第105回全国高等学校野球選手権奈良大会展望
今日7/8から始まる105回目の夏となる奈良大会。
注目の高校や選手、そして甲子園の切符を掴むのはどのチームになるのか展望します。
Aブロック
センバツにあと一歩のところまで迫った高田商業が有力か。
高田商業の野手陣は思い切りのいい東口、勝負強い竹中、堅守でパンチ力のある山中、大所帯を主将として束ねる強肩捕手北嶋ら、下級生からおなじみのメンバーが揃う。投手は秋の近畿大会で好投した仲井・宮武大の両左腕が春未登板。夏はどのような投手運用で挑むのか注目したい。実に60年ぶりとなる夏の甲子園出場を果たし、OBの三浦大輔監督のもとにも吉報を届けたい。
秋春連続ベスト4の橿原は集中打の出る強力打線が武器。チームの中心はエースで4番を務め、タフネスさが売りの下西。夏は3季連続のベスト4、そしてさらにその上も見据える。
その橿原の初戦の対戦相手である大和広陵は、春初戦で橿原にタイブレークの末サヨナラ負け。リベンジに燃える。
畝傍は春の桜井戦で7回2死まで無安打投球の左腕石崎に注目。畝傍と初戦で対戦する帝塚山はアンダースローの岡崎ら2年生がチームの中心。まずは4季連続で初戦を突破したい。
奈良商工は投手と遊撃をこなし上位打線を担う貝辻に注目。
宇陀・榛生昇陽(合同B)は榛生昇陽としては最後の夏。一方で県立大附属は今大会が初出場。今後どのような歴史が紡がれていくのか注目したい。
Bブロック
夏連覇を狙う天理が中心となるか。
天理は松本・大谷・藤原の2年生クリーンナップを中心に、赤埴克や下林など強打者が揃う。春の大会では冨田・赤埴幸・下坊大陸の1年生3人が代わる代わる活躍し、選手層は県トップの印象を受ける。投手も甲子園経験のある技巧派左腕中川を筆頭に、村上・嶋川・麻田ら多彩な投手陣が揃う。
その天理の初戦の相手は5年前夏の甲子園初出場を果たした奈良大附属。今季の奈良大附属は秋は智辯学園、春は天理と初戦で対戦し、見せ場を作るも敗退。そして今夏も天理と、3季連続で私学2強と初戦で相見えることに。
戦力としては堤野、岩口、武廣、野澤、前田らを擁し上位から下位まで切れ目のない打戦が武器。投手陣は複数投手で継投し、強敵天理を下して一気に頂点まで駆け上がりたい。
開幕カードの法隆寺国際vs西大和学園は、昨夏も初戦で対戦し法隆寺国際が9-1で勝利。法隆寺国際はエース先川・正捕手前川・3番ライト木野・4番ファースト村田らスケールの大きな2年生が揃う。一方西大和学園は3年生は学業専念のため2年生以下のメンバー。エースで4番の財前を中心に奮闘し、集大成の秋に向けて弾みをつけたい。両者の勝者が1年生が多数入部し活気付く添上と対戦する。
右側の山は秋に高田商業から5得点と強力打線が武器の県立商業と、好投手巽を擁する磯城野が中心となるか。西和清陵はサイドハンドの中尾、高円芸術・国際(合同A)は2年生左腕木村の投球に注目したい。
Cブロック
シード校の御所実業を筆頭に実力校が揃う。
御所実業は一昨年の秋から県内で結果を残し続けてきた世代の集大成。守備面はショート守備県No1と名高い大畑や、強肩捕手の山口ら完成度が高い。打撃では大畑・安原・深澤を中心にライナー性の打球を心掛け、繋がりのある打線を実現する。
投手ではMax140キロ強の大型右腕安田が今春一人立ち。その他谷下・谷野・片山らタイプの異なる層の厚い投手陣を擁するが、ここに昨夏主戦投手として活躍した永松が復調すればさらに厚みを増す。
橿原学院と女子大附属は春ベスト8まで勝ち進み、両校とも準々決勝で私学2強相手に善戦。橿原学院は強打の正捕手西林ら下級生中心のチームではあるが、山本、岩本、河原らの3年生も要所で輝きたい。女子大附属は飯塚・樋口の2枚看板に二人を引っ張る大型2年生捕手野村と、主力選手の実力は強豪校に引けを取らない。全員野球で上位進出を目指す。両校の顔合わせは初戦屈指の好カードだ。
昨夏準優勝の生駒は昨夏2年生唯一のレギュラーだった菅田が3番ショートでチームを牽引。同じ生駒市の奈良北は、萩原と東崎のバッテリーが打線でも中軸を担う。高取国際は服部と中垣の2枚看板で勝負。王寺工業の強打の捕手中井、五條の4番エース松本、奈良高専の投手・捕手・遊撃手をこなす三刀流の田中の活躍にも注目したい。
Dブロック
春近畿王者の智辯学園が頭一つ抜けている印象。
去る春の近畿大会では松本が県外にも名を轟かす大活躍。松本・中山・川原崎らで形成する上位打線は全国屈指の出来で、他にも山崎、高良、池下、近藤らの強打者が揃う。
一方の投手陣はまずは二刀流の中山。Max140キロ後半のストレートとスライダーを中心にコントロールよく投げ込む。また春季大会ではエースナンバーをつけた3年生藤田や、下級生の田中・田近・巴田・青山・楢林ら多くの投手がマウンドを経験。日程の厳しいDブロックに入ったこともあり、投手陣全体でのパフォーマンスが鍵となる。
智辯学園の対抗馬一番手となるのは春ベスト8の高田か。バランスのとれたチーム構成で、打線は藤野・川西の1・2番が出塁し、3番北山・4番二反田が返す。投手は前川・森の継投で勝負する。
一条はどこからでもホームランが飛び出す強力打線が武器。桜井は下級生中心のチームを小角・小野の3年生が牽引。奈良は多数抜擢が予想される1年生に注目したい。この実力拮抗の公立校3校が揃う左端のブロックを勝ち抜く高校はいかに。
智辯学園と初戦で対戦する香芝は大型2年生右腕山田に注目。十津川は1年時からマウンド経験豊富な左腕冨戸野がラストイヤー。青翔・関西中央・二階堂・奈良南(合同C)は関西中央が来春から休校。関西中央の杉田主将が選手宣誓を引き当て、奈良大会の歴史にその名を刻む。
最後に紹介するのは伝統校郡山。6月に亡くなった故森本達幸元監督のもとに、一つでも多くの白星を届けたい。