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12月の浮世絵勉強会のお話

12月7日に向日葵の友人主催の浮世絵勉強会がありました。

浮世絵勉強会は、五井野博士がご存命の頃から、博士が講師として参加するお茶会で、向日葵の友人の主催で不定期に開催されていました。
その後、彼の所有する駅前旅館で、約3ヶ月に一度位の間隔で開催されていましたが、昨年(今となっては一昨年)春にその旅館が廃業してしまったのです。
それでも、博士がご逝去されてからは浮世絵勉強会に来てなかった何人かから、友人に、参加したいので是非開催してくれるよう催促があったようなのです。

向日葵の友人によれば、これまで浮世絵等の絵画の展示を協力し、文化的な後押しをしてきたのは、此処で勉強会を開く下準備でもあったそう。
なので私もまんまと主催側になってしまったのでした。

浮世絵勉強会の説明はひとことでは言えません。
台本なしです。
勉強会は臨機応変、その場の流れと雰囲気次第です。
向日葵の友人の解説は、イメージの泉のように縦横無尽。
浮世絵にはその時代の感性や精神、智恵などが摺り込まれ、奥が深い。
その発見が楽しく、また好奇心、向上心を刺激され、私にとって新たな気付きばかり。
大げさに聞こえますが、生きる意味を見いだすことさえあるのです。
ブログの知識、ネタはこの浮世絵勉強会に拠るところがどれほど大きいか。

参加した11人は旧知の友人達。
涼しくなったら集まろう、が、夏秋の繁忙期が長くなり余裕がなく、ようやく実現したのです。
楽しみにしていたのは皆の顔で分かります。
向日葵の友人から警告が入ります。
解散は明け方になるだろうから、お風呂は夕食前の今のうちに、と。
そしてその間も、彼はギャラリーで私達にずっと話をしていたのでした。

旧知の友人達、夕食は昔話に花です。
博士との思い出や失敗談、ザ・フナイの博士の連載記事の解釈などの論議で盛り上がっています。
どうも昔、向日葵の友人がプーシキン美術館のパーティをぶち壊した話は、古い人達の定番ネタのようです。

夕食後は用意した部屋に集まって、勉強会が始まります。
今回は、ブロガー陽だまりさんのリクエストから「豊国漫画図絵」と「縮緬絵」を鑑賞します。

豊国漫画は観た瞬間に絵が飛び込んできて、「うわぁ!」と鮮やかな色彩に圧倒されます。
浮世絵が海を渡った当時、ヨーロッパ人が驚いたのと同じ感動でしょう。
皆言葉が出ません。

観賞した豊国漫画図絵の中から

縮緬絵は、大判サイズの浮世絵を江戸時代独自の技法でクシュッと縮めた浮世絵。
縮めると色彩が濃くなり、和紙が布の様な手触りになります。
今でもきれいにクシュッとしたままなのです。不思議です。
向日葵の友人はそれを一箱持って来て見せたのです。
その作成法や、ゴッホやマティスの絵画は縮緬絵から生まれたこと、スーラやシニャックなどの点描画家も縮緬絵から影響を強く受けただろうことを熱く議論していました。
主に向日葵の友人と陽だまりさんで。

大判浮世絵と縮緬絵の比較

秋野錦千草月影
歌川豊国(国貞)
1861年(文久一年)

お酒と漢方茶を飲みながら、勉強会は夜遅くまで続きました。

その夜遅くに、参加者の一人が皆に話したのです。
その参加者の方が言うには、倒れていた五井野博士を発見した人間(Aさんとします。)が博士が倒れた時に私が博士と同じ建物にいたと言っているようなのです。
そして、Aさんは、博士が倒れた時、別の場所で論文を執筆中だったとも言っているようです。
また、別の参加者の方は、私が博士と同じ部屋にいて、博士が倒れている時に博士に掛かってきた電話を私が取ったという、ありえない推論を、ある女性がわざわざ電話で話してきたと言うのです。

私は、自分の身を守るために敢えて真実を記します。
私は、博士が倒れたその日は、同じ建物にはおらず、辰野町にいたのです。
私は、博士が病院へ救急車で搬送された事を、博士が倒れた翌日に、向日葵の友人から自宅の施術場で電話で聞いたのです。
私が、博士が倒れた時に、博士と同じ建物にいたという事実は、一切ありません。

仮に、私がその場にいたなら、放ったらかしにせず、ずっと早くに、直ぐに救急車を要請していたでしょうし、他のスタッフと同じように、病院へ駆けつけていたでしょう。
こうなるのなら、逆に、本当に私が近くにいたかった位です。

翌朝、外は静かに雪が降っていました。
朝食を食べてライブラリーのあるカフェでお茶をしておしゃべりをして、各々自由にゆっくりと午前を楽しみました。
そして、最後はすずらん颯のロビーの大柱に飾られた「七本の向日葵」の前と、ギャラリーで記念撮影をして無事笑顔で解散。

今回は私の中で相当盛り上がっていたのでしょう。
失敗ばかりで迷惑ばかりかけてしまいました。
まず、会場を大広間の宴会場にしてしまったのです。
浮世絵等貴重品を置くのに鍵がないことを、友人の指摘で初めて気付き、急遽10畳の部屋に代えたのです。
また、触れて触っての浮世絵鑑賞に夢中になる余り、写真も動画も全く撮っていませんでした。
雰囲気を写真でお伝えすることができないことが何より残念です。
他にも多々...。猛反省です。

その後、私は一気に緊張から解放され、幾つもの不手際を向日葵の友人に叱られ、体調を崩して更に女将に迷惑をかけたのでした。
いやはや。

浮世絵勉強会は、今後、皆様からご要望があれば、形にとらわれず開催していきたいと思っています。
友人次第でもありますが。

最後に、陽だまりさんの浮世絵勉強会の記事を紹介します。


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