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2階から女性が落ちてきた話

10何年前、新婚時代に住んでいたアパートの話
 まだ結婚したばかりで子供はいなかった。
私達は二階建てのアパートの一階に住んでいて、二階には若いお兄さんが一人で住んでいるようだった。
ようだった、というのは仲が良かったとか姿を見たとかじゃなくて声がちょっと聞こえる時があったから、二階には若いお兄さんか住んでいるのだと思っていたのだ。
彼は毎晩彼女と仲良くしていた。
具体的には書かないが、大変仲良くしている声が毎晩聞こえていた。しかもなかなか長い時間続く

私恥ずかしながら旦那が初彼氏で、そのまま初旦那になったのでそういった行為には大変うとく、友達もオタク仲間なので男女の赤裸々トークは皆無だった。
オタクでない友達も恋人の話はするが普通の話だった。
そんなわけで、毎晩なんて元気な人がいたもんだねと旦那に話していた。
暗闇で見えなかったけど、旦那は苦笑いしていたかもしれない。
素朴な疑問をして、そんな顔をさせてしまう事がよくある。
そんなある夜、まだ日付けが変わらないくらいの時間に二階から女性の叫び声が聞こえてきた。
「あんだ酷いよ!」
同時に外でドサッと音がした。
私達はまだ起きていた。
ちょっとうとうとしだした頃に叩き起こされた。
慌ててサッシを開けると、目の前の砂利が敷き詰められた駐車場に女性が倒れて丸まっていた。
女性に声をかけたり毛布をかけてあげたりしているうちに早くも警察がきた。
女性は体を丸めて横たわったままガタガタと震えていた。
そうだすごく寒い冬の夜だった。
その後は救急車がきて、旦那が警察に話を聞かれて終わった。部屋の中がすっかり寒くなってしまったので旦那にくっついて温まるのをまっていた。
その間二階から男女が警察と会話しているのが聞こえていた。そこで私達が推察した、毎晩違う女性が来ていた、あるいは二股していて今夜ぱれたのではないかということだ。
どちらにしろ毎晩なんて凄い精力と体力だなと今でも思う。
凄いけども、毎晩なんて私はごめんだ。
旦那はどうか知らないけども少しくっついて充電出来ればしなくても満足だ。
この件の後、二階のお兄さんは引っ越して行った。挨拶やお詫びは特に無かった。
たまたま階段を降りてくるところに出くわした、当時流行っていた?襟元にファーの着いたコートを着て両親と降りてきた。
期待していた訳では無いが、やっぱり彼は無言で通り過ぎた。もちろんご両親もだ。
それはまあ、そうゆう人なのだろうからかまわない。
気になるのは落ちてきた彼女の事だ。彼氏といちゃついていたらベランダへ追い出されて、別の女が来た挙げ句に冬の砂利の上に落ちた。
腰など骨折してないかな?怪我は治ったかな?としばらく気になっていた。
どちらが本命かは分からないけど、二階のお兄さんがろくでもない野郎なのは確かだ。
あのアパートは本当に思い出深い。
空き巣にも入られたし熱中症で失神したりした。
空き巣は紙袋のなかまでみていく、中身はジョジョの全巻なのに!
下着ももっていく!しかも全部。
さらにどんな下着を盗まれたか警察に言わなければいけないのだ。
あ、書いたらろくな思い出じゃなかった。

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