※ネタバレ注意※ K2 488話『最前線』それは君が見た光…
K2 488話『最前線』
要素が!多い!!
高品総合病院は救急搬送が増える年末年始を控え、研修医チームを2人組ローテーションで救急救命科のサポートにあたらせることを決めた。
斉藤由貴ちゃんと大関さんコンビが救命ローテに当たった夜、救急外来室長の白石医師は彼を救急科志望へと後押しした「ある出会い」の思い出を語り……?
2024年12月5日から26日まで開催の真船一雄先生原画展『Kの系譜』。開催初日に更新された487話は「フロハラ」をめぐる師弟のてんやわんやでしたが、会期中最後に更新された488話はあらゆる要素がぎゅいぎゅいに詰まった宝箱のようです。
①一也くん宮坂さんの誕生日プレゼント交換
②例のたぬき、本編初登場!!
③由貴ちゃんの進路が決まる?
④『岐路』のあの後輩が!?
⑤富永先生ーーーーーーー!!!!!!!
K2を読んでいてしばしばある「なんで20Pにこの内容が収まってるんだ…」現象の極致でした。どれもこれも主役級のエピソードがどんどん襲いかかってきます。
すごい……いや、ほんとうにすごい以外の言葉が出てきません。わ!也宮!わわっ!タヌキ!!!歯ブラシ胃に突っ込んだ患者の対処で、由貴ちゃんが機転と本番に強い度胸を見せつけた!と思っていたら富永先生が出てきて…一体どこまで連れて行かれたんだ……?とジェットコースターに乗せられたあとのような心境です。
君が見た光
見どころ盛りだくさんな回でしたがやはり富永先生…!!! 救急外来室長白石医師の回想に登場した富永に言及せざるを得ません。
言わずとしれたK2屈指の名エピソード『岐路』で、己の成長に疑問を抱きT村を後にした富永が立ち寄った西海大医局で遭遇した救急案件。「オペ室あけて!オレは外科の富永だ!」の名ゼリフが生まれたあの場に立ち会っていた白石室長は、若輩の自分を導き、専門科を横断するオペを成し遂げたばかりでなく、より多くの患者に接し続けるため「最先端より最前線」を選んで野に下った富永の姿を見て、生きる道を救急科に定めました。
これって富永=スーパードクターということじゃん。
…と震えました。同時にK2におけるスーパードクターの定義もクリアになった気がしました。
456話『未来のために(後編)』で、一人先生が「龍太郎をスーパードクターにしてお返しします」と言ったときには、スーパードクターis何?名医との違いはなんだろう?と脳内に若干の疑問符が踊りました。一人先生もスーパードクターとか言うんだなぁ……と、普段の重々しい言動とそぐわない発言に驚きもしたものです。
でも、今回の話でなんとなく分かりました。
命を救うひたむきな姿勢と覚悟、実際にやり遂げる卓越した技術を併せ持ち、何より遭遇した医療従事者の運命を否応なく変えてしまう存在、それがスーパードクター…という、ことでしょうか?
つまり富永研太はスーパードクターKENTA。
うわーーーーーーこれはアツい。
いままでシリーズで何度となく描かれてきた「あの日K(あの人)に出会ってオレは変わった」演出が、K一族ではない富永に適応されているのがたまりません。
このnoteでも何度か類することを書いた気がしますが、私はK一族の個人個人は大好きですが、ある血族を特別なものに据えて血統の保存をしてきた歴史にはシンパシーを覚えないし、有事のスペアを用意する影のK一族のシステムは人権侵害だなぁ…と思ったりします。原画展のパンフレット情報で一人先生の最終学歴が高校だったのも、分かってはいたものの新鮮に辛いです。
だから、富永の存在が、富永の背後に必ず存在する数多の在野のスーパードクターが、Kの一族を解き放っていく未来があるのが嬉しくて…。
20年前の雪の日に富永がT村を訪れてくれて本当に良かった。
それにしても、『岐路』のあの西海大研修医たちはどうなったんだろう? という読者の疑問に答えてくれるだけでなく、富永のレギュラー卒業エピソードの角度を変えて、現在進行中の育成&血統によらない継承というテーマを浮かび上がらせる手腕には唸ってしまいます。
白石室長に「あなたのスーパードクター、切断指の縫合に2時間かかって落ち込んでたんですよ」と教えたらどうなるでしょうね。
富永の価値を誰よりも富永が知らない…。富永は他人の言葉では動かない、自分の声を聞いて生きる人だから仕方ないのかもしれません。彼の目指すところは「ひたすらに命を救う」ことなのだから、現実の医療が手遅れと隣り合わせであり続ける限り、まだまだ至らないのだ、と奥歯を噛んで走り続けるんだろうな。
K2の主人公は一人先生と一也くんだけど、作品のテーマを純粋に体現しているのはやはり富永先生なのだろうな、と感じます。
まだまだ盛りだくさん
「富永ーーーーー!!!!」になってしまいましたが、他の見どころも濃厚でした。
也くんと宮坂さんの誕生日プレゼント交換! 宮坂さんの誕生日が10月であると本編でもさりげなく明かされたのがサービス満点ですし、「黒須くんはああ見えて朴念仁じゃない」ところを宮坂さんは知っているのもニクい。
今年度で研修医期間が終わる2人、お互い今後の相談などもしているんでしょうか…
宮坂さんの刺繍で本編に初登場したたぬき、一人先生が拾ってきた本体はどこにいるのかしら。T村診療所に住んでいるのかな。
由貴ちゃんの進路が救急科というのは全く虚を突かれました。その手があったかーーーー!!!考えてみれば、度胸満点でアベレージの高いオールラウンダー、元東医体女王で体力も抜群の由貴ちゃんは救急にぴったり。ヒントはたくさんあったのに気づけませんでした。
富永の存在が白石室長につながり、由貴ちゃんがまた次の世代につなげる。光のリレーが続いているんだなぁ…と感慨深いです。
お誕生日祭り
お誕生日が続いた1週間でした。
原画展公式さんがディスプレイで祝ってくれたのも素敵でした。
也くんTETSUさん、改めてお誕生日おめでとうございます。