの長い前奏である。
何事が起きたのかわからなかったが、しばらく目を開けていると鳴りやんだと思う。
そのあたりの境目は今ではもうはっきりとは覚えていない。

憶測だが、毎晩聴いていた音楽が無いので脳が今まで聴いていた音を程よくミックスして曲をつくって流してくれたのだろう。

恐るべし、脳。

そんなに入れ込んで楽しみにしていたライブであったが、日付けから察せられるとおり中止になってしまった。

しかし、その後も息子はチケットをとり続けてくれて、何度かライブに足を運んだ。
今年の夏には「ファン感謝サーキット」にも行くことができた。

ゴッチはいつも「自分らしく楽しんでください」と優しく言ってくれるので、今では安心して参加している。

読んでくださりありがとうございます。

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ドリー·G
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