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女将が依頼を受けて講演をしました。

今回のブログは私、女将が担当します。
既にふた月も前になってしまいましたが、8月25日、ある漢方薬メーカーからの依頼で、薬局経営者の方達に講演をいたしました。
そのお話をしたいと思います。

2023年10月、ひと組のご夫婦が宿泊され、奥様がエステの施術をされました。
奥様は富山県で薬局を経営されており、元看護師の私と話が合い、日本の医療や漢方の話で盛り上がりました。
経営されている薬局が所属しているのは、和漢薬研究所。
名前の通り日本の伝統療法や漢方を取り入れ、自然原料で薬を作っている会社とのこと。
代表漢方薬は、赤松が主原料の「松寿仙」だそうです。

すずらん颯は、赤松に囲まれています。赤松には縁があるのです。
2020年10月当館で、「女松の会」会長の巣山真由美さん主催の、松フェスティバルを開催させて頂きました。
松の効能の講習会から始まり、松を使ったお菓子や製品の出店など、全国規模のお祭りです。
その講習会で松葉の効能の高さを知り、当館も松を取り入れたのです。
松葉茶をはじめ、松葉入りのハーブティーがカフェのメニューにあり、売店に松葉茶や松の効能を説明したポップを置いています。

松フェスティバル「基調講演」
https://www.youtube.com/watch?v=rBOXsNPM1Uo&t=4s

松フェスティバルの1日
https://www.youtube.com/watch?v=rkswQZxj67s

カフェメニューと松葉酒メニュー

そのことや私がリンパセラピストやアロマインストラクター、発酵マイスターなどの資格を持っているということも奥様に話しており、講演を打診されたのです。
後日、和漢薬研究所から正式に講演依頼を頂きました。
看護師からすずらん颯の経営に至った経緯、コロナ期に開業してどうやって乗り超えたかを話して貰い、暗い社会情勢で気持ちも経営も落ち込んでいる漢方薬局を励ましたいのだと。
結局、営業の星野さんの熱意に押されて、不安ながら講演を引き受けることにしたのです。
2月の講演予定が北陸大震災により、8月に延期になったのでした。

講演のテーマは「転機は、必ずやってくる」。
前半の私の半生は簡略化、箇条書きにします。

【看護師時代】
・福岡県で生まれ育ち、1998年から看護師として防衛医科大学校病院に勤務。
・看護師として10年経った頃、ある出来事で西洋医学の対処療法に疑問を持ち、東洋の予防医学に関心を持つ。
・免疫力を高めて病気にならない身体を作る予防医学を広めていきたいと考えるようになる。
この頃さらに上記の資格の他、漢方美容整体療術師や薬膳調整師、漢方コーディネーターなど資格を取得。
・看護師をパート勤務に切り替え、合間に自宅でエステサロンを始める。

【都会生活編】
・夫が関東に転勤した直後に東日本大震災を体験。
私は産後間もなかったので九州にいたが、夫の体験談に驚愕。
東北のニュースに更に驚愕。
・その後、放射能の濃度が毎日ニュースで流れ、放射能の値が高いと、子供達は学校の校庭で遊ぶ事が出来なくなる。
・関東で生活を始めて2年経った頃に子供が酷いアトピー性皮膚炎を発症、夜間、痒みで眠れずシーツが真っ赤に染まるぐらい掻きむしってしまう。
原因は土埃と言われる。
・五井野博士のご縁で長野県小谷村栂池に別荘一部屋の利用権を購入。
スキー場も近く、長期休暇の度に子供達と別荘へ。
休暇が終わる頃には、子供のアトピーが軽減し保湿のみで安眠できる迄に。
・相模原に転勤して5年が経った頃、安定した大企業に勤めている夫から脱サラしたいと相談を受ける。
将来の安定?より子供達の健康を考え夫に賛成。
・長野県に移住を考え、栂池の別荘と、安曇野の整体・エステサロンを開院できるメゾネットタイプの別荘の交換の話をもらい交換。
しかし、開業前提の話の筈が、安曇野の別荘では看板をあげて営業する事はできないとわかる。
・状況を知った五井野博士から、博士のスタッフが所有している、辰野町小野にある10DKの一軒家を薦めて頂く。
向かいが駅で国道に面し交通量も多く、整体院を開くには最高の立地。
安曇野の別荘と差額払いで交換させて頂きました。(感謝)

【移住編】
・私達家族で辰野町小野に移住。
・プロのリフォームは施術所など最小限に。
壁塗り、補強、壁を壊して部屋作り等、修繕は下手でも出来るだけ自分たちでやるDIY精神。
・「漢方整体・エステティックサロンchou chou Rosa」を開業。
・小野は寒い。そして高齢の方が多い。
駅前なのに電車は2時間に1本しかない。
保険がきかない整体やエステサロンには誰も行かないよ。と、ご近所の方に心配される。
貧しい閑古鳥期。
・転機到来。隣の食堂のマスターが慢性的な腰痛に悩み来院、施術。
徐々に全快したマスターがお店で積極的に紹介してくれて、昼食を食べる暇がないくらい忙しくなる。(感謝)
・ありがたいことにこの頃からさまざまなご縁が出来る。

隣の、中央本線(辰野支線)小野駅前のみさき食堂

【宿泊業挑戦編】
・夫が宿泊業をやりたいと言い出す。
宿泊業の方が、施術だけではなく食事やお風呂で身体を温める温熱療法など、お客様のトータルケアができるのではと思い賛成。
・長野県大町温泉郷の閉館している旅館施設を借り、やはりプロのリフォームは最小限にして、DIY精神。
温泉もない「ゲストハウス浮世絵」を開業。
・幸いインバウンドのお客様も多く初年度から黒字に。
・子供のアトピー性皮膚炎はいつの間にか快癒。湿疹の跡もない。
・駒ケ根の国民宿舎を競売で取得。
「駒ヶ根高原リトリート すずらん颯」を開業。
・夫が前のブログで語っているが、私としてはお陰様で思いっきり苦労したわ!
特に何人もの従業員を雇う大変さに初めて直面。
・「七本の向日葵」展示後、まるで嘘の様に満室が続いているのは本当の話。
慣れてない私達はそれはそれで大変。

で、今に至ります。

さあここからが講演の本題です。
後半は和漢薬研究所の依頼もあり、松の効能と利用方法の話。
youtubeの巣山さんの講演をご覧になれば、重複してしまう内容があるかもしれません。
一般的に、松は「松竹梅」の縁起木、防風林、日本らしい景観、盆栽のイメージでしょうか。
お城や日本庭園に欠かせない「松」。
日本人にとって身近な松の活用方法が、実は、現代の日本人には殆ど知られていないのです。
パワーポイントで作成したスライドを貼ります。

渡辺京二著「逝きし世の面影」p403を引用します。

メーチニコフは1874(明治7)年来日して間もなく政府高官の高崎正風宅を訪問したが、正風は留守で十五歳くらいの少年が取り次ぎに出た。
彼は煙草盆を持って来てメーチニコフにすすめると、自分も煙管にタバコをつめ、あっという間に二服吸い終えた。
メーチニコフがおどろかなかったのは、すでに劇場で、大人にまじって子どもまでも煙管でタバコを吸う光景を見ていたからである。

渡辺京二著「逝きし世の面影」

このタバコが松葉煙草とは今では誰が知っているでしょう。
松葉煙草は心身を爽快にし、気管支や喘息など肺や呼吸器にもよい薬として吸われていました。
また、食べるよりも肺から血管へ成分が直接入るので効能が速くクリアだそうです。
松葉煙草は大正時代までは工場生産されていました。 
昔から松は庶民の健康に大きく関与していたのです。

講演の話です。
とはいえこの話の栄養学の部分は、医学博士山ノ内慎一著「ガン・老化に勝つ松葉の力」の引用なのですが。

「『じつは松葉は栄養満点で、私たちの健康増進に役立つ、たくさんの成分を含んでいるのです。
例えばスレオニン、バリン、ロイシンなど24種類のアミノ酸が含まれています。
アミノ酸は、いうまでもなくタンパク質の構成成分で、あらゆる生物にとってなくてはならない大切な栄養素です。
そして忘れてはならないのが松ヤニの存在。
松ヤニは幹の部分から出るものだと思われていますが、葉にも流れています。
実はこの松ヤニに含まれている物質が、松葉独特の素晴らしい効果を発揮するのです。
松ヤニの本来の役目は、幹の保護(傷を治す)や成長を促すことなどですが、その中心成分はテルペン類。
これは、油のようなもので「不飽和脂肪酸」と呼ばれており、コレステロールを分解する働きがあります。
葉にはこのほか、造血作用のあるビタミンA、ビタミンC、葉緑素なども含まれています。
更に松葉は、高血圧にも大きな効果があります。
近頃、小学生や中学生にも高血圧の傾向が見られます。
偏った食生活や運動不足、ストレスの未解消などが原因と言われています。
高血圧もそれ自体は病気ではありません。
しかし、その状態を放っておくと、脳卒中などの直接生命に関わる病気を誘発してしまいます。
そこで、血圧を下げるため医師は、すぐに薬を使いますが、それよりは体質そのものを改善して病気も同時に予防する方が最善策と思います。
その意味で、コレステロールを分解する働きのある松葉は有効です。』
(以上、「ガン・老化に勝つ松葉の力」の引用)

体調不良を感じたらすぐに病院に行くという一択の選択肢ではなく、可能なら、東洋西洋両方の医学薬学の知識を持つ薬局をかかりつけに出来ればと思うのです。
自分に合う療法を知り、それに則した生活をする。
そして普段から病気になりにくい身体作りをおこなう。
自然療法に即効性はありません。

日本の医療の現状をまとめてみました。
人はお金。まるで病人を作って一生食い物にしている様です。
みなさんどう思われますか?
ご清聴ありがとうございました。」

渡辺京二著「逝きし世の面影」
平凡社
山ノ内慎一著「ガン・老化に勝つ松葉の力」
ハート出版

日本のみならず世界には自然材料で体調を整える民間療法が沢山あります。
梅、柿の葉、どくだみ、人参、サジー、コーヒー、キノコ類などなど例を挙げればキリがありません。
都市化する以前、私達は自然と共にあったのです。
自然と調和すること。
古来より引き継がれる先人の知恵を私達の生活に取り入れ、受け継いでいくことが大切、と本当に思います。

「松竹梅」と言います。
梅の効能をXで見つけたので貼ります。
竹は笹茶がありますね。竹はこれから調べましょう。

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