凍える夜には前足を
あれは忘れもしない、2022年1月19日のこと。
北半球が春の準備を始め出すそんな季節、大阪には雨が降った。
それは凍てつくほどの冷たさで、帰宅する僕に襲いかかる。
そんな凍りつく夜に、僕は手袋を会社において来てしまった。
気づいた時にはもう遅く、取りに戻るには遠すぎる距離だったんだ。
そこで、僕はスーパーに行った。
手頃な店はもうしまっている時間だったからね。
大きなスーパーなのに、品揃えも豊富なのに、ペリエも、冷凍パイシートも売っているのに。
どうして手袋が売ってないんだろう。
どうして、 靴下 しか無いんだろう。
あまりの寒さに、思考回路が麻痺していたのと、後々話のタネになりそうだと言う下心で購入した。
靴下を。
その夜、僕の手は、 前足 になった。
職質されなくて良かった。
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